CPF拠出率、引き上げは時期尚早

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年9月

リー臨時首相代理は5月30日、1月に引き下げられた中央積立基金(CPF)の使用者側拠出率を以前の水準に戻す予定はないとの考えを表明した。

同代理によると、経済は回復の兆しを見せてはいるが、このまま完全な回復軌道に戻るかについては予断を許さない。しかも回復の兆候が見え始めているのは、1月にCPF拠出率を10%ポイント引き下げた効果によるところが大きく、いま拠出率を以前の水準(20%)に戻せば、景気はふたたび悪化へ向かう恐れがあるとの認識を示した。

さらに同代理は、1月の引き下げは2年間続けられる予定になっていたと指摘、計画どおりあと1年半現水準を維持し、そのうえで状況を判断すべきであるとした。

CPF拠出率は、1985年の不況以前は50%にものぼり、従業員と使用者が25%ずつ負担していた。不況をきっかけに政府は1986年、使用者の負担分を15%削減して10%とし、その後1994年に20%まで戻した。一方、従業員の負担分は1988年から徐々に引き下げられ、1994年にやはり20%になっていた。1987年のアジア通貨危機が波及するに及び、それに対応するため1999年1月1日より下記の新しい拠出率が適用され、今日に至っている。

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