全国労働市場庁による職業紹介の減少

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年11月

全国労働市場庁(AMS)は、スウェーデン労働市場でのかつての大きな影響力を失いつつある。AMS調査によればスウェーデン全土に418カ所あるAMSの雇用センターには全求人件数の32%しか報告されていない。AMSを通して就職する人数も減少しつつあり、1998年には12%に過ぎなかった。これを失業者にだけ限ってみると、AMSから新規求人情報を入手したのは失業者の22%に過ぎない。再雇用待ちの人々を除外すると、その割合は40%になるが、これも以前に較べればずっと低い割合である。

スウェーデン経営者連盟(SAF)の調査によれば、企業の45%はAMSの雇用センターを全く利用しておらず、雇用センターのみを通して求人している企業は20%に過ぎない。これらの数字に現われたAMSの機能低下の原因は、明らかに臨時雇用の増加傾向にある。AMSのベルント・モーリン調査部長によると、最近では毎年約100万件の採用の75%が臨時職で占められている。雇用主は人材を必要以上に継続雇用せず、以前に較べてより頻繁に再雇用している。この他に以下の2つの重大要因がある。第1に、過去には禁止されていた民間の雇用センターが1993年に解禁されたこと(これは事務職を中心としている)。第2にAMSは、そのサービスの比重をインターネットに移行しつつあり、このためAMSの把握しない所で雇用主と求職者(特に若年層)が接触しているのである。これら2つの影響は今後とも増すと専門家は見ている。

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