■□――【メールマガジン労働情報/No.2060】
「骨太の方針」骨子案など議論/経済財政諮問会議 ほか
―2025年5月28日発行――――――――――――――□■
┏━━━━━━━━┓
本号の主な内容
┗━━━━━━━━┛
【行政】「骨太の方針」骨子案など議論/経済財政諮問会議 ほか
【統計】今春大学生就職率98.0%、高水準を維持/厚労省・文科省調査 ほか
【労使】過去最高の賃金改善を獲得も規模間格差は拡大/JAM中央委員会 ほか
【動向】地域企業の投資・事業戦略に関する調査結果を公表/日銀レポート ほか
【海外】外国人労働力の割合、全米の19.2%に上昇/2024年労働統計局集計 アメリカ ほか
【イベント】「次世代女性リーダーのためのカウンセリング実践プログラム」受講受付中/筑波大学・働く人への心理支援開発研究センター
━━━━━━━━━━━━━━
【JILPT研究成果情報】
━━━━━━━━━━━━━━
◇調査シリーズNo.255
『「最低賃金の引上げと企業行動に関する調査」結果―2021~2023年度の連続パネル調査を通じて―』
https://www.jil.go.jp/institute/research/2025/255.html
◇調査シリーズNo.256『AIの職場導入による働き方への影響等に関する調査(労働者Webアンケート)結果』
https://www.jil.go.jp/institute/research/2025/256.html
━━━━━━━━━━━━━━
【JILPTからのお知らせ】
━━━━━━━━━━━━━━
★労働政策フォーラム「多様化する若者の初期キャリアの現在」申込受付中!
若者の就職先が多様化する中、安定を望む親世代との意識の違いが生じています。
本フォーラムでは、若者の就業構造の変化に焦点を当て、若者の就職及びキャリア形成に関する現状や課題に
ついて、人事管理、キャリア教育の専門家らが事例を交えて、議論します。
第1部 2025年7月18日(金)~24日(木) *オンデマンド配信
第2部 2025年7月24日(木)14時00分~17時00分 *ライブ配信 開催方式:オンライン開催(Zoomウェビナー)
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20250724/index.html
◇『日本労働研究雑誌』2025年6月号を刊行しました!
特集「公的統計データ利用の現状と課題─行政と研究者のコラボのために」
社会的インフラである公的データの効果的な活用には実務に携わる人材の育成と定着が不可欠です。本特集では、
データを利用するユーザーや政策立案者が直面する課題を、海外事例を交え多角的に考察しています。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2025/06/index.html
◇『ビジネス・レーバー・トレンド』6月号を公開しました!「労働市場改革で人材育成はどうなるのか」
労働市場改革により、企業におけるOJTを中心とする人材育成システムが変化しています。3月開催フォーラムで
報告された、労働組合や政府との協力により支えられたドイツの人材育成プログラムから、わが国の人材育成の
課題と今後の展望について考えます。
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2025/06/index.html
━━━━━━━━━━━━━━
【行政】
━━━━━━━━━━━━━━
●「骨太の方針」骨子案など議論/経済財政諮問会議
政府は26日、経済財政諮問会議を開催し、6月策定の経済財政運営の基本指針「骨太の方針」骨子案について
議論した。骨子案は賃上げを起点とした成長型経済の実現に向け、少子化・社会保障・教育の重要課題、マク
ロ経済運営等について方向性を示した。議論を踏まえ首相は、『賃上げこそが成長戦略の要』として実質賃金
約1パーセント引き上げと2020年代内に全国平均最低賃金の1,500円達成に向けて官民で最大限取り組むと述べた。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2025/0526agenda.html
(首相官邸ウェブサイト)
https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202505/26keizai.html
●「春闘」「賃上げ」テーマに政労使で意見交換/内閣官房
政労使の意見交換が22日、首相官邸で行われ労働界、経済界の代表らと意見交換した。2025年春季労使交渉に
ついて経団連から大企業の月例賃金引上げ結果が示されたほか、連合からは最低賃金額推移目標についての
資料等が提出された。「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」施策パッケージ案、「最低賃金
引き上げ方針」等についての議論を踏まえ首相は、6月に取りまとめの実行計画改訂版と骨太方針に「賃上げと
投資がけん引する成長型経済実現」に向けた具体策を盛り込むと述べた。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/seiroushi/dai7/gijisidai.html
