フォード社で大量解雇発表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年4月

自動車工業は1998年、前年より国内販売が21.03%低下、生産は23.99%低下した。20万台の在庫を抱えて1999年を迎え、1999年の見通しも暗い。

ワーゲン社では、1999年1月1日から週4日労働と給料引き下げを実施しており、他社も一斉に人員整理と長期集団休暇を出している。フォード社は、サンパウロ首都圏のサンベルナルド工場で1998年12月18日から年末にかけて集団休暇を出し、自宅でクリスマスを過ごす約6000人の労働者の41%に当る2800人に解雇通知を送付した。同社では1月5日の生産再開以来、解雇に抗議する労働者が工場を占拠し、解雇取り消しを訴えている。

同工場は1990年にもベア交渉のもつれから工場が占拠され、自動車26台を含め機械設備が破壊された歴史を持っている。今回は、解雇された労働者とともに全労働者が出社して働く意欲を世論と政治に訴訴えようと、全員が持ち場に着いて生産しようとしたが、使用者側が電源を切って生産を阻止した。労組側は、解雇された労働者について、1月に入って占拠している工場内にその家族を招いて遅れたクリスマスをささやかに祝う作戦をとっている。労組側は同時に、州知事や国会議員を通じて、同社使用者に解雇を取り消しさせる圧力をかけようと工作している。

フォード社は主に中小型車を生産している。使用者側は、1998年まで小型車に与えられていた工業製品税の減税を再度与えることと、自動車販売を促進する政策を採用しないなら解雇は取消し不能と強気な姿勢を示して、解雇を政治的圧力手段に使っている。労組側が解決に知事や国会議員の介入を工作していることは、使用者側にとって企業の立場を主張するチャンスとなる。

自動車工業は、1997年に206万9703台生産したが、1998年に23.99%減少して157万3128台となった。輸出は41万6872台から7.72%減の38万4674台へ、輸入だけは30万3119台から34万5068台へ13.84%増加した。輸入車を含めた国内販売は21.03%減少している。こうした不振のため1997年末に10万6085人だった自動車関連部門の雇用は、1998年末に10.11%減少して9万5357人へ減少した。組み立て工場から2800人を解雇すると決定したフォード社は、1997年の27万8256台販売が1998年は29.71%減少して19万5577台となった。自動車工業では1999年の生産を140万台と悲観的な予想を出しており、解雇はまだ続くと見ている。

フォード社は「1月に生産を開始する予定であったが、解雇した労働者が工場を占拠して生産できない」として、1月末日まで集団休暇を延長すると発表した。GM 社でもサンパウロ首都圏のサンカエターノ工場に、従業員8700人のうち1000人の余剰があるとして、1000人に5カ月間のレイオフを出し、給料の80%を支払うが、5カ月を待たずに解雇する可能性もあると発表した。同社は労働時間、給料ともに20%削減を提案していたが、突然レイオフを発表したものだ。労働者は解雇回避のため、給料削減を交渉する計画だった。

1人当り年間15.7台生産

ブラジルの四輪組み立て工業は、1998年に10万1947人(年末には9万5357人に減少)の労働力により157万3128台生産した。労働者1人当りの生産は平均15.7台となり、1995年以来最低の生産性となった。1990年の7.7台から1997年まで年々増加し、1997年は前年24%増の19.5台となっており、1998年は1990年代で初めて後退した。生産の減少ほど労働力を削減しなかったことで、1人当りの生産台数は大きく減少したもの。ただし、1998年の生産性後退は工業の技術的問題や生産上の問題ではなく、国外の要因で後退したものであり、外的条件が整えばすぐ回復する性質の後退である。自動車部門では、1999年末までに新規進出工場を含めて260万台の生産能力に達すると計算している。

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