KMU等が首都で日額125ペソの賃上げを要求

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年12月

5月1日運動(KMU)等の労働組合が1999年9月24日石油製品価格の上昇と運輸価格の値上げが予想される中で、日額125ペソ(1ペソ=2.54円)の賃上げを表明した。

ベルトラン KMU議長は、4月からの絶え間ない石油製品価格の上昇は日常必需品価格の上昇を引き起こしたため労働者の現行の賃金を目減りさせ、商品とサービス価格の上昇のため辛うじて家族を扶養している、と語った。また、ベルトラン議長は石油製品の価格を1999年4月の価格に引き下げることを強く要望した。

一方、公務員労組は、月額3000ペソの賃上げ要求を表明した。

現在、4つの代表的な輸送グループは、陸上輸送管理局にジプニーの最低料金を0.5ペソ、バスの最低料金を1.5ペソ値上げすることを求めた申請書を提出している。輸送料金値上げの申請は、8月23日、全国的に影響力を持つペトロン石油会社のリッター当り0.4ペソのガソリン値上げをもたらし、カルテックスやシェルもこれに続いた。なお石油会社は、ガソリン価格を1999年4月に1リッター当り0.2ペソ、5月に0.2ペソ、6月に約0.04ペソ、7月に0.2ペソ値上げしている。

経済シンクタンクのアイボンデータバンクは、労働者の実質賃金は、商品とサービス価格の値上げにより31%目減りしたが、首都マニラの最低賃金198ペソは労働者の要求にも拘わらず引き上げられておらず、実質132.62ペソにまで目減りしていると報告している。

ラグエスマ労相は、8月26日、雇用労働省は、KMU等と賃上げについて協議する準備は出来ていると述べたが、要求が適うかどうかについての説明はしなかった。

労相は、地方三者賃金生産性委員会(以下地方委員会)に KMU等の125ペソの賃上げ要求を調査するよう要求した。

労相は、全ミンダナオ労働組合との最初の会議の後、これらの労働組合との協議を推し進めなければならないし、地方委員会の仕事をもっと効率よくし、賃上げの仕組みを整える支援しなければならないと述べ、「必要なら、労働雇用省はそれに応じられるよう準備する」と記者に語った。

しかし、労相は、議会も125ペソの賃上げを全面的に法制化することを求めた KMUの要求を調査するかもしれないと述べた。

労相は、KMU等によって要求された125ペソ等の賃上げ要求は、使用者側にとって非常に高く、受け入れられるものではないと考えるかどうかについては発言を拒否し、「現時点では、地方委員会の権限なので結論は出せない」と述べた。どんな賃上げも使用者の支払能力を考えなければならず、地方委員会は雇用の確保と雇用機会の促進も考慮に入れ、賃上げ要求を詳細に調査しなければならないと語った。地方委員会は賃上げに対する正式な請願が提出されていない場合も、労働組合と要求について協議するなど、包括的に査定し賃上げ要求を詳細に調査しなければならないとした。

労相の説明によると、50ペソから60ペソ内での賃上げの請願は、首都、イロコス地方、コーディレラ地方、西部ビサヤ地方、中央ビサヤ地方、北部ミンダナオ地方、南部ミンダナオ地方で既に提出されている。また、賃上げに対する正式な申請を受けていない地方委員会は、それぞれの地域で賃金を調節する可能性を調査するために専門家による審議を行なっている。地方委員会は賃上げ申請に対する裁定をまだ行っていないが、来週公聴会を開く予定である。また、「賃上げ申請や他の苦情、不満に対する地方委員会の行動は緩慢である」という批判に対し、労相は「これは、地方委員会が、現状を注意深く調査し、労働者を援助するだけでなく、雇用機会の保障が得られるようにしているからだ」と述べた。

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