給料の指数化騒ぎ始まる

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年6月

ブラジル政府がIMFと結んだ新協定の中で、1999年のインフレ上限を16.8%と定めて、1998年に2%も満たないインフレを体験して、低インフレが続くと期待していた国民を驚かせた。1月中旬に為替の大巾切り下げを実施してから、まず輸入品が値上がりし、続いて輸入部品を組込んだ製品、加えて国際相場で取引されているコーヒー、大豆、オレンジジュース、小麦などが値上がりし、インフレ再来の不安が強まった。政府は国民向けに、インフレ上昇傾向は一時的現象であり、6月から「以前の水準に下がる」と発表したが、IMF にはインフレ上限を16.8%と約束しており、国民の一部はこれを政府のインフレ目標のように受け取った。政府としては低く目標を定めて、もしそれ以上になった場合、目標達成に失敗したと評価されないように上限を高く設ける手段を取ったようであるが、これを野党は政治的に利用し始めた。現政権の政策に政治的に反対している野党議員や労組幹部は、インフレ上昇から労働者の給料を守る手段の採用が必要だと主張し始めた。野党は、インフレがどう進むかわからないうちに、現行経済政策を攻撃するために、給料を補充するメカニズム採用を要求し、さらに5月1日の最低給料改正日を利用して、最低給料の引き上げ要求を発表している。

指数化(インデクセーション)は、1994年7月からの経済安定計画レアル計画実施までは、経済全体に浸透していて、これが年間2600%水準のインフレに引上げる原因になった。

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