1万6000人以上が失業
―1~3月期、中央ルソンと南部ミンダナオ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年9月

労働雇用省(DOLE)と国家経済開発庁の発表によると、1万6000人以上の労働者が1~3月期に中央ルソンと南部ミンダナオ地区で失業した。 中央ルソンでは、少なくとも8602人の労ュ者がこの期間に解雇されたが、これは1998年同地区の失業者1万8562人の50%に相当する。労働雇用省によると解雇された6782人の労働者は、経済特別区で働いていた。特にマリベレスのバタヤン経済特別区は、解雇された労働者数が6108人と最も多い。またアンゲレス市のクラーク経済特別区で400人、サビック湾自由港地区で316人、ルイシタ工業団地で48人が失業した。 各地域で新規に解雇された労働者数は、バタアンでは6134人、ブラカンでは1197人、ザムブレスでは349人、ニュウバでは67人、タルラックでは48人である。解雇は3社は倒産、54社では解雇、11社ではローテーション労働制の導入、7社では強制解雇を理由としている。また、以上の75社のうち、解雇の理由として、26社は市場不調、11社は財政上の損失を挙げている。75社の業種の内訳は少なくとも49社は工業関係で、うち40社は製造業、5社は電気・ガス・水道業、3社は建設業、1社は鉱業、26社は流通・輸送・個人サービス業である。 労働雇用省では、この地域で1998年164社が1万8562人を解雇したとしている。同省のディオノ地域局長は、解雇された労働者を救済するため、1998年から1999年初めまでに1100万ペソ近くが支出されたと述べている。 同地域の多くの労働組合員は、1998年より高い賃金とより良い労働条件を求めていた。スト通告は1998年に合計65件にも達し、1万3391人がストに参加した。これは1997年のスト通告60件、参加労働者1万1047人より増加している。特に、3月12日のスト通告では4065人の労働者が列をなして行動し、184人の労働者が4月までこの地域でストを続行した。しかし実際決行されたスト数は、1997年の9件に対し、1998年は6件であった。 今回の労働雇用省の資料について、同地区の労組は、もっと多くの解雇者がまだ報告されていないと述べ、仕事のない労働者の増加を訴えている。 南部ミンダナオでは、8343人の労働者が今年の第1四半期に仕事を失った。 国家経済開発庁によると、解雇者数は昨年同期より3583人多い。解雇者の大部分(5456人)は製造業である。その他には、農業、漁業、林業が続いている。国家経済開発庁は、労働雇用省の報告書を引用しながら、製造業では材料不足、商品に対する需要の停滞が人員削減の要因になっているとしている。 国家経済開発庁の報告では、農林水産業部門では需要の停滞、生産コストの高さ、プランテーションにおける洪水による損害により影響を受けたと述べている。しかし、国家経済開発) 囲な削減■削減規模は、非主要業務の削減に大きく依存し、悪くない」と述べている。国家経済開発庁の報告書によると南部ミンダナオの新規の雇用者数は、1997年に比較し2.06%増加し、約3万9000人の新規雇用が創出されたとしている。 また報告書には、「もし労働者個人の生活と家族に視点を置けば、良くは見えないが、マクロレベルでみれば現在の解雇状況はそれほど深刻ではない」と書かれ、「今年この地域での経済見通しは、為替が安定すると予想されるので明るく、安定した為替状況により、更なる投資がもたらされることが期待できる」としている。

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