メールマガジン労働情報 No.2015

■□――【メールマガジン労働情報/No.2015】

在職老齢年金制度の見直し、年金減額の基準額引き上げなど議論/厚労省年金部会 ほか

―2024年11月27日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】在職老齢年金制度の見直し、年金減額の基準額引き上げなど議論/厚労省年金部会 ほか
【統計】9月の実質賃金、前年同月比0.4%減で2カ月連続のマイナス/毎勤統計確報 ほか
【動向】企業のリスキリングの取組み、「情報サービス」「金融」で高い/民間調査 ほか
【企業】管理職の人事制度を改定、全ての職務に「職務記述書」を設定・社内開示/日本ガイシ ほか
【海外】台湾製造業にインド人労働者1,000人を受け入れへ/台湾 ほか
【イベント】「国際ボランティアデー」を記念したセミナーを開催(オンライン・英語)/OECD ほか

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【JILPT研究成果情報】
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◇資料シリーズNo.287『Web提供型の仕事価値観検査の開発』

本シリーズは、仕事を選ぶ時に重視される条件や働き方についての考え方を測定する「仕事価値観検査」の
開発について紹介しています。仕事価値観に関わる11個の要素を選定し、就業者と高等教育課程在学者を対象
に、各要素を測定するためのWeb調査を2回実施しました。この検査は、厚生労働省の職業情報提供サイト
(job tag)の自己診断ツールとしての利用が想定されています。
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2024/287.html

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【JILPTからのお知らせ】
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◇『日本労働研究雑誌』12月号を刊行しました! 特集「労働移動」

労働移動は、長年にわたり、日本の労働政策の中心的なテーマとなってきました。本特集では、労働移動について、
転職に代表される外部労働市場での移動、配置転換や出向などの内部労働市場での移動、内外の要素をあわせ持つ
組織再編に伴う移動、の3つから捉え、論じています。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2024/12/index.html

◇『ビジネス・レーバー・トレンド』12月号を公開しました!「ICTの発達に労働が対処すべきこと」

本号では、ICTの発展と労働時間政策に焦点をあてた労働政策フォーラムの内容や、DX等先端技術担当者を
対象とした調査結果も収録した「過労死等防止対策白書」などを紹介しつつ、ICTの発達に伴う新たな課題への
対処方法を考えます。
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2024/12/index.html

◇『ユースフル労働統計2024―労働統計加工指標集―』を公開しました!

既存の労働統計から新しい統計指標を計算する方法と結果を紹介する資料集です。
統計をうまく組み合わせ加工することで、表面には現れない事実が明らかになるような、より的確で有用な指標を
作ることができます。従来から政府の白書等でも、既存の統計を組み合わせた様々な経済分析が行われています。
本書で取り上げる手法は、そこで採用された分析手法に基づくもの、或いはそれらをヒントに自主開発したものです。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2024/index.html

★労働政策フォーラム「シニア層の労働移動─就労・活躍機会の拡大に向けて」申込受付中!

本フォーラムでは、外部労働市場における高齢者の労働移動に注目し、両者のマッチング機能を果たす
公的機関および民間企業の取組み、そして高齢の労働者を積極的に採用し受け入れている企業担当者を交えて、
シニアを取り巻く環境変化や課題、今後の展望を議論します。
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20250115/index.html

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【行政】
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●在職老齢年金制度の見直し、年金減額の基準額引き上げなど議論/厚労省年金部会

厚生労働省は25日、社会保障審議会年金部会を開催し、在職老齢年金制度の見直しなどについて議論した。
現行制度では、65歳以上の在職高齢者は、賃金と年金の合計額が基準額(2024年度は50万円)を上回ると年金が
減額される。2022年度末の減額対象者は50万人(16%)。高齢者の就業を抑制しない、働き方に中立的な仕組み
とするため、基準額の引上げ(62万円・71万円)と制度撤廃の3案を提示した。「標準報酬月額」については、
上限等級に多くの者が該当する状態が続いているとして、応能負担を求めるなどの観点から、現行の上限(月額
65万円)を、98万円・83万円・79万円・75万円のいずれかに引き上げる案を提示。
また、「マクロ経済スライド」による基礎年金の調整期間を短縮して、公的年金全体としての給付調整を早期に
終了させ、基礎年金の給付水準を向上させるとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20241125.html

