労働組合員数、18年ぶりに下げ止まる

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年7月

労働組合会議(TUC)が5月4日に発表した調査によると、労働組合員数が18年ぶりに下げ止まり、今年中に増加に転じる見通しだ。

労働組合員数は1979年に史上最高の1328万人(推定組織率57.3%)を記録して以降、一貫して減少してきた。その理由として1980年代から悪化した失業情勢、サービス経済化の進展、若年者層の組合離れに加え、保守党政権が実施してきた雇用関係法や労働組合法の改正の影響が指摘されている。

ところが最新の『労働力調査』の分析によると、1998年の組合員数は680万人(同30%)で、1997年とまったく同じであった。TUC は今年に入り、組合員数の2%減少を見込んで同スタッフを10%削減する計画を発表していただけに、今回の結果に驚いている。

こうした背景には、導入を間近に控えた「職場における公正」関連法への対応がある。特に使用者が警戒しているのは組合の承認を使用者に義務づける組合承認法。同法が導入されれば訴訟や中央仲裁委員会(CAC)の介入が増えることが予想され、それを回避するため導入前に自主的に承認協定を締結する使用者が産業全域で増えている。使用者が組合を承認することは組合を正式の交渉相手として認知することであるから、これにメリットを見いだして組合に新たに加入したり脱退を控える労働者が増えているようだ。

組合員数は安定しつつあるものの、労組が獲得する層には変化が見られる。

例えば、1997年から1998年の間には6万人の女性組合員が増加した。これはパートタイム労働者やアフロ・カリブ系の女性の加入増加を反映している。また同期間にパキスタン人やバングラデッシュ人の加入率も16%から22%に増加している。

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