6月1日に都市交と組織統合/自治労中央委員会

(2013年5月29日 調査・解析部)

[労使]

地方自治体の職員や公共サービス民間労働者等で構成する、自治労(徳永秀昭委員長、約82万人)は23~24日、都内で中央委員会を開催し、当面の闘争方針等を決定した。徳永委員長はあいさつの中で、地方自治体の交通事業(バス・地下鉄・路面電車)に働く労働者で構成する都市交と、6月1日から完全統合(連合加盟形態を変更)することに触れ、自治労(統合後:84万6,133人、うちパート1万9,690人)として「今回の組織統合を機に、地方公共サービス労働者の総結集と運動の活性化を図り、質の高い公共サービスの再生と強化に努める決意だ」などと述べた。

徳永委員長「138組合が臨時給与削減なしで妥結」

徳永委員長はあいさつの中で、地方交付税法等改正法案成立後、国公給与の臨時削減(▲7.8%)に準じた措置の実質的な地方への要請が行われていることについて、「地方自治の否定であり、到底許すことはできないこの暴挙に対して、二次にわたる全国統一闘争を配置し、不退転の決意で(地公への波及阻止に)取り組んできた。当局提案を待つのではなく、主体的に労使交渉の場を求め、少しでも削減提案を跳ね返すべく、勤務時間に食い込む29分時間内の職場集会や時間外集会、ビラ配布などを展開した。極めて厳しい情勢下の交渉だったが、138組合が削減なし、7組合が何らかの緩和措置で妥結した。また、6月以降の継続協議とし、実質的に削減期間の縮減を図っているのが17組合となっている。1つの成果であり、敬意を表したい」などと評価した注1

一方、要求書を提出済み・提出予定の組合が全体の6割強にとどまっている実態については、「非常に厳しく受け止めざるを得ない。これが現在の自治労の組織実態だ。産別統一闘争の取り組みに当たり、組織強化が重要かつ喫緊の課題であることを再認識した。要求・交渉・妥結・書面協定のサイクルを確立することが、対等な労使関係を築く第一歩だ」などと強調した。

徳永委員長「公共交通サービスに係わる課題を自治労運動の柱の1つに」

自治労は1月の臨時大会で、都市交との組織統合を最終決定した注2。6月1日からは連合加盟を一本化する。徳永委員長は、「今後は都市公共交通評議会を窓口として、都市交運動のアイデンティティを継承し、しっかりと次代の運動につなげていくことが重要だ。地域に根ざした公共交通政策が実現できるよう、公共交通サービスに係わる課題を自治労運動の大きな柱の1つとして取り組みたい」などと述べた。

新たな組織拡大方針も提起

中央委員会では、「自治体財政の確立と自治・分権の推進」「参院選挙闘争をはじめとする政治活動の推進」など15本を柱とする、当面の闘争方針を決定した。また、2003年に10年計画として策定した「組織拡大アクション21」が取り組み期限を迎えることを受け、この間の最終総括(案)と、向こう6年間にわたる新たな組織拡大方針(組織討議案)も提起した。

自治労調査によると、行政改革やアウトソーシング、市町村合併、団塊世代の退職等を通じ、自治体職員は2012年時点で約81万9,000人と、9年間に約16万人減少した。新規採用者の組合加入率は65.0%、自治体単組の組織率は70.7%まで落ち込んでいる。こうしたなか、新「組織拡大アクション21」(案)では、当面の組織拡大の重点分野を、 (1) 新規採用者、未加入者、再雇用者 (2) 競合単組の組織対策・加入拡大 (3) 自治体、公共民間の非正規労働者 (4) 未加盟・未組織自治体 (5) 公的病院 (6) 福祉分野 (7) 消防職員協議会 (8) 環境、教育、スポーツ・文化、庁舎管理をはじめとする公共民間組織――に設定するなど、組織拡大推進体制の強化を図る内容となっている。今後、組織内の議論を深めて今夏大会での決定をめざす。

大阪府本部が労使関係アンケート問題で報告

討論では大阪府本部から、大阪市労連および構成組織が、橋下市長が業務命令として市職員全体に行った労使関係に関するアンケートが不当労働行為に当たるとして、これを含め大阪府労働委員会に7件の不当労働行為救済を申し立て、大阪地裁に訴訟2件を提訴してきた件をめぐり、「職員アンケート、チェックオフ廃止、組合事務所の使用不許可、団交拒否、労働協約破棄と数々の攻撃に対し、全国組合員の支援を得てたたかっている。組合活動に関する職員アンケートの問題については、大阪府労働委員会が3月25日に不当労働行為であると認め、今後このような行為を繰り返さないよう、誓約文を提出させる命令を下したが、大阪府は不服として4月8日、中労委に再審査を申し立てた。引き続き取り組みを強化していく」などとする報告があった。

注1)自治労が5月22日現在でまとめた集計によると、全国都道府県における自治体単組1,626組合中、削減提案を受けているのは300組合(18.5%)。削減提案のない組合は978(60.1%)にのぼるが、うち既に削減なしを表明しているのは125組合(7.7%)にとどまっている。こうしたなか、要求書を提出した組合は956(58.8%)で、提出予定組合は74(4.6%)。結果、既に交渉終了が182組合(11.2%)で、内訳は「削減なしで妥結」が138組合(8.5%)、「削減はあるが何らかの緩和措置(削減率の圧縮や、期末・勤勉手当を含む給与月額に連動した手当を減額しないなど)を獲得」が7組合(0.4%)、「6月以降に継続協議」が17組合(1.0%)、「独自カットの継続等(により新たな給与削減は行わない)で妥結」が19組合(1.2%)など。現在、交渉中は472組合(29.0%)で、今後交渉予定ありは134組合(8.2%)となっている。

注2)都市交との6月組織統合を決定/自治労臨時大会(2013年2月6日 調査・解析部)