メールマガジン労働情報 No.2053

■□――【メールマガジン労働情報/No.2053】

人への投資・多様な人材の活躍などについて議論/政府会議  ほか

―2025年4月25日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】人への投資・多様な人材の活躍などについて議論/政府会議  ほか
【統計】2月実質賃金、前年同月比1.5%減/毎勤統計確報
【労使】最低賃金の審議の場に「中小・小規模事業者を含めて」議論を/日商・全国中央会ほか4団体 ほか
【動向】正社員の初年度平均年収、過去最高に/民間調査 ほか
【判例】ジェットスターに賠償命令/客室乗務員の休憩時間巡り 東京地裁
【企業】セカンドキャリア支援制度として希望退職者を募集/マツダ
【海外】国家安全保障に係わる連邦政府職員を団体交渉権の適用外に/大統領令 アメリカ ほか
【法令】労働関係法令一覧(2025年3月公布分)
【イベント】「教育・デジタル格差、体験格差の実態と解消に向けた実践」をテーマにシンポ開催/NPOキッズドア

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【JILPTからのお知らせ】
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☆「メールマガジン労働情報」は4月30日(水)と5月7日(水)の配信をお休みします。
 5月2日(金)は、JILPTの最近の研究成果等を紹介する特別号を配信します。

◇『日本労働研究雑誌』2025年5月号を刊行しました! 特集「ストライキ」

働く人の権利を守り、健全な労使関係を構築するために、ストライキをどのように考えるべきなのか、労使関係、
経営管理、経済学、政治学、法学など多様な視点から論じています。なぜ日本ではストライキが少なくなったの
か。ストライキの減少は我々の社会と労働のあり方にいかなる影響を与えたのか。今日においてもストライキは
有効な手段となりうるのか――。昨今の国際的な動向も射程に幅広い視点から考察します。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2025/05/index.html

◇『ビジネス・レーバー・トレンド』5月号を公開しました!「キャリア形成と育児の両立をどう支えるか」

男女ともに仕事と育児・介護を両立できる環境をより一層整備するため、改正育児・介護休業法および改正次世
代育成支援対策推進法が4月から施行されました。
10月1日からは、子が就学するまでの柔軟な措置を講じることが事業主に義務づけられます。本号では、仕事と
育児の両立支援のあり方について、行政担当者による法改正の解説や女性のキャリア支援に取り組む企業事例等
を取り上げた労働政策フォーラムを紹介、仕事とキャリア形成との両立を可能にする職場や人事管理のあり方に
ついて考えます。
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2025/05/index.html

◇労働政策フォーラムの開催報告を掲載しています

第137回「仕事と育児の両立支援─改正育児・介護休業法の施行に向けて─」(2025年2月7日~13日開催)
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20250213/houkoku/index.html

★JILPTリサーチアイ 第86回
「変わりつつある若年正社員のキャリア意識─女性正社員が直面しているハードルは何か─」 小黒 恵 研究員

今年もさっそく2026年春に卒業する大学生などの就職活動がスタートした。近年、若年労働市場はバブル期超え
の売り手市場が続いているが、そのなかで、若者のキャリアに対する意識は変わりつつある。本稿では、JILPTが
2023年11月に実施した「第3回若年者の能力開発と職場への定着に関する調査」の結果から、キャリアのスタート
地点となる初職の経験に着目して、その変化をとらえる知見の一部を紹介したい
https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/086_250422.html

★25年度「東京労働大学講座・総合講座」(5月開講、オンライン開催)まだ間に合います!

<人事管理・労働経済>部門 5月7日(水)~7月4日(金)(17講義日+試験)
<労働法> 部門      7月10日(木)~8月29日(金)(14講義日+試験)
開催方式:オンライン開催(ライブ配信)※オンデマンド配信ではありません。
配信方法:Zoomウェビナー利用
講義時間:午後6時30分~8時30分まで(120分)
受講料 :1部門につき35,000円(税込)、2部門受講は58,000円(税込)
https://www.jil.go.jp/kouza/sogo/index.html

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【行政】
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●人への投資・多様な人材の活躍などについて議論/政府会議

