■□――【メールマガジン労働情報/No.1989】
現代社会のストレス要因に着目、こころの健康の対策支援の方向性を提示/厚生労働白書 ほか
―2024年8月28日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】現代社会のストレス要因に着目、こころの健康の対策支援の方向性を提示/厚生労働白書 ほか
【統計】2023年の入職率・離職率ともに上昇、入職超過率は拡大/雇用動向調査 ほか
【労使】フリーランス労災、連合が団体設立=加入手続き支援、相談窓口も
【動向】主要製品・サービス関連コストが「増加している」企業は91.6%/民間調査
【企業】全泊勤務中の休憩・睡眠時間は「労働時間に該当」、労基署から是正勧告/東京メトロ ほか
【海外】ギグ・ワーカーを個人請負労働者とする州法を合憲と判断―加州最高裁/アメリカ ほか
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【JILPT研究成果情報】
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◇資料シリーズ No.284『2023年度版 労働力需給の推計―労働力需給モデルによるシミュレーション―』
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2024/284.html
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【JILPTからのお知らせ】
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★研究員の募集について(2025年度採用)
労働政策研究・研修機構では、【労働法】【労使関係・人事労務管理】【労働経済】の3分野で
研究員を募集します。応募書類の提出期限は2024年10月10日(木)必着です。
<募集要項>
【労働法】
https://www.jil.go.jp/information/koubo/kenkyuin/2024/06.html
【労使関係・人事労務管理】
https://www.jil.go.jp/information/koubo/kenkyuin/2024/07.html
【労働経済】
https://www.jil.go.jp/information/koubo/kenkyuin/2024/08.html
◇『日本労働研究雑誌』9月号を刊行しました! 特集「戦争と労働社会」
過去2世紀の推移をみるとき、時代と共に戦争のかたちは変化してきましたが、これには戦争が国家の制度や
社会の仕組みに影響を与える一方、社会のあり方が戦争や戦闘行為に影響を及ぼしてきたことも確かです。
今号では、戦争と労働のかかわりをあらためて問うことで戦争と社会の関係性について検討しました。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2024/09/index.html
★「東京労働大学講座 専門講座」(会場開催/一部講義はハイブリッド開催)まだ間に合います!
<人事管理・労働経済コース> 9月3日(火)~11月26日(火)(15講義日)
<労働法コース> 9月6日(金)~11月28日(木)(15講義日)
会場 :ビジョンセンター赤坂(永田町)/東京都千代田区
講義時間:午後6時30分~8時10分(100分)
受講料 :1コースにつき45,000円(税込)
https://www.jil.go.jp/kouza/senmon/index.html
★労働政策フォーラム(オンライン開催)申込受付中!
「ICTの発展と労働時間政策の課題─『つながらない権利』を手がかりに─」
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240905/index.html
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【行政】
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●現代社会のストレス要因に着目、こころの健康の対策支援の方向性を提示/厚生労働白書
厚生労働省は27日、令和6年版「厚生労働白書」を閣議で報告した。
今回の白書のテーマは「こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に」。
こころの健康を損ねる背景にある「ストレス要因」に着目し、幼年期から老年期までに至る
ライフステージに沿って、現代社会のストレスの多様さについて考察した上で、こころの健康に
関する対策や支援の現状および今後の方向性を提示している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42715.html
●今後の雇用政策の具体的方向性について報告書を取りまとめ/厚労省研究会
厚生労働省の雇用政策研究会は23日、中長期的な観点も含めた今後の政策の具体的な方向性について
報告書を取りまとめた。報告書は、2040年には総人口が現在の9割に減少し、65歳以上が約35%と
なると推計されるなかで、経済成長と女性やシニア世代の労働参加の進展などが実現した場合には、
労働力人口が6,791万人となることが見込まれる(JILPT 2023年度版労働力需給の推計)とし、
このような労働市場を実現するには、多様な個人の労働参加の促進と経済成長のための労働生産性の
向上が重要と指摘。(1)多様な個人の労働参加、(2)新たなテクノロジー等を活用した労働生産性の向上、
(3)労働市場のインフラ整備等、の3つの柱のもとで必要な施策の方向性をまとめた。
女性活躍推進や新テクノロジー活用等のテーマ別に、ヒアリング企業の取組事例集も掲載している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000204414_00017.html
▽JILPT 2023年度版労働力需給の推計(記者発表資料)
https://www.jil.go.jp/press/documents/20240311.pdf
▽企業事例集
https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001293136.pdf
●こころの健康状態や健康意識、アンケート調査結果を公表/厚労省
厚生労働省は27日、2023年度「少子高齢社会等調査検討事業」の報告書を公表した。
こころの健康状態や健康意識、「こころの不調」への理解に対する意識などについてのアンケート
