対生産性賃金、国際的に低水準

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年10月

「1999年世界競争力レポート」によると、シンガポールの労働者、特に肉体労働者は生産性の水準に比して賃金が低く、その限りではシンガポールの賃金は国際競争力がある。

世界経済フォーラム(WEF)の企業幹部意見調査から得られたデータによると、シンガポールのオフィス清掃人やドライバーの賃金の中央値対生産性に調整済)は、世界の59カ国のなかでも特に低い水準に属する。シンガポールよりも低いのは、ロシア、ウクライナ、エクアドルだけである。

秘書や管理職中間管理職・上級管理職)も低水準。生産性水準を計算に入れた場合、シンガポール人秘書の賃金の中央値は59カ国中50位、中間管理職は45位、上級管理職は40位である。

未調整値でみると、シンガポールのオフィス清掃人とドライバーの年間賃金(5111ドルと8350ドル)は28位、すなわち59カ国中、中位にある。同様に、秘書は1万3917ドルで26位、中間管理職は3万4793ドルで19位、上級管理職は6万9585ドルで17位だった。しかし、いずれの場合も1人あたりのGDPを大まかな代理変数として使用して生産性に調整するとシンガポールの地位は転落する。

未調整の年間賃金で比較すると、アメリカの上級管理職が1位につけている以外は、すべての職種でスイスの賃金がトップ。その他の高賃金の国は、ヨーロッパ諸国、日本、香港などである。

しかし、生産性水準を計算に入れた場合、5職種すべてでフィリピンの賃金が最も高い。つまり、フィリピンの賃金は最も国際競争力が低いということになる。

レポートは、「競争的な賃金というのは、ここでは、ある国の生産性が賃金水準に対し高い状態を指す」としており、これによるとシンガポール、ベルギー、ルクセンブルク、オーストリアなどが賃金水準と比較して生産性が高く、競争力があるとみなされる。

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