人的資源省、セクハラ指針を近く発表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年5月

人的資源省はセクシャル・ハラスメントの被害者を救済するため、3月中にガイドラインを発表する。セクハラの構成要件を規定し、被害者が報復行為を恐れることなく苦情を申し立てられる方法について紹介する。

ガイドラインの名称は「職場におけるセクシャル・ハラスメントの防止と扱いに関する指針」。3月1日にクアラルンプール市内のホテルで開催されたセミナー「職場におけるセクシャル・ハラスメント」の終了後、リム人的資源大臣が明らかにした。同大臣によれば、ガイドラインにより、被害者は労使裁判所に訴えなくても、直接企業トップや人的資源省とともに問題解決を図ることが可能になる。

これまで明らかにされたところによると、被害者はまず経営者に苦情を申し立て、それでも問題が解決しなければ人的資源省が介入する。被害者の申し立てが正当と判明した場合、被害者がその職場で働き続けたくなければ、何らかの補償が与えられるよう努めるという。また、同省内にセクハラを専門に扱う部署を設置し、被害者に助言やカウンセリングを提供する。

同大臣によると、過去3年間に人的資源省に寄せられたセクハラ被害の訴えは110件、加害者はすべて男性上司であった。また全国女性行動協会には72件、マレーシア使用者連盟には6件の被害報告が寄せられている。同大臣はこれらの訴えを「氷山の一角」にすぎないとし、マレーシアにおける未報告のセクハラ被害の割合は先進国に比べて高いと述べた。

マレーシアではこれまで、セクハラの被害者が事件に対処するための手続きが確立されてこなかったため、被害者(特に女性)の大半は、労使裁判所に訴えるのを恥ずかしがったり、解雇などの報復を恐れて泣き寝入りに甘んじてきた。同省は、セクシャル・ハラスメントは、放置されると伝染病のように蔓延すると判断、被害者が申し立をしやすくするためガイドラインを発表することになった。

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