■□――【メールマガジン労働情報/No.2073】
今後の人材開発政策のあり方について報告書とりまとめ/厚労省研究会 ほか
―2025年7月11日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】今後の人材開発政策のあり方について報告書とりまとめ/厚労省研究会 ほか
【統計】6月の街角景況感、2カ月連続で上昇/景気ウォッチャー調査 ほか
【労使】重要政策について経営者らにアンケート調査/経済同友会
【動向】就業者の6人に1人が育児、介護等の「ケア就業者」になると推計/民間調査 ほか
【企業】全従業員の報酬水準、平均6.4%引き上げ/SCSKニアショアシステムズ ほか
【海外】「両親手当」導入以来、実質価値が27%低下/ドイツ ほか
【イベント】医療・介護・保育等職業紹介事業の適正な運営に係る講習会/東京労働局 ほか
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【JILPTからのお知らせ】
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受講料 :1コースにつき45,000円(税込)
(主催)労働政策研究・研修機構・(共催)東京都
https://www.jil.go.jp/kouza/senmon/index.html
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【行政】
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●今後の人材開発政策のあり方について報告書とりまとめ/厚労省研究会
厚生労働省は7日、「今後の人材開発政策の在り方に関する研究会報告書」を公表した。今後の政策を考える
上での重要な視点に、個人・企業の個々の状況に合わせた「個別化」、産業・地域等の単位で複数企業による
「共同・共有化」、職務・スキル・処遇等の「見える化」の3つを示し、基本的方向として、「労働市場での
スキル等の見える化の促進」「個人のキャリア形成と能力開発支援の充実」「企業の人材開発への支援の充実」
「人材開発機会の拡大、技能の振興」の4つの柱で整理。また、非正規雇用、中高年、若者への支援策や、
人材不足が深刻化している「現場人材」の人材育成支援策についてもまとめている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59371.html
●公務災害補償事案の認定件数、脳・心臓疾患1件、精神疾患等7件/人事院調査
人事院は4日、一般職の国家公務員を対象とした「2024年度過労死等の公務災害補償状況」を公表した。
脳・心臓疾患に関する事案の判断件数(公務災害に該当するか否かの判断を行った件数)は2件(前年5件)、
うち認定件数(公務災害の認定件数)は1件(同3件)。精神疾患等に関する事案の判断件数は20件(同10件)、
うち認定件数は7件(同6件)。認定件数(7件)を「業務負荷の類型」別にみると、「仕事の量(勤務時間
の長さ)」3件、「セクシュアル・ハラスメント」2件、「パワー・ハラスメント」及び「職場でのトラブル」
がともに1件。
https://www.jinji.go.jp/kouho_houdo/kisya/2507/karoushitou07_00001.html
(詳細)
https://www.jinji.go.jp/content/000004708.pdf
●中央コンクリート不当労働行為再審査事件で初審命令を維持/中労委
組合員への休職命令の撤回等を議題とする団交申入れに対し、会社が組合加入前の発令であること等を理由に
応じなかったことが不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件の再審査事件において、中央労働委員会
は6月25日、組合の要求事項は、組合員の労働条件その他の待遇等に関する義務的団交事項であり申入れの有効
性に問題はないことから、会社の対応は正当な理由のない団交拒否であり不当労働行為に当たるとして、初審命
令を維持し会社の再審査申立てを棄却した。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/futouroudou/dl/r070626-1.pdf
●「労使関係セミナー」を開催/中労委
中央労働委員会は、7月24日(木)「労使関係セミナー」を労働委員会会館(東京・港区)で開催する。基調
講演「労働時間規制“新しい企業での適用”」に続き、「公労使三者委員による紛争解決事例の検討」をテーマ
にしたパネルディスカッションを予定。参加無料。会場受講は、事前申込みが必要。中労委ホームページでは、
基調講演の動画や資料を一定期間、公開しておりこの視聴は申込不要。視聴無料。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/roushi/index.html
