労組、労働時間指令修正で政府を非難

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年12月

労働時間指令の内容を修正する計画について、政府は労働組合から激しい抗議を受けている。抗議は、無給で残業を行う全従業員を同指令の完全な保護から除外する提案に集中している。提案が実現すれば、事実上、何百万人もの専門職やホワイトカラーが長時間労働に対する保護から除外されることになる。

労働時間規則の修正案は、7月の国会会期の最終日に上程された。企業による激しいロビー活動を受け、過剰な規制に対する企業の懸念を鎮めるために首相が強く後押しした。英国産業連盟(CBI)が9月に発表した調査によると、1日の勤務時間制限と食事休憩の権利を認める労働時間規則が導入されれば、事務手続きの負担が増加すると回答した企業は85%にのぼった。

一方、労働組合会議(TUC)の推定によると、修正案が成立すれば、無給残業を行う約900万人の労働者が週48時間以上の労働を禁止する保護規定から除外されることになる。TUCのジョン・モンクス書記長は、修正案がEUの指令と矛盾しないか判定するため、欧州委員会、さらに必要あれば欧州裁判所に提訴する用意があると言明した。

スティーヴン・バイヤーズ貿易産業省次官は、上級管理職の適用除外を制限する、法的拘束力をもつ新しいガイドラインの導入を約束することで、対立の緩和をはかっている。また同次官は、労組が懸念しているような、ホワイトカラーをEU全体に適用される48時間制限から除外する意図はもとよりないと述べ、同規則の最終形態を決定するにあたってはTUCとCBI双方から意見を聴くと約束した。

同次官のこうした姿勢をモンクス書記長はある程度評価しながらも、労働市場改革をめぐる対立を解消するため、組合、閣僚、使用者による三者協議の必要性を指摘した。

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