政府は23日、新しい資本主義実現会議を開催し、6月の実行計画改定に向けて、人への投資・多様な人材の活躍、
スタートアップ、科学技術・イノベーションについて議論した。首相は議論を踏まえ、構造的に賃上げを定着さ
せる三位一体の労働市場改革の実行について、「労働者一人一人がそれぞれの職種でどのようなスキルが求めら
れるのか、どれくらいの賃金水準であるかを具体的に把握できるよう職業情報提供の充実を図る」、「リスキリ
ングへの支援を強化し、デジタル技術も活用してより高い賃金を得ることができるアドバンスト・エッセンシャル
ワーカーや、企業の幹部候補人材の計画的な育成を促す」、「ジョブ型人事指針の普及を図り、個々の企業の実
態に応じたジョブ型人事の導入を進めるとともに、同一労働・同一賃金制の徹底、女性の活躍推進に取り組む」などと述べた。
https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202504/23shihon.html
▽論点案
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai33/shiryou2.pdf

●「将来を見据えたハローワークにおけるAI活用」とりまとめ/厚労省

厚生労働省は22日、「将来を見据えたハローワークにおけるAI活用について」を公表した。ハローワークや関連
オンラインサービスの「利便性を高めるためのツール」としてAIを活用、利用者層の拡大やサービス品質の向上
を目指す。今後、全国10カ所のハローワークの職業紹介業務にAIをはじめとするデジタル技術を試行的に導入、
マッチング手法の効率性・効果性の活用実証を行う。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_57223.html
▽「将来を見据えたハローワークにおけるAI活用について 」
https://www.mhlw.go.jp/content/11601100/001478507.pdf

●会社は業務委託契約締結先の労働者の使用者には当たらないと判断/中労委

会社が業務委託契約締結先企業の組合員の雇用契約を終了するよう事実上指示したといえるとして組合が説明を
求めた団交申入れに対し、会社は組合員と雇用関係にないとして応じなかったことが不当労働行為に当たるとし
て救済申立てがあった事件の再審査事件において、中央労働委員会は4月17日、会社は組合員の雇用主企業と同視
できる程度に現実的かつ具体的支配力を有していたとは認められないとして、初審命令を維持し再審査申立を棄却
した。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/futouroudou/dl/r070418-1.pdf

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【統計】
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●2月実質賃金、前年同月比1.5%減/毎勤統計確報

厚生労働省は23日、2月の「毎月勤労統計調査」結果(確報・事業所規模5人以上)を公表した。
現金給与総額は、就業形態計で28万8,697円(前年同月比2.7%増)、うち一般労働者が37万2,706円(同3.6%増)、
パートタイム労働者が10万7,306円(同2.1%増)。実質賃金は同1.5%減(速報では1.2%減)で2カ月連続の減少。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2502r/dl/pdf2502r.pdf
▽統計表等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2502r/2502r.html

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【労使】
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●最低賃金の審議の場に「中小・小規模事業者を含めて」議論を/日商・全国中央会ほか4団体

日本商工会議所、東京商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会の4団体は17日、連名で
「最低賃金に関する要望」を公表した。2年連続の大幅な最賃引上げが中小・小規模事業者の経営に厳しい影響
を与えており、政府目標の「2020年代中に全国過重平均1500円」への対応は極めて困難と指摘。企業の経営実態
を踏まえない引上げは地域経済に深刻な影響を与え、地方創生の実現に支障を生じかねないとして、2025年度の
中央・地方における最低賃金審議にあたり「中小・小規模事業者を含む労使双方参加の場での議論」を新規に求
めた。23日には、厚生労働副大臣に上記の最賃に関する要望を手交した。
https://www.jcci.or.jp/news/recommendations/2025/0417170021.html
▽4団体「最低賃金に関する要望」
https://www.jcci.or.jp/20250417_youbou.pdf
▽最賃に関する要望、厚労副大臣に手交
https://www.jcci.or.jp/news/recommendations/index02/2025/0423125149.html