(首相官邸ウェブサイト)
https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202505/22seiroushi.html
●「Society5.0時代に向けたデジタル人材育成」について報告書/経産省検討会
経済産業省は23日、Society 5.0時代に向けたデジタル人材の育成をテーマに議論を行った検討会の最終報告書
を公表した。現在の労働市場では、スキルを身につけた人が必ずしも評価されず、個人学習やスキル習得のモチ
ベーションが高まらないと指摘。「ビジネス」「エンジニアリング」「デジタルリテラシー」の3領域において
官民で人材育成体系を実現すること、データマネジメント、サイバーセキュリティ、デジタルリテラシー等6分
野においてスキル標準の改訂や試験区分の新設も含めて検討を深めていくことなどを提起した(第4章)。
https://www.meti.go.jp/press/2025/05/20250523005/20250523005.html
▽概要版
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/dxjinzaireport_summary_202505.pdf
━━━━━━━━━━━━━━
【統計】
━━━━━━━━━━━━━━
●今春大学生就職率98.0%、高水準を維持/厚労省・文科省調査
厚生労働省と文部科学省は23日、「2025年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)」を公表した。大学
(学部)の就職率は98.0%で過去最高だった前年から0.1ポイント低下したが、高水準を維持した。短期大学
は97.0%(同0.4ポイント低下)。文系・理系別(大学)では、文系は98.2%(同0.3ポイント上昇)、理系は
97.3%(同1.5ポイント低下)。男女別では、男子は97.6%(同0.3ポイント低下)、女子は98.5%(同0.2ポイ
ント上昇)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000184815_00055.html
▽資料全体版
https://www.mhlw.go.jp/content/11805001/001491440.pdf
●高校卒業者の就職率、98.0%/文科省調査
文部科学省は23日、「2025年3月高等学校卒業者の就職状況(2025年3月末現在)」を公表した。就職率は
98.0%で、前年同期と同じ。男女別では男子98.4%(前年同期と同じ)、女子97.3%(同0.1ポイント増)。
学科別では、就職率の高い順に、工業99.4%、水産98.9%、看護、商業98.8%、福祉98.6%、農業98.6%、情報
98.5%など。普通科は96.2%。
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kousotsu/kekka/k_detail/mext_00039.html
●消費者物価指数3.5%上昇、3%台上昇は5か月連続/総務省
総務省は23日、消費者物価指数2025年4月分を公表した。変動の大きい生鮮食品を除く総合指数は
110.9で前年同月比3.5%の上昇。前年同月比3%台の上昇は5か月連続。上昇率(寄与度)では、うるち米
98.6%(0.37)などの品目を含む穀類27.4%(0.63)が上昇率・寄与度とも最高で、電気代 13.5%(0.45)が続く。
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html
▽報道資料
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
━━━━━━━━━━━━━━
【労使】
━━━━━━━━━━━━━━
●過去最高の賃金改善を獲得も規模間格差は拡大/JAM中央委員会
金属、機械関連の中小労組を多く抱える産業別労働組合のJAM(安河内賢弘会長、36万9,000人)は5月23日、都内
で中央委員会を開催し、2025年春季生活闘争中間総括を確認した。賃金改善額、平均賃上げ額ともに結成(1999年)
以降での最高水準となった5月中旬までの闘争結果について中間総括は、「2023年を起点とした高い水準の賃上げ
を継続した」と評価。その一方で、賃上げ額の規模間格差が拡大した点を課題にあげ、安河内会長は「中小労働
運動を標榜しているJAMとしては痛恨の極み」と話した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20250528.html
●大手企業の賃上げ1万9,342円、5.38%アップ/経団連集計
経団連は22日、「2025年春季労使交渉・大手企業業種別回答状況」(第1回集計)を発表した。調査対象である
従業員500人以上の主要22業種大手244社のうち、回答が示されたのは21業種160社。うち平均金額が不明等の63社
を除く97社の賃上げ妥結水準は、加重平均で1万9,342円(前年同期1万9,835円)で、5.38%(同5.75%)のアップ。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/036.pdf
