問い合わせを受けて感じること

調査員 上村 聡子

私がいる調査・解析部(調査・統計データ担当)では、労働関係の各種統計データの収集・提供を行っているため、ときどき電話やメールで労働統計に関する問い合わせをいただくことがある。

一口に労働統計に関する問い合わせといっても、その内容は多岐にわたっていて、賃金構造基本統計調査や毎月勤労統計調査などの統計調査の内容についての問い合わせもあれば、タクシー運転手の賃金、日本で働く外国人の賃金の相場、裁判員制度への企業の対応の実態、小学校教員の生涯賃金額、昭和○年に就職した人の生涯賃金額、フリーターの人数、永年勤続表彰の賞金の相場、深夜労働の実態が分かる統計、といったような具体的なデータの所在についての問い合わせもある。中学生から賃金について質問をいただいたこともあったし、中にはグラフの作成依頼まであった(これについてはお断りしたが)。

いただいた問い合わせに対しては、スタッフ一同協力して回答に努めているが、それでも依頼に応えられないことはあり、そんな時には心苦しいけれども、その反面、求められている情報を提供することができて、相手の方に喜んでいただけた時には、とても嬉しい。

この部署に来て間もないころは、問い合わせを受けるたびにドキドキしていたものだ。当時、上司に「問い合わせを受けることが一番勉強になる」というようなことを言われた記憶があるのだが、そのとおりだと思う。問い合わせに回答するために、調査の対象や方法、統計で使用される用語の定義について再確認することや、既存の調査結果から該当するデータや類似するデータを探したりすることは、労働統計を扱う仕事をしていく上でとても役に立つと思う。

このことに加えて、最近では、問い合わせを通じて労働統計を利用している人と直接に接することができる、というメリットもあるように感じている。問い合わせの電話やメールによって、様々な立場の人がそれぞれの理由で労働統計を必要とし利用しているということを改めて認識できる。問い合わせの内容は違っても、検討や考察のための素材として労働統計が求められていることを共通して感じることができて、これは貴重な機会だと思う。

調査・解析部(調査・統計データ担当)では、労働統計データベースを運用しているほか、最近の統計調査結果から主要労働統計指標など最新の労働経済指標を継続的に収集してホームページを中心として提供している。これからも、労働関係の統計データを必要としている方々のことを意識しつつ、より役に立つような情報提供につとめていきたい。

(2010年1月22日掲載)