諮問委員会、男女雇用機会均等法の強化を提言

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年1月

ハンス・スターク(Hans Stark)元労働裁判所長官をリーダーとする国家委員会は、女性差別とみなされる行為に対して男女雇用機会均等法の強化を提案している。政府はこれを検討し、2000年春の国会に関連法案を提出する予定である。ヨーロッパでも男女賃金格差が小さいスウェーデンで、政府がこの問題に真剣に取り組んでいる理由は2つある。第一に、国内法をEU指令に準拠したものに変更する必要があること、そして第二に、欧州裁判所が最近、女性の活躍を後押しする政策をとって男女差別を解消すべきであるという判決を下したことである。

同国家委員会は、使用者が女性からの求職を簡単には無視できないようにしたいと考えている。使用者には、男女の賃金格差の理由を分析することも義務づけるべきである。例えば、求人に応募した女性求職者を面接実施前の段階で除外した場合、その時点ですでに男女差別とみなされるべきである。現在、使用者が男女差別を犯しているとの判決は、男女志望者のうちどちらかを選ぶ際に、男性の方が正式資格の面で劣っているにもかかわらず男性を雇用した場合にのみ下される。従って、応募書類を取り上げてさえもらえなかった女性は、裁判における審理を求めることもできない。現在、使用者は女性求職者が最も優れた資格を有する場合、誰も採用しないことに決める場合が珍しくない。同委員会は、この種の行為を差別とみなすべきであると提言している。

賃金差別に関して同委員会は、使用者は賃金統計を作成するだけでなく男女の賃金格差の理由も分析しなければならないと述べている。この点について労働組合は、委員会報告は慎重すぎると批判している。組合の主張は、使用者には賃金統計を組合に公表することを義務づけるべきであり、それぞれの企業や産業・サービス部門において賃金格差の理由を共同で分析しなければならないという一層踏み込んだものになっている。

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