電子産業での組合問題

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年9月

紆余曲折を経ながら企業別組合が解禁されてから10年が経過したが、米国系エレクトロニクス企業、ハリス・アドヴァンス・テクノロジー社(HAT)の組合承認問題はなお未解決のままである。

HATが1988年にRCA社を買収した当時、RCA社ではマレーシアで初めての企業別組合が結成されていた。以来、HATは社名を変更したり、組合活動に積極的な従業員を旧会社に残したまま新会社を設立するなどの戦術を通じて組合活動を一貫して妨害し続けてきた。

当時のハリス・ソリッド・ステイト・マレーシア労組は、現在のハリス・アドヴァンス・テクノロジー労組(HATWU)への名称変更を人的資源省の労働組合局長に申請し、1997年1月に承認されたが、同社はこの承認を疑問として同年3月に高等法院に不服を申し立てた。1998年4月に高等法院は労働組合局長の決定を覆し、組合に衝撃を与えたが、組合は同年5月に控訴院に控訴し、現在、判決が下るのを待っている。

その間、組合は会社側に対し、すべての法手続きから手を引き、すでに10年間保留されている労働協約を締結するよう要求してきたが、会社側が交渉の要請に応じる気配はない。会社側の姿勢に反発して約1000人の従業員が5月以降、同社のウル・クラング工場でピケを張っている。

ジャーファルHATWU事務局長によれば、組合がピケに踏み切ったのは、会社側が労働側代表との交渉の場に就こうとしなかったためで、組合員はその時までピケを続けると誓っている。HATの親会社である米国のハリス・コーポレーションがマレーシア工場を含む半導体部門を売却しようと計画していることも大きな懸念材料だ。 HATWUを支援してきたマレーシア労働組合会議(MTUC)は、こうした事態をマレーシアにおける労使関係に対する侮辱とし、人的資源省の介入を求めている。ピケ現場に姿を現したMTUCのラジャセカラン書記長によると、HATは組合を承認しようとせず、労働協約の調印を先延ばししている。

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