Phil-JobsNetスタート

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年8月

労働雇用省の発表によると、求職者がインターネットを通じた就職活動ができるようになった。

Phil-JobsNet を通じ、求職者は民間企業の空いているポストを探すことができ、使用者も必要な人材を探す事ができる。ビエンベニド・ラグエスマ労相は、Phil-JobsNet について次のように語った。「労働者を求人する時間が少なくてすむ。なぜなら仕事の欠員はすぐオンラインされるからである」。「21世紀の有力な、競争力のある武器は、育成され、労働者の武器となるだろう」。

ラグエスマ労相は、政策計画者・立案者、そして研究者は、人材開発の政策をまとめる時に使用できる統計や基礎資料を入手できるとも述べた。

労働雇用省は、各職業安定所や経済地区にオンライン求人・求職システムを設置したが、既に150の雇用者が、Phil-JobsNet に登録し、約1600の求人を出している。また、労働雇用省は Phil-JobsNet の登録を宣伝するために、そのシステムを国立大学の卒業生を対象に実際に説明を行った。

フィリピンの公共職業紹介業務は、国レベルの機関としては国内雇用局(BLE)と海外雇用庁(POEA)があり、それぞれ国内と国外の職業紹介業務を担当している。この他に、農村地域の労働者の雇用機会の創出を担当する農村労働者局(BRW)が設置されている。実際の職業紹介業務は、労働雇用省の地方組織である地方労働事務所(全国14カ所)の雇用推進課が行っていたが、1992年1月に施行された新しい地方自治法の下で、75のプロビンスごとに地方自治体が設置する職業安定所(最低限の定員は4名)が整備されつつあった。これに伴い、労働雇用省の国内雇用局および地域労働事務所の雇用推進課は地方自治体が行う職業安定所の業務の技術的支援や職員の研修だけを担当する事となった。このため、Phil-JobsNet のデータ収集は、地方自治体の職業安定所が中心に推進する見込みである。

しかし、労働者の就職する経路として公的な職業機関がどの程度の割合を占めているかを見ると、必ずしも高くない。国家統計局の総合家計調査によれば、失業者の最も一般的な求職方法は、「親戚・友人を通じて仕事を探す」であり、求職活動を行っている約4割の労働者がこの方法を用いている。その次が「事業主を直接訪問する」方法で、公的な職業紹介機関を通じて求職活動をしている人は求職者全体の1割前後で、さらに、民間の職業紹介機関を利用している人は、その2分の1程度であり、有効な公的職業紹介機関の整備が望まれていた。

また、フィリピンの労働情況を他の発展途上国と比較してみると、教育・技能水準の高い労働者が就職できず、高学歴者の失業率が高いと言う特徴があるとともに、産業界も経済危機の中で必要とする人材を見出せないという事情があった。

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