メールマガジン労働情報 No.2072

■□――【メールマガジン労働情報/No.2072】

「スポットワーク」の留意事項、リーフレットを作成/厚労省 ほか

―2025年7月9日発行――――――――――――――□■

┏━━━━━━━━┓
  本号の主な内容
┗━━━━━━━━┛

【行政】「スポットワーク」の留意事項、リーフレットを作成/厚労省 ほか
【統計】5月の実質賃金2.9%減、5カ月連続のマイナス/毎勤統計速報 ほか
【労使】春闘賃上げ率5.25%、中小は4.65%/連合(第7回)最終集計 ほか
【動向】育児期の柔軟な働き方措置、「始業時刻変更」と「短時間」の組合せが約4割/民間調査 ほか
【企業】スキマバイト、労働契約成立のタイミングなど運営方針の見直しへ/タイミー ほか
【海外】労働組合と労使紛争解決/2025年7月に改正法施行/ベトナム ほか
【イベント】「ハラスメント防止コンサルタント養成講座」/21世紀職業財団

━━━━━━━━━━━━━━
【JILPT研究成果情報】
━━━━━━━━━━━━━━

◇資料シリーズNo.293『諸外国における労働者災害補償保険の遺族補償年金に関する調査
 ―アメリカ、ドイツ、フランス、イギリス―』
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2025/293.html

━━━━━━━━━━━━━━
【JILPTからのお知らせ】
━━━━━━━━━━━━━━

★労働政策フォーラム「多様化する若者の初期キャリアの現在」申込受付中!

若者の就職先が多様化する中、安定を望む親世代との意識の違いが生じています。
本フォーラムでは、若者の就業構造の変化に焦点を当て、若者の就職及びキャリア形成に関する現状や課題に
ついて、人事管理、キャリア教育の専門家らが事例を交えて、議論します。
第1部 2025年7月18日(金)~24日(木) *オンデマンド配信
第2部 2025年7月24日(木)14時00分~17時00分 *ライブ配信 開催方式:オンライン開催(Zoomウェビナー)
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20250724/index.html

━━━━━━━━━━━━━━
【行政】
━━━━━━━━━━━━━━

●「スポットワーク」の留意事項、リーフレットを作成/厚労省

厚生労働省は4日、いわゆる「スポットワーク」における留意事項等のリーフレットを公表した。労働者向け、
使用者向けにそれぞれ作成し、雇用仲介を行う事業者が加入する(一社)スポットワーク協会と経済団体に対し、
会員や傘下企業を通じたリーフレットの周知等を要請。リーフレットでは、仲介事業者が提供するアプリを利用
してマッチングや賃金の立替払を行うものを対象に、労働契約の成立時期、休業手当、賃金・労働時間に関する
注意点を掲載している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59197.html
▽労働者向けリーフレット「ご存知ですか?『スポットワーク』の注意点」
 https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/001512367.pdf
▽使用者向けリーフレット「『知らない』では済まされない 『スポットワーク』の労務管理」
 https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/001512368.pdf

●ワンオペ実態を変え、「共育て」社会を目指す/厚労省・新「共育(トモイク)プロジェクト」立上げ

厚生労働省は4日、「イクメンプロジェクト」の後継事業に、「共育(トモイク)プロジェクト」を開始すると
公表した。共働き・共育ての推進のため、「職場」や「家庭」におけるいわゆる“ワンオペ”の実態を変え、
男女ともに希望に応じて仕事と家事・育児を両立し、「共に育てる」に取り組める社会を目指すとしている。
特に企業へのアプローチを主軸に普及啓発活動を展開する。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59196.html

●経済社会の変化に対応したキャリアコンサルティングの実現に向け、中間まとめ公表/厚労省研究会

厚生労働省は4日、「経済社会情勢の変化に対応したキャリアコンサルティングの実現に関する研究会」の中間
とりまとめを公表した。労働者への支援には、問題の「解決型」支援だけでなく、自らキャリアを形成する力を
身に付けることを支援する「開発型」支援が求められると指摘。また、企業内の活動においては、社員のキャリ
ア自律を企業として支援するよう働きかけることが重要とし、「セルフ・キャリアドック」制度の導入活用に
向けた支援や、キャリア支援を軸に組織の活性化を後押しすることなどがキャリアコンサルタントに期待される
役割だとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59319.html

