プランテーション部門への月給制導入について

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年8月

マラヤ・インド人会議(MIC)のサミ・ヴェル会長は5月27日、プランテーション部門への月給制導入を図るための調査委員会を設置し、7月までに報告書を内閣に提出する意向を明らかにした。

委員会は労働法の専門家、弁護士、プランテーション部門の代表らから成り、委員長にはヴェル会長が就く。同会長によれば、内閣に提出する報告書の骨格は既に出来ており、あとは細部をつめるだけだという。MIC は連立与党=国民戦線に参加しており、同会長は公共事業大臣でもある。

植民地時代以来、同部門では日給制がとられており、収入のより安定する月給制への移行を求めて全国プランテーション労働者組合(NUPW)はマレーシア農業生産者協会(MAPA)との間で長年にわたって議論を重ねてきた。1月に新たな労働協約を締結するにあたり、NUPW は折からの高需要を背景に月給制の導入を盛り込むよう MAPA に強く要求したが実現できなかった(本誌1999年4月号参照)。

しかし、それと前後して、一部のプランテーションで月給制が試行され、またマハティール首相が導入支持をほのめかしていることが伝えられるなど、月給制導入問題はその後もくすぶり続けていた。

MIC は1946年の結成以来、インド人の権利を擁護することを標榜してきただけに、多くのインド人が就労する同部門への月給制導入をかねてから要求してきた。「本来プランテーション労働者に関する問題は MAPA と NUPW の管轄であることを承知している」(サミ・ヴェル会長)としながらも、この機をとらえて政府が月給制導入を決断しやすい環境を整えたい意向だ。

リム人的資源大臣は、近くこの問題について MAPA および NUPW との会合を開くことになっているが、人的資源省が直接事態に介入することは差し控えたいと表明している。

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