マクドナルド向け玩具製造会社の労働法違反

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年1月

マクドナルドに玩具ハッピー・ミールを供給している香港100%出資のKeyhinge社は、多くの労働法違反疑惑をかけられており、このほど労働・傷病兵・社会問題省(MoLISA)の立ち入り調査を受けた。国内にマクドナルド販売店が無いことから、同社は全てのハッピー・ミールを輸出している。同社は、中部の直轄市ダナン最大の外資系使用者で、同市の外資系企業労働者9000人の3分の1に当る従業員3000人を雇用しており、1996年に同社の工場で毒性化学物質を吸い込んだ24人の労働者が病院に運びこまれたのを皮切りに、毒性化学物質にさらされた296人の労働者に補償をしていない、一時解雇者に十分な補償をしていない、労働法にそった賃金支払いをしていないなど一連の告発がされてきた。同社が関係当局に労働災害について報告を怠っていることから、同社での労働災害の件数は不明である。しかし申し立てによれば、1997年同社の工場で、火災報知器の警報を聞いて避難しようとして非常口に殺到した58名の労働者が怪我をした。この時、地方労働関係当局は、同社が労働者千人当り一つの非常口しか設置していないため、職場安全基準を満たしていないとして同社を告発した。

今回の調査団の報告書によると、同社には各労働者の賃金算定に用いられる賃金台帳がなく、全ての労働者に月給40米ドル(1米ドル=102円)を支払っている。ダナン市で40米ドルの月給は非熟練労働者に対する法定最低賃金に過ぎないことから、調査を指揮した MoLISA のチャン・レ・ティン氏は、熟練労働者にも40米ドルしか支払わない同社は間違っていると語った。さらに採用と解雇について報告書は、「4日間連続して休んだという理由で労働者を解雇することは間違っており、同社には労働争議を調停する調停委員会が無く、労働組合も弱い。」としている。同社は調査団から指摘された問題点の是正を命じられ、これまでの労働者からの申し立てについても45日以内に回答しなければならない。また今回、調査団は他の外資系企業4社についても立ち入り調査を行った。

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