●女性デジタル人材を支援/官民組織発足、自治体と連携

政府と民間企業、地方自治体が連携し、女性デジタル人材の育成を推進する「官民連携DX女性活躍コンソーシ
アム」が7日、発足した。会長には矢田稚子前首相補佐官が就任。デジタルスキル習得や就労支援を通じ、女性
の賃金向上や地方活性化を目指す。
矢田氏は同日、東京都内で開かれたキックオフイベントで「デジタル技術で地方の中小企業の生産性を高め、眠
れる人的リソースである女性たちの力を引き出したい。省庁横断、民間との連携で女性が活躍できる地域づくり
を推進したい」と強調。政府の「地域働き方・職場改革等推進会議」に参画する68自治体とも連携する意向を示
した。
平将明デジタル相は「女性が本当に活躍できる社会実現に向け、デジタル庁としてもサポートしていく」と語った。
(時事通信)2025年7月7日 ※リンク先はありません

━━━━━━━━━━━━━━
【統計】
━━━━━━━━━━━━━━

●5月の実質賃金2.9%減、5カ月連続のマイナス/毎勤統計速報

厚生労働省は7日、5月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)を公表した。現金給与総額は、
就業形態計で前年同月比1.0%増の30万141円、うち一般労働者が同1.1%増の38万4,696円、パートタイム労働者が
同3.5%増の11万2,440円。一方、現金給与総額指数を消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で割った
実質賃金は、前年同月比2.9%減で5カ月連続のマイナス。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2505p/2505p.html
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2505p/dl/houdou2505p.pdf
▽概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2505p/dl/pdf2505p.pdf

●児童のいる世帯、「母が仕事あり」が初めて8割超える/国民生活基礎調査

厚生労働省は4日、2024年「国民生活基礎調査」の結果を公表した。単独世帯の割合は34.6%、高齢者世帯は
31.4%でいずれも過去最高。児童のいる世帯は16.6%で過去最少だった。1世帯当たり平均所得は536万円
(前回524万円)と増加したが、生活意識が「苦しい」とした世帯は依然として約6割を占めた。
児童のいる世帯について、母が「仕事あり」の割合は80.9%で初の8割台に。母が「正規の職員・従業員」は
34.1%(前回2023年調査32.4%)で過去最高となった(概況8ページ)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa24/index.html
▽報道発表資料
 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa24/dl/09.pdf
▽概況
 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa24/dl/10.pdf


●二人以上世帯の消費支出、前年同月比4.7%増/5月家計調査報告

総務省が4日に発表した「家計調査報告(5月分)」によると、二人以上世帯の1世帯当たりの消費支出は
31万6,085円、前年同月比で実質4.7%増加した。前月比(季調値)は4.6%増加。支出項目別でのプラス寄与は、
自動車等関係費(3.58%)、教育娯楽サービス(0.90%)、外食(0.48%)など。マイナス寄与は、交際費
(マイナス0.73%)、補習教育(同0.26%)、通信(同0.18%)など。勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり
52万2,318円(前年同月比0.4%増)で5カ月ぶりの実質増加となった。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
▽報道発表資料
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf

━━━━━━━━━━━━━━
【労使】
━━━━━━━━━━━━━━

●春闘賃上げ率5.25%、中小は4.65%/連合(第7回)最終集計

連合は3日、2025春季生活闘争 第7回(最終)回答集計結果を公表した。平均賃金方式で回答を引き出した
5,162組合の加重平均は1万6,356円・5.25%(前年同時期比1,075円増・0.15ポイント増)。1991年(5.66%)
以来33年ぶりの5%超えだった前年を上回った。300人未満の中小組合(3,677組合)は1万2,361円・4.65%
(同1,003円・0.20ポイント増)。有期・短時間・契約等労働者の賃上げ額は、加重平均で時給66.98円
(同4.28円増)、引上げ率(概算)は5.81%で、一般組合員(平均賃金方式)を上回った。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2025/yokyu_kaito/kaito/press_no7.pdf
▽全体版
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2025/yokyu_kaito/kaito/press_no7_all.pdf