●50歳未満の就農希望者、雇用する農業法人に「雇用就農資金」を交付/農水省
農林水産省では、50歳未満の就農希望者を新たに雇用する農業法人等に対し「雇用就農資金」を交付している。
農業法人等が就農希望者を雇用し、必要な技術や経営ノウハウを習得させるために研修を実施する場合に交付
する「雇用就農者育成・独立支援タイプ」および「新法人設立支援タイプ」と、農業法人等がその職員等を
次世代の経営者に育成していくため、他法人に派遣し実践研修を支援する「次世代経営者育成タイプ」がある。
前者は年間最大60万円、後者は月最大10万円が交付される。
https://www.maff.go.jp/j/press/keiei/zinzai/250701.html
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【統計】
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●6月の街角景況感、2カ月連続で上昇/景気ウォッチャー調査
内閣府は8日、全国の商店主やタクシー運転手などに街角の景況感をたずねた6月の「景気ウォッチャー調査」
結果を公表した。3カ月前と比較した景気の現状判断DI(季調値)は、前月差0.6ポイント上昇の45.0で、2カ
月連続の上昇。雇用関連DIは低下したが、家計動向関連DI、企業動向関連DIはいずれも上昇したことによる。
先行き判断DI(同)は、前月差1.1ポイント上昇の45.9。今回の結果について「景気は、このところ回復に弱さ
がみられる。先行きについては、夏のボーナス及び賃上げへの期待がある一方、引き続き価格上昇や米国の通商
政策の影響への懸念がみられる」とした。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2025/0708watcher/menu.html
●5月の基調判断、「悪化を示している」に転じる/景気動向指数(速報)
内閣府は7日、2025年5月「景気動向指数(速報)」を公表した。景気の現状を示す「一致指数」は115.9(前
月比0.1ポイント低下)で、2カ月ぶりに低下。マイナスに寄与したのは、「有効求人倍率(除学卒)」「商業
販売額(卸売業)」「鉱工業用生産財出荷指数」など。プラスに寄与は、「投資財出荷指数(輸送機械除く)」
「耐久消費財出荷指数」「営業利益(全産業)」など。一致指数の基調判断は「悪化を示している」として下方
修正した。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
▽概要
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202505psummary.pdf
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【労使】
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●重要政策について経営者らにアンケート調査/経済同友会
経済同友会は6月25日、会員経営者などを対象に実施した、参院選で議論が期待される重要政策等についての
アンケート調査結果を発表した。現政権に対して56.4%が一定の評価を示す一方、「あまり評価していない」
「まったく評価していない」も4割を超え、実行力への期待と注文が併存した結果となった。代表幹事は「経営
者の多くが、短期的な人気取りや場当たり的な対症療法ではなく、持続可能な国家ビジョンの提示と、令和の時
代にふさわしい制度の見直しを強く求めていることを、はっきりと示した。経済人は今、政治に対して『未来を
設計する意志』があるか、『構造を動かす覚悟』があるかを厳しく見ている。」とコメントした。
https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/2025/250625.html
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【動向】
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●就業者の6人に1人が育児、介護等の「ケア就業者」になると推計/民間調査
パーソル総合研究所は10日、「ケア就業者に関する研究」結果を発表した。働きながら、育児、介護、育児・
介護の両方を行っている「ケア就業者」が2035年には就業者数(7,122万人)の6人に1人に当たる1,285万人に
なると推計。一方、テレワーク、フレックス、短時間勤務などの柔軟な働き方に関する制度の整備率に対する
ケア就業者の利用率は平均で20.8%に止まり、制度と実際の活用の間にミスマッチが見られること、背景には、
ケア就業者自身の“しわ寄せ懸念”や、非ケア就業者の不満・特別扱い感といった職場内の構造的課題がある