●新しい資本主義実現会議での芳野会長発言の要旨を公表/連合

連合は、23日の新しい資本主義実現会議での芳野連合会長の発言要旨を公表している。論点案のうちの
「副業・兼業の推進」については、副業・兼業と本業が合算されることで長時間労働につながるおそれがあり、
働き過ぎの防止と健康確保を図るために割増賃金の労働時間の通算を堅持すべきとし、「スタートアップ支援」
については、起業家をハラスメントから守るための相談窓口の整備を含めた施策の検討が必要不可欠と指摘した。
「AI」については、人事評価など労務管理に対するリスクが懸念されるとして、雇用・労働分野に対する
適正な対応の検討を求めるとしている。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/news_detail.php?id=2220

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【動向】
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●正社員の初年度平均年収、過去最高に/民間調査

マイナビは18日、「正社員の平均初年度年収推移レポート」を発表した。
2025年1~3月の平均初年度年収は前年同時期から24万円増の483万9,000円で、2018年の調査開始以降最高。
未経験求人の平均初年度年収は441万6,000円、経験者求人は548万4,000円となり約106万円の差額が生じた。
差額は前年同時期より約4万円増加し、未経験求人と経験者求人の年収差が拡大傾向にあるとしている。
https://www.mynavi.jp/news/2025/04/post_48571.html

●25年度業績見通し「増収増益」企業割合4社に1社/民間調査

帝国データバンクは23日、「2025年度の業績見通しに関する企業の意識調査」結果を発表した。
25年度の業績見通し(売上高および経常利益)について尋ねたところ、「増収増益」と回答した企業は24.6%で、
前回調査から1.7ポイント落ち込み、2年連続で減少した。「減収減益」は21.2%、前年比0.2ポイント増と2年
連続で増加した。業績の上振れ材料(複数回答)は「個人消費の回復」34.7%が3年連続トップ、次いで「所得
の増加」23.8%と、消費を喚起する材料が目立つ。下振れ材料は「人手不足の深刻化」39.0%が2年連続でトップ。
「物価の上昇(インフレ)」35.1%が続く。
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250417-2025earningsforecast/

●テレワーク、デジタルツールの利用が企業活動に及ぼす影響について分析/ESRI

経済社会総合研究所(ESRI)は18日、テレワークやデジタルツールの利用が企業活動に及ぼす影響について分析
したレポートを発表した。情報通信業等を対象に、テレワーク導入が進んでいる企業の特徴やデジタルツールの
利用状況を明らかにした内容となっている。これによると従業員数が多いほどテレワークの導入時期が早く、
コミュニケーション環境が充実し、テレワークを行う従業員割合が高いことが明らかになった。また、コロナ前
からテレワーク導入している企業は売上が有意に大きいが、コミュニケーション環境の充実度は売上と相関が
みられなかった。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/esri/archive/e_rnote/e_rnote090/e_rnote089.pdf

●「働き方改革」をテーマに、制度・政策の変遷・課題を分析/NIRA

総合研究開発機構(NIRA)は21日、「働き方改革」をテーマに、制度・政策の変遷・課題を分析したレポートを
発表した。第1部では、「働き方改革」が提唱された、2019年以降の政策の変遷等について「長時間労働の是正」
「同一労働同一賃金」の観点から振り返る。第2部では、法改正等により労働環境はどのように変化したかを
識者3人の評価とデータ紹介をしている。
https://www.nira.or.jp/paper/policy-co-creation/2025/05.html

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【判例】
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●ジェットスターに賠償命令/客室乗務員の休憩時間巡り 東京地裁

格安航空会社(LCC)のジェットスター・ジャパンの客室乗務員が、フライトなど長時間の拘束が続く勤務時間中
に休憩時間が確保されていないのは労働基準法違反だとして、休憩がない勤務の禁止と損害賠償を求めた集団訴訟
の判決で、東京地裁は22日、安全配慮義務違反を認め、休憩の付与と賠償を命じた。
労基法の施行規則で、長距離乗務している場合には休憩時間を与えないことができるとする規定の適用が主な争点
となった。
高瀬保守裁判長は、原告らの勤務実態を検討した結果、この規定は適用されないと判断した。(時事通信)2025年4月22日。
※リンク先なし

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【企業】
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●セカンドキャリア支援制度として希望退職者を募集/マツダ

