経済成長率3%前後と予測

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年11月

さまざまな機関で1999年及び2000年のタイ経済成長率が予測されている。

IMF、3~4%の成長を予想

IMF は1999年のタイ経済成長率を3%から4%と予測している。国内消費と製造業の生産が増加していることから IMF ではこのような見方を示している。経済の回復を示す指標としては、需要の増加、輸入の増加などがあり、3~4%の成長率では控えめすぎるとの意見もあったようだ。大蔵省の統計によれば、1999年上半期に輸入額は前年比8.5%増、輸出額は1.9%増となっている。世界銀行でも IMF の成長率予測は妥当であると発表している。

バンコク銀行、1.9%成長を予測

バンコク銀行は、1999年のタイ経済成長率を1.9%と予測した。同行は以前、中銀が3~4%と成長率を予測するなか、マイナス0.4%と予測していたが、製造業の回復、輸出入の増加などからプラス成長を初めて予測した。しかし消費者需要がまだ弱いことと、個人による投資がまだ活発になっていないとして他の機関より低い数値を出した。

ADB、3%の成長率を予測

アジア開発銀行(ADB)は1999年の成長率を3%、2000年の成長率を5%と予測した。その要因として、政府の経済刺激策と工場の生産能力の向上を挙げている。またインフレ率については、1999年が0.5%で、2000年は4%に引き上がると見ている。

国家経済社会開発庁(NESDB)、3.5%と予測

NESDB は1999年の第1四半期は実質経済成長率を0.9%と報告していたが、第2四半期は上記のような予測を発表した。しかしながら、1つの懸念材料として、農業分野の収入減を挙げている。農業部門の収入は第1四半期に比べて第2四半期では約10億バーツ(1バーツ=2.71円)も収入が減少している。その原因としては、乾季の農業生産性が低かったこと、また農産物の世界価格が下落したためと見られている。

成長率の根拠となる輸出入の変化

輸入に関しては、最大の輸入相手国である日本からの輸入は7.1%増、アメリカ、ASEAN 諸国からの輸入も増加している。品目別では、過剰設備の問題を背景に産業機械などの輸入は減少したものの、工業製品の生産増加により IC、金属製品、鉄・鉄鋼、自動車組み立て部品など原材料・部品関連の輸入が高い伸びを示した。

輸出に関しては、最大の輸出相手国であるアメリカの経済の後退が予測される一方で、日本や東南アジアの国々が成長を取り戻してくれるのではないかという期待が大きい。実際に1999年の上半期の対日本輸出は4%増、韓国やマレーシアへの輸出額も増えている。また、輸出が増大することによって輸出志向分野では雇用が増加し、製造業でも雇用数の増加が見込まれている。

品目別では、全体の15%弱を占めるコンピュータ・同部品が6.6%増、ハイテク産業では、世界需要の伸びを反映して IC が15.3%の高い伸びを示した。自動車など輸送機器・同部品の輸出は43.9%増加し、自動車メーカーの輸出部門の強化を促している。

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