公務員のNTUC加入、ほぼ全員に開放

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年9月

公務員のNTUC加入、ほぼ全員に開放公務員の組合加入に関する新しい規則が4月1日に発効したことにより、人事担当や制服業務に就く者を除き、すべての公務員が組合へ加入することが可能になった。新規則で組合加入資格を有しない公務員が明確化されたため、これまで加入できないと考えられていた上級公務員や管理職クラスへも加入の道が開かれることになった。

新規則で加入が禁じられたのは、職務遂行と組合活動との間に利害の衝突が生じる可能性がある職種で、学校長、教頭、人事部長とその直属の部下などが該当する。これらの職は労使関係や、政府職員の採用・昇進・訓練に関与することがあるためだ。しかし、これらの公務員も全国労働組合会議(NTUC)の「一般支部」には参加することができる。

「一般支部」は、組合のない企業の労働者や組合のある企業の管理職(課長職以上)、また組合員資格のない公務員に、組合加入者(「通常支部組合員」)と同様の特典を享受させることを目的に、NTUCが1992年に設置した。8~12ドルという廉価な組合費を払うだけでNTUCの経営するスーパーマーケットで割戻金が得られるなどの特典が受けられる。しかし一般支部組合員は交渉において組合によって代表されることはできない。

公務員局によると、すでに組合ポストに就いており、今回の新規則で組合活動を禁じられた者は、任期終了までそのポストを保持することができる。任期が終了した時点で辞任し、通常支部組合員の資格を放棄しなければならないが、代わりに一般支部組合員になることは可能だ。

公的部門の組合は18あり、合わせて5万1275人の公務員および法定団体職員が加入しているが、新規則の影響を受ける組合員は多くない。

しかし、NTUCのマッティアス・ヤオ副書記長は、今まで多くの公務員は漠然と上級職や管理職は組合員になれないのではないかと考えており、今回、組合加入資格を明確にしたことは大きな意味があると論評している。また新規則の影響を受ける者も、引き続き組合員の教育訓練にあたったり、社会福祉・レクリエーションの面で組合員の要求に応えたり、資金を調達したりすることができるという。

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