マツダは22日、従業員の自律的なキャリア形成を支援する新たな人事制度として「セカンドキャリア支援制度」
を導入すると発表した。社外での活躍・貢献を目指す、勤続年数5年以上かつ50~61歳(定年後再雇用前)の間接
正社員を対象に500名を募集する。同社で積み重ねたスキルや経験を活かした前向きな選択に向け、再就職や
引越しの支援、割増退職金を提供する。
https://newsroom.mazda.com/ja/publicity/release/2025/202504/250422a.html

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<アメリカ>
▽国家安全保障に係わる連邦政府職員を団体交渉権の適用外に/大統領令

トランプ大統領は3月27日、「国家安全保障」に係わる連邦政府職員について、団結権・団体交渉権の適用除外
とする大統領令を出した。対象となる職員数は100万人以上にのぼるとみられる。同大統領令の「ファクトシート」
は、こうした職員に対する団結権や団体交渉権の付与は「国家安全保障の責任を持つ機関にとって危険」として
異を唱えた。これに対して、連邦政府職員を組織する米政府職員総同盟(AFGE)は、「団体交渉は、紛争の早期
解決、費用のかかる訴訟の削減、(職員の)定着率の向上、士気の向上に役立ち、公共サービスの向上をサポート
するものだ」と反発。他の労組とともに、同大統領令の撤回を求めて4月3日、訴訟を起こした。このほか連邦
政府職員の人員削減をめぐって、労使間で複数の訴訟が係争中であり、今回の団体交渉権をめぐる争いが、両者
の対立をさらに激化させる可能性がある。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/04/usa_02.html

●キャリア公務員の解雇容易に 5万人対象/トランプ氏

トランプ米大統領は18日、重要な政策決定や機密性の高い職務を担う連邦職員の雇用規則を改定し、解雇の
容易な「任意雇用」区分に切り替えると発表した。対象は約5万人で、全職員の約2%に当たる。トランプ氏
は「政府がついに企業のように運営される」とSNSにつづったが、意に沿わない官僚の排除が狙いとみられ
ている。(ワシントン時事)2025年4月19日。
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/kiji/20250425a.html

●米競争当局、ウーバー提訴/サブスク解約困難に

米連邦取引委員会(FTC)は21日、米配車大手ウーバー・テクノロジーズがオンライン購入者信頼回復法など
に違反したとして、カリフォルニア州の連邦地裁に提訴した。同社がサブスクリプション(定額制)サービスの
解約を困難にしていると主張し、こうした行為の差し止めや損害賠償を求めた。
 巨大IT企業を相手取った訴訟としては、第2次トランプ政権発足後で初。第1次政権時のFTCも米メタ
(旧フェイスブック)やグーグルを法廷で追及した。(シリコンバレー時事)2025年4月22日。
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/kiji/20250425b.html

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【法令】
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●労働関係法令一覧(2025年3月公布分)
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/hourei/202503.html

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【イベント】
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●「教育・デジタル格差、体験格差の実態と解消に向けた実践」をテーマにシンポジウム開催/NPOキッズドア

認定NPO法人キッズドアは5月26日(月)、シンポジウム「教育格差・IT格差の実態と格差解消に向けての実践報告」を
会場(東京都中央区)とオンラインで開催する。同法人が実施している困窮家庭等の女子高校生のためのプログラム
の成果を報告するとともに、産学民各分野(政財界、アカデミア、ソーシャルセクター等)の支援の担い手や
専門家によるパネルディスカッションを行う。同プログラムに実際に参加した高校生からの発表も予定。
参加無料。定員(会場)100名。申込締切5月19日(月)。
https://kidsdoor.net/news/news/20250406.html

●「HRテック」導入セミナーを開催/東京都中小企業振興公社

東京都中小企業振興公社は6月24日(火)、デジタル技術を用いて人事領域の課題を解決する「HRテック」を
テーマにオンラインセミナーを開催する。HRテックの活用方法やトレンド、仕事や組織への愛着や思い入れを示す
「エンゲージメント」を可視化するツールなどを紹介する。
https://www.tokyo-kosha.or.jp/topics/2506/0007.html