金融部門で労組の関与しない企業別協定が締結される

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年10月

金融部門では、金融部門組合(FSU)が労働者の組織化を積極的に行い、かなりの成果をあげている。しかしながら、Australian Guarantee Corporationの従業員は労組の反対にも関わらず、使用者から提示された認証協定を承認する決定を行った。

認証協定は、企業レベルの労働条件決定を促進するために労働党政権下で導入された。当初は労組と使用者の間でしか締結できなかったが、職場関係法により使用者と過半数従業員との間でも締結可能となった。

今回承認された認証協定は、後者の使用者と過半数従業員との間で締結されたもので、労組は関与していない。同社の経営陣が従業員に直接認証協定案を提示したため、労組はそれに反対する姿勢を示していた。ただ同社の従業員で労組に入っているのは3%に過ぎず、62%の従業員が認証協定案に賛成する投票を行い、承認に必要な過半数を優に超える結果となった。

同社の認証協定は、今後3年間に毎年3.5%の賃上げと退職年金に対する使用者負担分の2%引き上げなどを内容としているが、他方で使用者側に有利な事項も含まれている。つまり、この認証協定により、使用者は、割増賃金を負担せずに午前7時から午後10時までの間であれば自由に従業員を配置できるようになる。

現在、労組が関与しない認証協定の適用を受ける労働者は全労働者のおよそ1割に達している。

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