ヒューレット・パッカード、任意退職制導入へ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年9月

ヒューレット・パッカード・シンガポール(HPシンガポール)は6月3日、300人の余剰人員を削減するため、任意退職する従業員に退職金を支払う新制度を導入すると発表した。向こう5週間の間に退職に同意した従業員には、給与5カ月分に勤続年数1年あたり給与1カ月分を加えた額が支払われる。ただし、5週間が経過して同意した場合には、勤続年数1年あたり給与1カ月分だけが支払われる。

新制度の対象者は、生産オペレーター、技術オペレーター、品質保証検査士、倉庫管理員など。HPシンガポールのチアー社長は、提案を受けいれた従業員には再就職の支援も行うとしており、再就職先として、300人以上の欠員が生じているHPの関連3社、JITエレクトロニクス、オムニ・エレクトロニクス、ヴェンチャー・マニュファクチャリングをあげている。その場合、給与はこれまでと変わらず、月給1000~2000Sドルが保証される。 HPシンガポールは1970年以来、シンガポールに計20億Sドルを投資し、現在、7つの製造工場を有する。パソコン、モバイル情報機器、集積回路、インクジェット・プリンターなどのハイテク製品の製造に関わる約9000人を雇用している。1998年の生産額は3.4%上昇し、59億米ドル(100億Sドル)に達している。HPは今後もシンガポールに投資を続ける予定だ。

しかしチアー社長によると、シンガポールの賃金は近隣諸国の5倍以上に達しており、もはや川下部門の組み立て業務を維持するのは困難。「1999年1月から中央積立基金(CPF)の拠出率引き下げで若干の時間稼ぎができたが、それでも長期的戦略を考える必要がある」と判断し、今回、人員削減に踏み切った。300人の従業員が提案を受け入れれば、より高付加価値の事業に集中できるようになるという。 今回同社が打ち出した新制度は、エレクトロニクス産業と電気産業の従業員組合がすでに支持を表明している。とくにエレクトロニクス産業ではこの種の制度は初めてで、組合は歓迎している。

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