セクハラ行為準則に法的効力

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年8月

リム人的資源大臣は5月20日、人的資源省が導入を準備しているセクシャル・ハラスメントに関する行為準則に法的効力を付与する意向を明らかにした。ただし、それにはマレーシア使用者連盟(MEF)とマレーシア労働組合会議(MTUC)の同意が必要である。

リム人的資源大臣によれば、MEF と MTUC は「職場におけるセクシャル・ハラスメントの防止と扱いに関する行為準則」の導入にはおおむね同意している。ところが、3月に導入が報じられて以降これまで、同準則は単なる文書にすぎず、セクハラに対して何ら実効性を持たないとの懸念が広まっていた。人的資源省はこうした懸念を払拭するため、同準則に法的効力を与える方針を固め、現在、両団体と調整を進めている。

労使関係法には、国内最大の使用者団体および労働組合の両代表がこの種の行為準則に同意し調印した場合、同準則は自動的に法的効力を有することになるとの規定が含まれている。その場合、法的効力とは、「裁定を下す際に裁判所は、使用者と労働者の各代表組織の間で交わされた雇用慣行に関するいかなる協定ないし準則をも、人的資源大臣が承認したものであれば、考慮にいれてよい」(労使関係法第30項(5A))という意味のものである。

前例としては、1975年にマレーシア使用者組織評議会(MEF の前身)と MTUC が「労使協調に関する行為準則」に調印している。

セクハラ行為準則が法的効力を持つようになれば、被害者は当該企業のセクハラに関する方針で定められた事項に依拠して、労使裁判所で補償を求めることが可能になる。

リム大臣によれば、同準則の発布は6月上旬になる見通しである。同大臣は、発布された際には速やかにこれを採用するよう使用者に呼びかけると同時に、従業員は採用を使用者に求めることができると付け加えた。

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