LOとSAFが付加年金交渉開始
スウェーデン労働組合総同盟(LO)とスウェーデン経営者連盟(SAF)は、新しい付加年金制度をめぐる交渉に入った。LO側は、「賃金の4%を付加年金に振り向け、年金算定ベースとなる所得に基礎額の7.5倍という上限を設けている公的年金を補足するだけでなく、この額を超える賃金もカバーすべきだ」と主張している。というのも、多くのブルーカラー労働者が、基礎額の7.5倍(現在年間27万3000スウェーデン・クローナ)をかなり上回る収入を得るようになっているからである。現在、使用者は基礎額の7.5倍を超える給料に関しては年金拠出を行っていない。
さらにLOは、育児休暇と失業手当を将来の年金算定ベースにしたいと考えている。すなわち、使用者は共同保険制度を通して、育休・失業期間中についても所得の4%の拠出を行うべきであるとしている。
LOは、雇用開始時点からの年金基金への払い込みも要求している。現在、年金への拠出は28歳から始まる。中断されたホワイトカラー労組との年金交渉で、SAFは25歳からの支払い開始を提示した。現在LOは、ブルーカラー労働者がホワイトカラー労働者よりもはるかに早く働き始めることを指摘し、付加年金制度への出資開始年齢をホワイトカラーよりも遅らせる理由はないと考えている。
LOが付加年金交渉で掲げている目標は、公的年金を含む年金総額を従前所得の65%以上とし、ブルーカラー労働者にもホワイトカラー労働者向けの制度と類似または同一の制度を適用し、同水準の年金を受給できるようにすることである。つまり、公的年金が基礎額の7.5倍という上限に達している場合にも、交渉中の付加年金によってこの上限を超える給料・賃金についても65%の年金を保証しなければならないということである。
1996年から実施されている現行の年金協定は、1999年末に終了する。この協定によって賃金の3.5%(使用者負担2%)が共同保険会社 AMF に支払われてきたが、新制度では、個々の労働者が使用者の年金掛け金の投資先を決定する。労使にとっての関心事は、保険料負担増と賃上げを含めた負担純増なので、LOとSAFは今後、使用者負担の保険料率と賃金交渉とを連動させて中央交渉を進めていくことになるだろう。
1999年12月 スウェーデンの記事一覧
- 新公的年金制度で政党間最終合意
- LOとSAFが付加年金交渉開始
- 交渉制度に関する公共部門の合意
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