●大企業の夏季ボーナス、前年比4.37%増/経団連第1回集計

経団連は3日、2025年夏季賞与・一時金の大手企業業種別妥結状況(加重平均)の第1回集計結果を発表した。
妥結額平均は99万848円で前年比4.37%の増加。製造業は平均103万5,889円(同4.49%増)、非製造業は
85万7,602円(同3.76%増)。業種別で増加率が高いのは、化学(28.99%)、造船(11.01%)、非鉄・金属(10.80%)
などの順。従業員500人以上、主要22業種大手244社を対象に平均額が分かる107社について集計している。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/045.pdf

━━━━━━━━━━━━━━
【動向】
━━━━━━━━━━━━━━

●育児期の柔軟な働き方措置、「始業時刻変更」と「短時間」の組合せが約4割/民間調査

労務行政研究所は3日、「改正育児・介護休業法への対応アンケート」調査結果を発表した。2025年4月施行の
テレワーク選択の措置(努力義務化)は、3歳未満の子を養育する従業員には「既存のテレワーク制度で対応」
が57.3%、「対応予定なし」が34.0%だった。家族介護の従業員についても同様の傾向。2025年10月施行予定の
「育児期の柔軟な働き方を実現するための措置」(義務化)について、実施措置の組み合わせを尋ねたところ、
「始業時刻等の変更」と「短時間勤務制度」の2つを選択するパターンが43.4%を占め、これに「テレワーク等」
を加えた3つの措置を選択するパターン(24.7%)が続く。ウェブ調査で登録企業344社から有効回答を得た。
https://www.rosei.or.jp/attach/labo/research/pdf/000089328.pdf

●2025年上半期の「人手不足倒産」が過去最多、建設と物流で4割占める/民間調査

帝国データバンクが4日に発表したレポート「人手不足倒産の動向調査(2025年上半期)」によると、2025年
1~6月に従業員の退職や採用難、人件費高騰などを原因とする「人手不足倒産」(負債1,000万円以上)は202件
だった。前年上半期から20件増加し、過去最多を2年連続で更新。業種では「建設」54件が過去最多で「物流」
28件が続いた。「2024年問題」が懸念されていた2つの業種で40.6%を占め、「老人福祉事業」「労働者派遣業」
「受託開発ソフトウェア」といった労働集約型のサービス業の増加が全体の件数を押し上げたと分析している。
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250704-laborshortage-br25h/

●「60代社員の活用施策に関する調査」レポートを発表/民間調査

パーソル総合研究所が1日に発表した「企業の60代社員の活用施策に関する調査」結果によると、正社員が「不足・
やや不足」とする企業が6割超ある一方、年代別では、約3割の企業が50~60代社員を「やや過剰」と認識している。
人材過剰感の原因は50~60代の「構成比の高さ」でなく、「本人のモチベーション低下」と「生産性の低さ」に
起因していると分析。また約7割の企業が「高度専門職レベル」の人材が「不足・やや不足」と回答しているが、
「管理職・管理職相当」は過剰感がある企業が比較的多い。このほか、レポートでは「60代社員への処遇の実態」
なども調査している。
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/60s-worker2.html

━━━━━━━━━━━━━━
【企業】
━━━━━━━━━━━━━━

●スキマバイト、労働契約成立のタイミングなど運営方針の見直しへ/タイミー

スキマバイトのサービスを手がけるタイミーは4日、2025年9月1日からサービス運営方針を変更する
と発表した。同日、厚生労働省が要請した「いわゆる『スポットワーク』における適切な労務管理等」に
かかる協力依頼等を踏まえたもの。これにより、労働契約成立のタイミングをこれまでの業務当日にQR
コードを読み取りチェックインした時点から、働き手が求人への応募(申込み)を完了した時点に変更し、
解約権留保付労働契約が成立するとの考え方で運営を行う。また、契約成立後、使用者からの解約
(マッチングキャンセル)は原則不可となり、解約可能事由に該当しない限り休業手当の支払いが必要となる。
同社は適格紹介に努め、使用者の適正な労働時間管理を支援し、各事案に適切に対応するとしている。
https://corp.timee.co.jp/news/detail-4758/