●「総合経済対策」を閣議決定、賃上げ環境整備など対策盛り込む/政府

政府は22日の閣議で新しい総合経済対策を決定した。「日本経済・地域経済の成長」「物価高の克服」「国民の
安心・安全の確保」が3本柱。賃上げ環境の整備として、2020年代に全国平均1500円を目指すとした最低賃金の
引上げや、労務費を含めた適切な価格転嫁の推進、人への投資促進としてリ・スキリングによる能力向上支援、
成長分野への労働移動の円滑化等の三位一体の労働市場改革の推進、中小企業の経営基盤強化の支援施策などを
挙げている。「103万円の壁」については2025年度の税制改正で引き上げると明記。
物価高対策には、低所得者世帯への支援(住民税非課税世帯に1世帯当たり3万円・子ども一人につき2万円の
給付金)、冬期の電気・ガス代の支援などを盛り込んでいる。
▽閣議決定
https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2024/1122_taisaku.pdf
▽概要
https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2024/1122_taisaku_gaiyo.pdf

●春季労使交渉と最低賃金の中期的引上げ方針について意見交換/政労使会議

石破首相は26日、政府と経済界、労働界の三者による会議に出席し、2025年春季労使交渉と最低賃金の
今後の中期的引上げ方針について意見交換を行った。首相は、政権として、賃金上昇が物価上昇を安定的に
上回る経済を実現することを目指すとし、来年の春季労使交渉においては、労働者の賃金水準を引き上げる
ベースアップを念頭に、33年ぶりの高水準の賃上げとなった今年の勢いでの大幅な賃上げへの協力を求めた。
最低賃金については、政権として、「2020年代に全国平均1500円」の目標に向かって努力を続ける、最賃の
中期的引上げ方針については、意見交換を踏まえ、問題の深堀りや環境の整備を図っていく、などと述べた。
https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202411/26seiroushi.html

●「職場におけるハラスメント対策シンポジウム」を12月10日に開催/厚労省

厚生労働省は、ハラスメントのない職場づくりを推進するため、年末に向けて業務の繁忙等によりハラスメント
が発生しやすいと考えられる12月を「職場のハラスメント撲滅月間」と定め、集中的な広報を実施する。
その一環として、「職場におけるハラスメント対策シンポジウム」を12月10日(火)にオンラインで開催する。
専門家よる「カスタマーハラスメント対策の現状」に関する基調講演や、カスタマーハラスメント対策に
取り組む企業の担当者から事例を紹介するパネルディスカッションを実施。事前申込制。参加無料。
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/symposium

●第7回「ハローワーク業務改善コンクール」を開催/厚労省

厚生労働省は11月28日(木)に「第7回ハローワーク業務改善コンクール」を開催する。同コンクールは、
ハローワーク職員の自主性・創意工夫を活かしたサービス改善の取組を全国のハローワークから募り、
優れた事例を表彰し、取組の共有・活用を通じ、ハローワークサービスの更なる機能強化を図るため
実施するもの。応募総数200件の中から予備審査を通過した8件についてプレゼンテーションを行い、
民間有識者を含む選考委員が審査し表彰を行う。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/newpage_00001.html

●2024年度「外国人材とつくる建設未来賞」受賞対象を決定/国交省

国土交通省は21日、第3回「外国人材とつくる建設未来賞」の受賞者・企業等を決定した。
外国人材が日本の建設業で中長期的に活躍できる制度が立ち上げられ、その活用も進んでいることを踏まえ、
建設技能やコミュニケーションスキルの習得が顕著な特定技能外国人や、外国人材の育成に尽力する企業等を
表彰するもので、23年度より実施。表彰式は12月24日(火)に都内で開催予定。
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo03_hh_000001_00090.html

