合併と競争が生む銀行員の失業

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年1月

銀行業界における合併と激しい競争が行員に失業の危機を与えている。

関係者によると、エクイッタブル銀行とフィリピンコマーシァルインターナショナル銀行(PCI 銀行)の大型合併により、エクイッタブルフィリピンコマーシァルインターナショナル銀行(E-PCI 銀行)が誕生したが、合併による人員削減でかなり多数の行員の解雇を始めた。

新しく誕生した銀行の経営は、8500人の行員の10~20%の人員削減と、合併計画の一部として全国に500以上ある支店の一部の閉鎖を目ろんでおり、全国銀行従業員労働組合(NUBA)は、銀行は既に30%の人員削減を開始したと述べた。

エクイッタブル銀行頭取であると同時に PCI銀行副頭取であるベルガレは、正確な削減数は明言できないとしていたが、合併計画では、行員に離職を勧める退職手当を提供するより、再雇用と再訓練を行うと述べた。

他の大手銀行、ファーイースト信託銀行は、「適当な規模」と称している削減計画に着手し、700人の行員の削減と9つの支店の閉鎖を計画した。数カ月前の再編成の発表の中で、再編は厳しい調整が、戦略と組織力、競争力と構造の間で生みだされた自然な結果であるとし、これは、人材移動、部門と業務を合併整理、仕事と内部の統御システムの合理化を必然的に伴うことを認めている。

ヘレラ・フィリピン労働組合会議(PTUC)書記長は、合併を達成するために個人年金基金を用いた E-PCI 銀行が経営方針を変更し、合併を可能にした当事者の行員達を解雇していることを激しく非難した。年金基金の10億ペソ(1ペソ=2.54円)を注入することによってエクイッタブル銀行が PCI 銀行を獲得するのが容易になったのだから、公務員社会保険制度(GSIS)と社会保障制度(SSS)に介在してくれるよう依頼した。また、GSISとSSSの官僚に、どのような影響力を用いてもこれらの行員に仕事を維持できるよう支援するよう要請した。また、ヘレラ書記長は、PCI 銀行買収に労働者のお金が使用されたが、この金融機関の2000人以上の行員が、仕事を失うことになったのは悲劇であり、皮肉だと述べた。

1999年5月に、エクイッタブル銀行、SSS、GSISを含む借款団が、PCI 銀行の中の中国系フィリピンの大資本家ジョン・ゴコンウェイとロペズグループの株式の72%を購入したが、全売却額は、310億ペソにもなり、GSISとSSSはそれぞれ75億ペソ供与し、合併会社において事実上17%の株主となった。

ヘレラ書記長は、「PCI 銀行の株式の実質的価値、もしくは正確な財務情況」を詳細に調査することなくその取り引きを行ったことに対し異議を唱えている。また、入札が1999年6月に予定されていたにも拘わらず、5月に買収が成立したことにたいしても疑問を述べている。

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