●新規高卒採用、県内限定の「エリア採用制度」導入へ/JR四国

JR四国は1日、2026年4月以降の新規高卒採用者を対象に「エリア採用制度」を新たに導入すると発表した。
同制度の導入により、勤務地を香川・愛媛・徳島・高知の各県内に限定した働き方が可能となる。特定エリアの
勤務に特化した採用枠を新設することで、「ずっと地元で働きたい」「地域に貢献したい」といった高校生の声
に応え、地域に根差したキャリア形成を後押しするほか、地域社会と共に成長する人材の確保・育成につなげた
いとしている。
https://www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/assets/2025/07/01/a9ae000dd9e3cf0746667bda25aa44a779d06c01.pdf

●無線・通信事業の構造改革、400名の早期退職優遇制度を実施/日清紡HD

日清紡ホールディングスは6月26日、無線・通信事業の構造改革の一環として、日本無線およびその子会社を
対象に早期退職優遇制度を実施すると発表した。募集人員は400名。特別退職金を加算支給するほか、希望者には
再就職支援サービスの提供を行う。事業ポートフォリオ変革の追求や経営資源の重点投入などを重点施策に掲げ、
ビジネスモデルの転換による収益性の向上を目指すとしている。
https://www.nisshinbo.co.jp/nish/news/pdf/news20250626_1.pdf

━━━━━━━━━━━━━━
【海外】
━━━━━━━━━━━━━━

●フォーカス/JILPT

<ベトナム>
▽労働組合と労使紛争解決/2025年7月に改正法施行

2021年に施行された現行ベトナム労働法において、労働者代表組織の制度の改正があった。このことは、「ベトナ
ム労働法の現状第3回「労使関係、その他」労働者代表組織、女性保護、セクハラ、外国人労働等」(2023年3月)
にて述べた。その後、改正労働組合法が公布され、2025年7月1日施行された。そこで、改めて、労働者代表組織
と労使紛争について、以下のとおり情報の更新と整理をする。
https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2025/07/vietnam.html

●国別労働トピック/JILPT

<ILO>
▽世界の雇用の4分の1が生成AIに代替される可能性/ILO研究ブリーフ

国際労働機関(ILO)は2025年5月、生成AIが雇用に与える影響について分析した最新研究レポートを公表した。
本研究では、生成AIが各職業に与える影響を調べるために、各職業を構成するタスクごとにAIによる自動化
の可能性をスコアづけする方法を用いた。分析対象となる職業は、国際標準職業分類に基づく436種であり、
これらに対応するタスクとして、ポーランド政府による詳細な職業分類に基づく2万9,753個のタスクが使用された。
(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/07/ilo_02.html

<アメリカ>
▽若年低所得層向け職業訓練「ジョブ・コア」を停止/連邦労働省、効果疑問視

連邦労働省は5月29日、低所得の若年層を対象とする職業訓練プログラム「ジョブ・コア(Job Corps)」の運営を
6月30日までに停止すると発表した。同省は4月に発表した報告書で、その効果に疑問を呈していた。
ジョブ・コア運営事業者らは停止措置が違法だとして提訴。ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所は6月25日、
「訴訟継続中は停止措置を差し止める」と判断したが、今後の運営継続は依然として不透明な情勢である。
(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/07/usa_01.html

<ドイツ>
▽フルタイム労働者の中央値年収は5万2,159ユーロ/連邦統計局

連邦統計局によると、2024年におけるフルタイム雇用労働者の「中央値年収」は5万2,159ユーロであった。
また、「平均年収」は6万2,235ユーロと、中央値年収より1万ユーロ以上高く、一部の超高額所得者が平均収入
を大きく引き上げていると同局は指摘している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/07/germany_03.html

━━━━━━━━━━━━━━
【イベント】
━━━━━━━━━━━━━━

●「ハラスメント防止コンサルタント養成講座」/21世紀職業財団

(公財)21世紀職業財団は、ハラスメント防止教育や事案解決を行うことのできる人材を養成するための「ハラ
スメント防止コンサルタント養成講座」を10月1日(水)~11月8日(土)、オンデマンド方式で開催する。
テーマは、「ハラスメントの基礎知識」、「カウンセリングとメンタルヘルス」、「ハラスメントに関する労働法」、
「裁判例解説とハラスメント事案解決法」。厚生労働省後援の認定試験は11月9日(日)実施。
受講料77,000円、受験料11,000円。
https://www.jiwe.or.jp/harassment/consultant