ことを指摘している。
https://rc.persol-group.co.jp/news/202507101000.html
●景気は今年初の改善も小幅にとどまる/民間調査
帝国データバンクは3日、TDB景気動向調査(2025年6月調査)結果を発表した。景気DIは前月比0.1ポイント増
の42.7となり、小幅ながら6カ月ぶりに改善した。国内景気は、物価上昇により個人消費が低迷したものの、季
節需要の先取りなどで今年に入り初めて上向いた。業界別では10業界中5業界で改善、4業界で悪化、横ばい1
業界となった。今後はトランプ関税に関する日米交渉の行方等から弱含みで推移すると見込みとしている。
https://www.tdb.co.jp/report/economic/ets202506/
●2025年上半期の倒産5,000件超、2013年以来の高水準/民間調査
帝国データバンク(TDB)と東京商工リサーチ(TSR)は8日、2025年上半期の企業倒産の状況を公表した。
倒産件数は、TDBでは5,003件(前年同期比2.4%増)で3年連続前年超、TSRでは4,990件(同1.1%増)で
4年連続前年超となった。業種別でみると、いずれの調査でも、サービス業が最多(TDB1,329件・同8.2%増、
TSR1,697件・同4.8%増)、建設業(TDB986件・同7.5%増、TSR969件・同2.3%増)が続く。
(帝国データバンク)
https://www.tdb.co.jp/report/bankruptcy/aggregation/20250708-bankruptcyh12025/
(東京商工リサーチ)
https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1201551_1610.html
●6月倒産件数800件台、2カ月ぶり前年を上回る/民間調査
東京商工リサーチ(TSR)は8日、6月の企業倒産の状況を公表した。倒産件数は、2カ月ぶりに前年を上回り
848件(同3.4%増)、6月としては2022年から4年連続で前年同月を上回った。「人手不足倒産」は、30件
(同11.1%増)、「物価高倒産」は60件(同33.3%増)となった。
https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1201550_1610.html
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【企業】
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●全従業員の報酬水準、平均6.4%引き上げ/SCSKニアショアシステムズ
SCSK子会社でITシステムを手がけるSCSKニアショアシステムズは4日、社員の報酬水準と初任給の改定について
発表した。IT人材の市場価値の高まりへ対応するため報酬水準の引き上げを実施するとして、全従業員を対象に
例月給与を全社平均で1万6,000円(6.4%)引き上げ、新卒採用者の初任給は月額9,000円を増額するとしている。
またSCSKは7日、アルムナイ(退職者)と繋がる「SCSK Alumni Network」の開設を発表。アルムナイとの交流を
通じて、新たな知見の獲得やビジネス協業を目指すとしている。
https://www.scsk-nearshore.co.jp/info/報酬水準及び初任給の改定に関するお知らせ2025年/
▽アルムナイ開設
https://www.scsk.jp/news/2025/pdf/20250707.pdf
●賃上げ5.5%、初任給を32万円に引き上げ/アルコニックス
アルミや銅、レアアースなど非鉄金属を取り扱うアルコニックスは1日、ベースアップと定期昇給を組み合わ
せて約5.5%の賃上げを2025年7月より実施すると発表した。2026年入社の新卒社員の初任給を4.9%引き上げ
32万円とするほか、管理職層には夏季賞与に加え特別賞与として一律20万円を支給する。2025年5月に公表
した「長期経営計画2030」では人的資本経営の基盤強化を経営上の重要課題と位置づけ、従業員のウェルビー
イングと持続的な企業成長を目指すため、今般の賃上げを決定したとしている。
https://www.alconix.com/news/2025/07/wage-growth.html
●自動運転トラックを運行/国内初「レベル2」で―T2、物流5社
自動運転システムを開発するT2(東京)は、国内で初めてとなる自動運転トラックによる商用運行を開始する
と発表した。西濃運輸など物流5社から関東―関西間で輸送の一部を請け負い、運転の一部を自動化する
「レベル2」で走行。運転手の人手不足に対応するため、2027年には無人運転が可能となる「レベル4」での
輸送を目指す。
T2は、自社の自動運転トラック5台と運転手15人で運行をスタート。当初は、実証実験などで協力してきた
