失業率5.7%に

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年11月

NSO(National Statistic Office;国民統計局)と労働福祉省の発表によれば、タイの失業率は1999年5月の時点で5.7%に上っており、2月の時点での5.2%から0.5ポイント上昇した。タイの労働人口のうち12人に1人の割合で、職を失っているか求職中であるという計算になる。この数字は1996年の経済危機前における失業率の実に3倍である。失業者の数は約187万人と推測されており、高校・大学の新卒者失業率が高いことが全体の失業率を高める大きな要因となっている。

1999年5月31日付の公式統計によれば、総労働人口は3308万人、そのうち新卒者は68万人で、全体に占める割合は1998年比6%増加したと推計している。また、労働人口の約半分にあたる農業分野に1473万人、非農業分野に1677万人が従事しているとみられる。

労働福祉省によれば、1999年1月から6月の間で、社会保障法の下にある民間企業のうち1422の企業が閉鎖に追い込まれ、3万6288人、月平均5100人が失業したと見られる。1998年には5434の民間企業が倒産し35万1230人が失業していたという状況から考えれば、状況は少々改善したとはいえるが、未だ高い数字である。

タリン蔵相は、失業は1999年1月に底に達し、雇用状況は改善されていると語った。また、社会保障費を負担する労働者は1988年の620万人から1999年1月だけで80万人まで減少したが、それ以後は再び支払いが増えているという。絶対的な失業は増加してはいるが、増加のペースはかなり緩やかになっており、5カ月前から始めた政府の雇用創出対策(1999年3月から日本と世銀の15億米ドル融資を受け、50万人の雇用創出を目指したもの)が功を奏してきたのではないかと述べている。しかし、専門家の中からは、この雇用創出プログラムも限界をむかえている、という見解も出ている。

一方、世界銀行では1999年初頭のタイの失業率は約8%と高めに推計している。この数字には、統計にはなかなか表れない多くの季節的な農業労働者や建設労働者が含まれているためである。

今後は、多くの金融機関や製造業者が解雇者数を増やしていることから、都市の中流階級の失業率が高まるのではないかと見られている

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