公務員連盟Korpriの改革

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年9月

インドネシア唯一の公務員の公式組織が、いまだに必要なのかどうかという疑問が投げかけられている。

公務員連盟Korpriは1971年の総選挙に先駆けて創設され、1100万人の公務員(国営企業の従業員含む)は必ずKorpriに所属し、ゴルカル党に加盟しなくてはならなかった。公務員がKorpriに加入することは業績評価の項目に含められ、昇進に大きな影響を与えるものであった。また選挙の場合には与党ゴルカル党を支持するように10人を勧誘することが義務付けられていたために、Korpriはゴルカル党の票集め要員だと批判されてきた。さらに、党に対し毎月様々な寄付(最低でも月500ルピー)が義務付けられており、給与から差し引かれることが日常茶飯事であったという。このようなことから、公務員は「何の見返りも期待できない収奪のターゲット」にされているという声も出ていた。

しかしながら、今回の6月の総選挙で初めて公務員が自由に政党を選ぶことができるようになり、Korpriの組織としての方針を見直さざるを得ない時期が来ている。会員の支持を得るためKorpriの幹部らは組織の崩壊を妨ぐために努力しているようだ。

組合員の福祉向上を担当しているKorpriのソエナルコ福利厚生局次長は「我々会員の福祉向上のために、運輸省と提携し旅行割引の提供を計画している」と語り、すでに国営バス会社のダムリと提携し、公務員の運賃20%割引を開始しているということだ。また、組織の改革を約束し、公務員の給与引き上げ・地位が低い会員への住宅供給や配給される米の質改善などを検討している。しかしながらこのようなKorpriの改革に関して、市民はこれを懐疑的な目で見守っているというのが現状である。

Korpriの改革が注目されるなか、フェイザル・タミンは住宅省の事務局長を辞任し、この5月にKorpriの委員長に就任した。タミン氏は公務員はその職を辞すまではKorpriから脱会すべきではないとしているが、「組織が会員の権利のために戦おうとするならば、会員に組合に残るか否かを決定できる自由を与えるべきであり、会員になることを強制することはできないだろう」と、社会学者のイグナス・クレデン氏はタミン氏のコメントを受けて反論している。

1999年6月22日のハビビ大統領との会談の後、ファミ労相は、1998年政府が結社の自由・団結権に関するILO87号条約を批准したことをあげ、公務員は自由に組合を結成することができると述べた。また、すでに8つの国営企業が独自の労組を登録しており、いまやKorpriはほかの労組と何ら変わりはないと述べている。

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