NLRB、医療インターンに団結権を付与
全国労働関係局(NLRB)は、1999年11月26日、全国の私立教育病院(医科大学の付属病院など)で働く医療インターンや専門医学実習者に組合を結成する権利と、より良い待遇を求めてストライキをする権利があるとした。NLRBが3対2で下したこの決定は、研修中のインターンや専門医学実習生を学生とみなすのが適当として団結権を否定した23年前のNLRB決定を覆すものである。今回、NLRBが、この問題について再度決定を下すことになったのは、ボストン医療センターの前の経営者が、インターンらの組合代表としてインターン及び専門医学実習者委員会(CIR:Committee of Interns and Residents)を認めていたが、1996年に同センターが私企業の手に渡ると、新経営陣が1976年のNLRB決定がインターンらの組合結成を禁じたものだとして組合認証を取り消そうとしていたためである。NLRBはインターンらの主張を認め、ボストン医療センターに対し30日以内に代表選挙を行うよう命令した。1997年にこの件について申し立てを行ったCIRは、同労組が選挙に勝つのは確実だとしている。労使双方によれば、このNLRBの決定について上訴することはできない。この代表選挙は1999年12月21日に行われ、177対1でCIRの組合組織化が認められた。私立病院の医療インターンや専門医学実習者が、連邦法によって保護された組合を求める代表選挙に勝利したのは史上初めてのことになる。CIRは、最近、医療労働者と医師の組織化を積極的に行っている国際サービス労組(SEIU)(組合員130万人)の下部組織で、今後CIRは医療インターン、専門医学実習者など約9万人を組織化する予定である。
多くの医療インターンや専門医学実習者は、一人前の医者になるための訓練として、週80時間以上働いていることが多い。健康維持機構(HMO)などが拡大した今、CIRによれば、これらの若い医師が専門訓練を終えた時、その80%が独立せずに給料を受ける仕事に就く。このような時代の流れを反映して、医療インターンなどの研修期間中も労働者とみなすのが適当だという見方が広がりつつある。軌を一とするように、米国医師会(AMA)は1999年、給料を受けるある種の医師たちを組織化することを認め、その後大規模な数組合が低給のヘルスケア労働者に加え、医師の組織化を始めたところである。今回のCIRの勝利は、既に進行中の医療の各分野での組織化に拍車をかけそうだ。
2000年2月 アメリカの記事一覧
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