輸送業者が燃料価格値上げに反対しスト

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年9月

国内の3つの大きな石油会社は、世界的な原油価格の上昇に対応して石油製品の価格を上げていたが、5月25日運輸業者のグループが最近の度重なる燃料価格の値上げに反対してストを行い、マニラ首都圏の一部とイロイロ、アルベイの輸送機関が混乱した。公共交通機関の停止、投石による事故などはあったが、さいわい負傷者は出なかった。

労働者の全国組織は、上記地区以外の輸送業者の支持は得られなかったが、マニラ首都圏の交通を70%混乱させた抗議行動は成功したと発表した。また、左派系労組のベルトラン5月1日運動(KMU)委員長は、輸送機関のストに対する市民の反応は「非常に肯定的だった」「運転手は警笛を鳴らし、デモ隊に寄付さえした」「燃料価格引き下げ要求は熱烈に歓迎された」と語るとともに、ストはクバオ、セイント・メサ、そしてモニュメント地区で最も効果があったと述べた。

一方、マニラ首都圏の交通当局は、ストの効果を軽視した。ビナイ開発局長は、ストはマニラ首都圏北部が中心でモニュメント地区、サンガンダアン、マッカーサー道路、キュバオの一部で行われたに過ぎないと強調、カマリロ開発局交通管理センター所長は、午後には足止めされる通勤客はいなかったと述べ、また多くのジプニーの運転手は午後には平常営業し、午後5時には大部分の公共輸送機関は平常に戻ったという。

ストが行われた地域の何カ所かには、マニラ首都圏開発局や関係当局によってバスやトラックなどが、通勤客のために配備された。運賃の値上げ ジプニー運転手にとって、ディーゼル燃料(軽油、重油)のリッター当り1ペソの値上げは、1日の燃料代が35~40ペソ増加することを意味する。ランティン陸路輸送調整局長は、燃料価格の値上げと同一基準の料金値上げ申請を6月7日まで待つことを運輸業者に約束させ、「料金値上げを許可するかどうかについてまだ何も言えない。料金値上げは、本当に必要ならばそうせざるを得ないかもしれないし、我々が採用できる他の方法を考えることにより、必要でなくなるかもしれない」と語っている。政府的な要求と当局の対応 ストの指導者達は、上院がVFA(“TheVisitingForcesAgreement”フィリピンに派遣される米兵の法的地位を定めたもの)を支持した事が、スト実施に直接結びついたと述べている。

マニラのビナイ開発局長によるとスト実施者は、燃料価格引き下げという経済的要求とVFA反対という政治的要求を同時に掲げていたという。

このような状況の中でマラナンフィリピンジプニー運転者・経営者同盟(Fejodap)議長は、3万人の会員のストからの復帰を決定したがその理由として、ストの目的が燃料価格の値上げに向けられていたのではなく、VFAに向けられていたことを挙げている。

イロイロの混乱――イロイロ地域では、イロイロ市運転手協会(Icada)、イロイロ市輸送業者同盟が、燃料価格の値上げに反対して道路上でストを続けた。 アアロンIcada議長は、イロイロ市と県の公共輸送機関の99%を混乱させ、今回の抗議行動は「非常に成功」だったと述べ、その理由として、今回初めてタクシー運転手がストに参加したことを挙げた。マラボー市長ら関係当局者は、ストはイロイロ市と県の経済に悪影響を与えたと述べた。

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