職場関係省、「仕事と家庭の両立」に関する報告書を公表
雇用職場関係小規模事業省の仕事と家庭局は、企業における「家庭に優しい」規定や慣行に関する報告書を公表した。
同報告書は、連邦認証協定とオーストラリア職場合意(AWAs)、公益事業での認証協定においてどの程度「家庭に優し」規定が定められているのかを主に調べたものである。あわせてアフアーマティブアクション法に基づき企業が提出した報告書なども分析された。
報告書の内容
報告書はまず「家庭に優しい規定・慣行」の定義について言及している。その代表として、企業内保育施設や有給の育児休暇などが挙げられているが、学齢期の児童や高齢の親などの世話をする労働者の利益となる事項全体が報告書の対象とされた。中でも、弾力的な労働時間制が「家庭に優しい規定」として分析の対象とされている点が注目される。
- 「家庭に優しい規定」を定める企業は増加しているが、その程度は様々である。連邦認証協定とAWAsに関するデータでは、前者の67%、後者の79%が1つ以上の家庭に優しい規定を持っていた。
- 「家庭に優しい規定」の中で弾力的な労働時間制がもっとも一般的であった(認証協定の52%、AWAsの39%に定められていた)。子供などの扶養家族の年齢に関係なく労働者を支援でき、企業にとって費用がかからないという点で、これらの方法は重要である。その他に一般的であったのは、短時間労働勤務と有給の家族・介護者休暇である。
- 弾力的な労働時間制(たとえばフレックスタイム制など)が、労働者の職務満足度やストレス低下に影響を及ぼす重要な要素であることも明らかとなった。
- 認証協定やAWAsが、個々の職場のニーズに合った家庭に優しい規定を実施するための有効な手段であることが実証された。
- 家庭に優しい規定が常に協定を通じて定められるわけではない。たとえば、職場に適用される認証協定には有給の育児休暇制度はないが、職場レベルでこうした制度が設けられていることもある。
- 企業規模が大きくなるほど、家庭に優しい規定が定められる傾向にある。
この報告書を受けてリース長官は、職場関係法が労働者の「仕事と家庭の両立」に貢献していると評価した。つまり同法が、個々の職場のニーズに対応した施策に有効であるというのである。
今回の報告書は、その手法と内容の点から批判を浴びることとなった。というのは、報告書の利用したデータが既存の報告書やデータベースに基づくものであり、労働者の生の声が反映されているとはいえなかったためである。長時間労働やダウンサイジングに伴う労働者のストレスの蓄積、さらには弾力的な労働時間制が不利に働く労働者群の存在など、家庭を取り巻く状況はむしろ厳しくなっているとの指摘もある。
1999年9月 オーストラリアの記事一覧
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