交渉制度に関する公共部門の合意

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年12月

3年前、団体交渉中のストライキの脅威を最小限に抑える新法を制定するという政府の警告に対応して、民間労使当事者は協定を締結し、厳格に定められた日程に従って交渉を進め、中立的な議長を指名するとともに、その議長たちに対し、調停者の役割と、直接行動に出る前に冷却期間を設けるよう指示する権利を与えることにした。この協定には、合同経済委員会を設置して経済情勢を分析するという規定も盛り込まれた。この協定は1998年の交渉ラウンドで見事に機能し、その結果、インフレ抑制的な3年間の賃金協定が旧協定の終了前に締結された。これによって産業界に関する限り、交渉プロセスへの政府介入は回避された。

現在、公共部門の当事者についても同様の協定が検討されている。関連4団体、すなわちブルーカラー労組SEKO、ホワイトカラー労連OFR、教職員労連SACO-S、政府の交渉代表権者 Arbetsgivarveket が、10月に正式に協定を締結すると予想されている。この協定は「政府部門の新基本協定」と呼ばれることになる。

この協定によって、公共部門労使の関連4団体は賃金決定(賃金形成)と、地域交渉の調停に乗り出すことに共同責任を負い、「交渉プロセスの強化と各当事者間の協力の促進を通して労使関係の平穏を維持する」ことを目指す。また16人以下のメンバーで構成される共同評議会を設置し、中央協定がその有効期間中に行われる各種政府機関における地域賃金決定でも遵守されるようにする。この評議会は、地域の当事者が合意に達する責任を侵害しないように配慮しながら、協定期間中に地域当事者間の利害の衝突にも対処する予定である。また、使用者代表3人、労組代表3人、中立・独立メンバー2人からなる国家委員会が交渉の経過を注視し、必要に応じて調停者を指名することになっている。今回の協定には、ストライキやロックアウトについての早期警告と期限に関する規則も盛り込まれている。同国家委員会は、ストライキやロックアウトが差し迫っている場合に冷却期間を設ける権利を与えることができるが、その期間は最長14日である。

スウェーデンの法律では、警察や軍隊を含むすべての人々及び医療などの緊急活動に従事する労働者を組織する労働組合に、団体交渉権・ストライキ権が与えられている。このため8人編成の特別評議会Statstjanstenamndenが、予定されている紛争が社会の適切な運営を妨げる危険があるかどうかを判断することになる。

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