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【統計】
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●9月の実質賃金、前年同月比0.4%減で2カ月連続のマイナス/毎勤統計確報

厚生労働省は22日、9月の「毎月勤労統計調査」結果(確報・事業所規模5人以上)を公表した。
実質賃金は前年同月比0.4%減(速報では0.1%減)で、2カ月連続のマイナス。
現金給与総額は、就業形態計29万1,712円(前年同月比2.5%増)、うち一般労働者が37万3,250円(同2.6%増)、
パートタイム労働者が10万7,607円(同2.5%増)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2409r/dl/pdf2409r.pdf
▽統計表等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2409r/2409r.html

●10月の消費者物価指数、2.3%上昇/総務省

総務省は22日、10月の全国消費者物価指数を公表した。生鮮食品を除く総合指数は108.8で
前年同月比2.3%の上昇。前月比(季調値)は0.3%の上昇。前年同月比で上昇が大きかったものは、
「穀類」13.5%、「生鮮果物」6.6%、「飲料」6.1%など。品目では「外国パック旅行費」75.6%、
「うるち米(コシヒカリを除く)」60.3%、「果実ジュース」29.8%などの上昇が目立つ。
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html
▽報道資料
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf

●9月の基調判断は「下げ止まりを示している」で据え置き/景気動向指数の改訂状況

内閣府は25日、9月の「景気動向指数・速報からの改訂状況」を公表した。
景気の現状を示す「一致指数」は前月差1.3ポイント上昇の115.3(速報値115.7)で、2カ月ぶりの上昇。
基調判断は、「景気動向指数(CI一致指数)は、下げ止まりを示している」で、前月から据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202409rsummary.pdf
▽統計表
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html

●9月の基調判断、「持ち直しの動きに足踏みが見られる」で据え置き/機械受注統計

内閣府は18日、機械受注統計調査報告(2024年9月実績)を公表した。機械受注総額は、前月比2.9%減の
2兆8,764億円(季調値)。民間設備投資の先行指標である「民需(船舶・電力を除く)」は、同0.7%減の
8,520億円。うち製造業は同0.0%減・3,883億円で、非製造業(船舶・電力を除く)は同1.5%増・4,537億円。
基調判断は「持ち直しの動きに足踏みが見られる」で据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/2024/2409gaiyou.pdf
▽調査報告(本文)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/2024/2409juchu-1.pdf

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【動向】
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●企業のリスキリングの取組み、「情報サービス」「金融」で高い/民間調査

帝国データバンクが20日に発表した「リスキリングに関する企業の意識調査」結果によると、リスキリングに
「取り組んでいる」企業は8.9%、今後「取り組みたいと思う」が17.2%となり、「積極的」な意欲を示した
企業は26.1%だった。「取り組んでいる」企業の業種別をみると、デジタル人材として高度なITスキルが
求められる「情報サービス」(20.5%)と、行員に対するデジタル教育が活発化してきた「金融」(19.5%)が
突出して高い。取組内容は、「従業員のスキルの把握、可視化」が52.1%で最も高く、「eラーニング、
オンライン学習サービスなどの活用」(47.5%)が続く。
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20241120-reskilling2024/

●「スポットワーク」に関する企業意識アンケートを実施/民間調査

帝国データバンクが21日に発表した「スポットワーク(スキマバイト)に関する企業の意識アンケート」結果
によると、スポットワーカーの活用に「前向き」な企業は約4割(38.1%)だった。人手不足解消の期待や、
働き手が隙間時間を使うことによる社会全体の生産性向上を期待する声も聞かれたとしている。一方で、活用に
「興味がない」企業は半数(49.8%)。専門的スキルや技術を要する仕事では依頼できる業務はないとする声が
多いほか、品質低下・作業効率の悪化、情報漏洩などのリスクなどを懸念する様子がうかがえたなどとしている。
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20241121-spotwork/

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【企業】
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●管理職の人事制度を改定、全ての職務に「職務記述書」を設定・社内開示/日本ガイシ

