給料の指数化阻止

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年2月

インフレ指数の上昇傾向と2000年からの経済回復の予想のために、各労組は過去のインフレ指数でベアの補充を要求しており、労使交渉の重要項目に掲げられているが、政府は高インフレ時代のようにインフレ率で給料も物価も毎月自動調整する指数化時代へ逆戻りすることを怖れて、この阻止を試みている。一部労組は自動調整を求めて労働裁判に持ち込んでおり、地方労裁はこの指数化を認める判決を下しているが、1999年11月に労働最高裁は「物価指数と給料を自動的に調整することを正当化する法的裏付けはない」と言う理由により、指数化要求を否決した。これまで地方労裁は単純に、過去のインフレ上昇分は補充される権利があるとして、労組側の要求を認める判決を下していたが、労働最高裁は高インフレ時代とは違って、経済安定維持に努力すべき時に来ており、いたずらにインフレを煽る行動を取ってはならないと地方労裁をたしなめた。また判決に当たって労裁は、労働者に敵対しているものではなく、交渉によって成立させるよう薦めており、対決した時にのみ判決を下すと発表した。これまでの地方労裁の指数化判決によって、企業は支払い義務を負い、そのコスト上昇分を値上げでカバーして、インフレを引き上げ、給料の自動引き上げと値上げの連動が始まり、過去の高インフレに戻ることを政府は最も心配している。

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