人権委員会、職場における妊娠差別に関する調査報告書を公表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年11月

連邦人権・機会均等委員会は妊娠と仕事に関する初の全国調査を行い、調査結果等を踏まえた提言などを内容とする調査研究報告書「Pregnant and Productive」を公表した。

豪州では、連邦性差別禁止法により雇用における妊娠を理由とした差別が禁止されている。今回の報告書では、こうした立法があるにも関わらず、妊娠した女性が雇用の場面で平等に扱われていない実態が明らかとなった。さらに、職場における妊娠差別が子供を持つかどうかの決断に影響を与えていることもわかった。

報告書の内容

妊娠差別の現状について、報告書は次のように指摘している。

  • 妊娠差別事件の多くが報告されずに終わっている。
  • 労働者と使用者の間でこの問題に対する誤解や情報不足が見られる。
  • 臨時労働者が特に差別の対象になりやすい。
  • 妊娠した女性は同僚からの嫌がらせや迫害を受けている。
  • 妊娠の可能性がある女性は、雇用や訓練、昇進に関する機会が与えられない傾向にある。
  • パートナー(配偶者を含む)については、出産時でさえも休暇を認められない事例が見られる。
  • 使用者は妊娠した女性を排除するために安全衛生規則を悪用している。
  • 職場での差別を恐れて、多くの女性が妊娠したことを隠している。

こうした現状を踏まえた上で調査研究報告書は、「雇用と妊娠」に関する権利義務関係を明らかにした正確な情報を指針を通じて伝達する必要があること、臨時労働者に対しても出産休暇を付与すること、企業別協約等に出産・妊娠に関する規定を設けること、などをその提言として示している。

同委員会所属の性差別担当委員が性差別に関する苦情のうち15%が妊娠に関わると報告したことを契機に、今回の報告書が作成されることになった。今回の調査過程においてこの種の調査研究不足が明らかとなり、出産休暇等に関する調査研究の必要性も指摘されていた。

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