日本ガイシは19日、基幹職(管理職)の人事制度の改定を公表した。これまで1種類だった等級を複線化し、
高度な専門知識やスキルの発揮に特化して業務を行うエキスパート等級や、組織マネジメントに特化した
マネジメント等級を新設。全ての職務に対してジョブディスクリプション(職務記述書)を設定し、社内に
開示する。また職務に応じた年収とし、年齢による処遇の低下や役職定年を廃止。評価制度は成果だけでなく、
基幹職として求められる行動も評価対象に。さらに従来の社内公募に加え「社内スカウト制度」を導入する
ことで、組織活性化などを促進するとしている。
https://www.ngk.co.jp/news/20241119_1.html

●大東建託、インドネシアから技術者採用へ 日本人と同待遇、現地大学で講座開設

大東建託は21日、現場監督など施工管理を担う技術者の育成に向け、インドネシアの国立大学に専門講座を開設
することで合意したと発表した。日本語や国家資格である1級建築施工管理技士の取得のための授業を実施。
受講学生を対象に採用試験を行い、少なくとも5人を日本人と同待遇の正社員として採用し、2027年12月の入社を
目指す。(時事通信)2024年11月21日
http://www.jil.go.jp/kokunai/mm/kiji/20241127.html

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【海外】
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●国別トピック

<台湾>
▽台湾製造業にインド人労働者1,000人を受け入れへ

台湾とインドは2024年2月、労務協力覚書(MOU)に署名した。これにより台湾はインドからの労働者の受け入れ
で人手不足の解消を目指す。11月5日には両者による第1回「実務者協議」が開かれ、初期段階でインド人労働者
を製造業に1,000人受け入れる目標などを確認した。しかしながら、受け入れ開始に向けては、パブリックコメント
の聴取、具体的な導入計画の策定、さらには両者間での行政手続きや法規の整備などのプロセスや課題が残されている。
(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/11/taiwan_01.html

▽2025年1月から最賃引き上げ ―4.08%増、新法施行後初

労働部は9月4日に最低賃金審議会を開催し、月額最低賃金を2万8,590台湾ドルに改定することを決定した。
現在の月額2万7,470台湾ドルから4.08%の増加となる。時間給の最低賃金も現在の183台湾ドルから190台湾ドル
に引き上げる。2025年1月1日から発効予定。台湾では2023年12月27日に「最低賃金法」が新たに公布され、
最低賃金の法的効力を高めた。今回の引き上げは、初めて同法に基づくプロセスで行われた。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/11/taiwan_02.html

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【イベント】
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●「国際ボランティアデー」を記念したセミナーを開催(オンライン・英語)/OECD

OECDは12月5日(木)、国際ボランティアデーを記念したセミナーをオンライン(Zoomウェビナー)で開催する。
テーマは「Valorising volunteering for people and places: International trends and experiences」
国際的なボランティア活動の最新動向を紹介し、ボランティア活動を支援する政策や地域開発への貢献を強化
する取組など考察する。各国の専門家や実務家による報告、パネル討論を予定。言語は英語。参加無料。
https://www.oecd.org/en/events/2024/12/valorising-volunteering-for-people-and-places-international-trends-and-experiences.html

●「職場内障害者サポーター」養成講座/東京しごと財団

東京しごと財団では、職場内障害者サポーター事業を展開しており、障害者の職場定着を推進する企業等を
募集し、障害のある社員をサポートする「職場内障害者サポーター」を養成する講座を開催している。
これから障害者雇用を進めたい、これまで雇用したことのない障害種別の障害のある社員の受け入れ・
雇用管理方法を知りたい、障害者雇用を行っているがこの事業に参加したい、他社の取組み事例を聴きたい
という企業の担当者向けにサポーター養成講座を開催している。日程は12月から2025年2月に5回開催予定。
同事業及び講座日程等詳細は財団HPを参照。
https://shougaisya-support.jp/
▽養成講座日程
https://shougaisya-support.jp/schedule/