西濃運輸、佐川急便、日本郵便、福山通運、三井倉庫ロジスティクスの物流5社の長距離輸送の一部を担う。
トラックに運転手は乗車するものの、高速道路上は基本的に自動運転で走行する。関東―関西間で月34便の
自動運転トラックの走行が可能になるという。今後、輸送する地域や便数を拡大する。
(時事通信)2025年7月1日
▽(株)T2 ウェブサイト
https://t2.auto/news/2025/0701.pdf
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<ドイツ>
▽「両親手当」導入以来、実質価値が27%低下
ドイツ労働市場・職業研究所(IAB)によると、政府は2007年に「両親手当(Elterngeld)」を導入して以降、
支給月額の上限(1,800ユーロ)および下限(300ユーロ)を一度も改定していない。その結果、物価上昇の
影響を受けて、実質的な価値は2007年を100とした場合、2023年時点で27%も低下している。児童手当や年金
などの社会保障給付と比べても、この低下は顕著である。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/07/germany_01.html
▽適正な賃金とは?/外国人就労をめぐる雇用エージェンシーの判断が議論呼ぶ
2025年1月、南西部バーデン=ヴュルテンベルク州の印刷会社「SV Druck」が直面した“外国人就労の不許可”
の一件が、外国人労働者の賃金水準をめぐる議論を呼んでいる。同社は、難民申請中の外国人2名を出荷アシス
タントとして、法定最低賃金の時給12.82ユーロで雇用する予定で、1月初旬に地元の移民・統合局へ就労許可を
申請した(就労開始予定は2月1日)。しかし、1月20日、同社の想定に反して申請は却下された。理由を問い
合わせたところ、同地域の同職種における賃金水準(時給14ユーロ)に達していないことを理由に、地元の雇用
エージェンシーが同意を拒否したことが明らかとなった。その結果、就労を希望していた2名が雇用されること
はなかった。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/07/germany_02.html
<ILO>
▽世界の労働力の4.7%は移民労働者/ILO国際労働力移動世界推計第4版
2024年12月、ILO(国際労働機関)は「ILO国際移民労働者世界推計:国際労働力移動4版」を発表した。
本報告書は、2022年を基準年として世界の国際移民の最新推計を提示するとともに、過去の推計(2013年、
2017年、2019年基準)との比較も示している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/07/ilo_01.html
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【イベント】
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●医療・介護・保育等職業紹介事業の適正な運営に係る講習会/東京労働局
東京労働局では8月1日(金)、「医療・介護・保育等職業紹介事業の適正な運営に係る講習会」をオンライン
(Zoom)で開催する。求人者から見た職業紹介事業者利用の際の問題点、医療・介護・保育分野における適正
な職業紹介事業者の認定制度などについて。主に医療・介護・保育分野での職業紹介事業を行う事業者向けの
内容だが、誰でも参加可能。参加無料、要事前申込。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/news_topics/jyukyuuchousei_070801_00003.html
●「企業が知っておきたいダイバーシティ最新動向&打ち手セミナー」/21世紀職業財団
21世紀職業財団は8月5日(火)、「企業が知っておきたいダイバーシティ最新動向&打ち手セミナー」をオン
ラインで開催する。同財団が隔年で行っている「DEI推進状況調査」の最新版データから日本企業におけるダイ
バーシティの推進状況を紹介する。
https://www.jiwe.or.jp/seminar/open/lt_diversity_seminar
●航空宇宙産業参入支援セミナー・交流会/東京都中小企業振興公社
(公財)東京都中小企業振興公社は8月6日(水)、都内の中小・スタートアップ企業を対象に、航空宇宙産
業市場でのビジネスチャンスを後押しする「航空宇宙産業参入支援セミナー・交流会」を開催する。
第1部・セミナーに続き、第2部・交流会のほか、専任コーディネーターによる支援も実施予定。
会場は千代田区・秋葉原。オンラインライブ配信は500名(配信は第1部のみ)
https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/shien/kouku_uchu/shien.html