●25年度重点政策を要請/連合
連合は23日、2025年度重点政策に関する要請を官房長官に手交した。労働基準法について、集団的労使関係の強化
や労働時間の規制強化に向けた法制の見直し等を求めたほか、時間外労働の上限規制の遵守に向けて、監督と指導
の徹底を要請した。また、被用者保険適用拡大の早期推進や第3号被保険者制度の廃止に向けた会議体の早期設置
についても盛り込んだ。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/news_detail.php?id=2235
━━━━━━━━━━━━━━
【動向】
━━━━━━━━━━━━━━
●地域企業の投資・事業戦略に関する調査結果を公表/日銀レポート
日本銀行は20日、「地域経済報告―さくらレポート―(別冊シリーズ)」を発表した。「人手不足感が強まるもと
での地域企業の投資・事業戦略―」をテーマに本支店・事務所が集めた生の声、最近の動きを紹介、AIを活用する
ことで労働投入量を減らし収益力を向上させた取り組みや、既存ビジネスの質的向上や高付加価値化にシフトする
事例を取り上げている。
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rerb250520.htm
●子育て中正社員の約3人に1人、育児で「退職または退職を検討」/民間調査
マイナビが運営する転職情報サイトが21日発表した「育児離職と育休の男女差実態調査」結果によると、子育て中
の正社員のうち、 育児との兼ね合いで退職または退職を検討した人は35.0%にのぼり、3人に1人が育児との両立の
困難を感じていることが明らかになった。子どもの保育園入園後、正社員としてのキャリア継続を理想とする女性は
約88.5%。一方、妻の正社員キャリアを理想とする男性は69.8%と、夫婦間の理想では一定数のギャップがみられた。
https://www.mynavi.jp/news/2025/05/post_48946.html
━━━━━━━━━━━━━━
【海外】
━━━━━━━━━━━━━━
●国別労働トピック/JILPT
<アメリカ>外国人労働力の割合、全米の19.2%に上昇/2024年労働統計局集計
連邦労働省労働統計局(BLS)は5月20日、2024年の外国人移民労働者(米国における外国生まれの労働者、不法
就労者らを含む)に関する統計調査の結果を発表した。それによると、全米労働力に占める「外国生まれ」の
労働力の割合は19.2%で、前年(2023年)の18.6%から0.6ポイント上昇。「外国生まれ」の者の増加が、「米国
生まれ」の者の労働力の減少を補った形になる。「西部地域」では労働力の四分の一を「外国生まれ」が占める。
ただし、全体としての失業率は「外国生まれ」のほうが高く、地域差も目立つ。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/05/usa_04.html
●米ウォルマート、業務簡素化で従業員1,500人削減へ
米小売り大手ウォルマートが、業務の簡素化を目的とした再編の一環で約1,500人の人員削減を計画していること
が分かった。ロイター通信が確認した社内メモで明らかになった。
対象は、同社のグローバル技術部門、国内店舗の電子取引の注文処理部門、広告事業「ウォルマート・コネクト」
などに所属する従業員。メモでは「小売りの未来形成を加速するため、焦点をより明確にする必要がある」と
示されている。一方で、新たな職種を設ける計画もあるという。
ウォルマートは米国最大の民間企業で、国内の従業員は約160万人。同社公式ウェブサイトによると、世界全体の
従業員数は約210万人。同社は国内最大の輸入企業でもあり、衣料品、電子機器、おもちゃなどの輸入品の約6割
を中国から調達する。同社は先週、トランプ米大統領の関税戦争によるコスト増を理由に、今月末までに一部商品
価格を引き上げると発表した。(ロイター時事)2025年5月22日。 ※リンク先はありません
━━━━━━━━━━━━━━
【イベント】
━━━━━━━━━━━━━━
●「次世代女性リーダーのためのカウンセリング実践プログラム」受講受付中/筑波大学・働く人への心理支援開発研究センター
筑波大学(東京キャンパス)働く人への心理支援開発研究センターは、エクステンションプログラム「次世代女性
リーダーのためのカウンセリング実践プログラム」を2025年7月より開始する。さまざまな心理学の視点から
支援者自身が自己を振り返り、他者を理解する方法を学ぶ。対面講座(全9日間)は「平日」「土曜」の2クラ
スあり、都合に合わせて通学可能(会場:筑波大学茗荷谷キャンパス)。オンデマンド講座は好きな時間に何度
でも視聴できる。
(平日クラス) 2025年7月3日(木)~9月25日(木)、(土曜クラス) 2025年7月5日(土)~9月27日(土)
受講料は27万5,000円(税込)、経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」対象講座
https://yorisoi-298.jp/