調査結果をとりまとめたもの。それによると、身体の健康と比較して、こころの健康に対する
リスクが重視されつつあること、こころの不調は、身体の病気(がん)と比較して、
家族・学校・職場への相談をためらうだろうと考えられていること、こころの不調は、
若い世代のほうが身近に感じている人の割合が高いこと、などが分かったとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42718.html
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【統計】
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●2023年の入職率・離職率ともに上昇、入職超過率は拡大/雇用動向調査
厚生労働省は27日、2023年「雇用動向調査」結果を公表した。年初の常用労働者数に対する
割合である入職率、離職率は16.4%と15.4%で、1.0ポイントの入職超過。前年と比べると、
入職率が1.2ポイント、離職率が0.4ポイント上昇し、入職超過率は0.8ポイント拡大した。
産業別にみると、「宿泊業,飲食サービス業」「生活関連サービス業,娯楽業」などで
入職率・離職率が高い。転職入職者の賃金について、前職と比べて「増加」した割合は
37.2%(2.3ポイント上昇)、「減少」した割合は32.4%(1.5ポイント低下)だった。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/24-2/index.html
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/24-2/dl/siryo.pdf
▽概況全体版
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/24-2/dl/gaikyou.pdf
●6月の基調判断は「下げ止まりを示している」で据え置き/景気動向指数の改訂状況
内閣府は26日、2024年6月の「景気動向指数・速報からの改訂状況」を公表した。
景気の現状を示す「一致指数」は前月差3.9ポイント低下の113.2(速報値113.7)。
基調判断は、景気動向指数(CI一致指数)は、「下げ止まりを示している」で、前月から据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202406rsummary.pdf
▽統計表
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
●24年8月の総人口、前年同月比59万人減/総務省人口推計
総務省は20日、人口推計の2024年8月概算値及び3月の確定値を公表した。24年8月1日現在の総人口(概算値)
は1億2,385万人(前年同月比59万人・0.48%減)。3月1日現在の総人口(確定値)は1億2,400万3千人
(同56万5千人・0.45%減)。年齢階層別(確定値)では「15歳未満」2.35%減、「15~64歳」0.37%減、
「65歳以上」0.13%増、うち「75歳以上」人口は3.63%増加した(年齢階層別増減率は前年同月比)。
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/202408.pdf
▽統計表等
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html
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【労使】
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●フリーランス労災、連合が団体設立=加入手続き支援、相談窓口も
連合は27日、企業からの業務委託を受けて働くフリーランスの労災保険加入を支援する団体を設立した。
名称は「連合フリーランス労災保険センター」(東京)で、加入手続きを行うほか、相談窓口も担う。
政府が加入できる対象を拡大する11月1日に受け付けを開始する。
加入者は月600円の会費や収入に応じた保険料を支払う。建設業の一人親方など、これまでも労災保険に
加入できた一部の人々は対象外。連合が6月に実施した調査によると、フリーランスとして働く人の2割が
仕事中や通勤中に休業を余儀なくされるけがや病気を患ったと回答。一方、労災保険の加入について、
「利用したいと思わない」や「分からない」と答えた人は8割近くに上っており、認知度の向上が課題だ。
(時事通信)2024年8月27日 ※リンクなし
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【動向】
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●主要製品・サービス関連コストが「増加している」企業は91.6%/民間調査
東京商工リサーチは22日、「価格改定に関するアンケート」調査結果(8月実施)を発表した。
前年(2023年)1月と比較して主要な製品・サービスにかかわるコストが「増加している」企業は91.6%。
上昇が「10%以下」は39.5%で、「10%超20%以下」は31.1%、「20%超30%以下」は12.6%と続く。
「上昇していない」企業は8.4%。販売先(得意先)への価格改定の協議は、「自社からの申し出で開始」が
70.7%で価格改定に向けて自発的に動く商慣習が根付いているとする一方、「販売先(得意先)から自社への
申し出で開始」が15.4%にとどまることについては、自社に価格決定権がない(弱い)ことも想定される、としている。
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198862_1527.html
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【企業】
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●全泊勤務中の休憩・睡眠時間は「労働時間に該当」、労基署から是正勧告/東京メトロ
東京メトロは8日、足立労働基準監督署から労働時間の取扱い等に関する是正勧告を受けたと発表した。
同社では、鉄道設備の保守管理を行う一部職場の全泊(一昼夜交替)勤務中の休憩・睡眠時間において、
設備の突発的な不具合等に社員が緊急対応を行った場合は、代わりの休憩時間を設けるか、早出・残業
手当等を支払っていた。しかし昨今の保守設備の増加に伴い、不具合対応頻度が増加してきた中で、
同労基署より、「労働実態に鑑みると、午後5時40分以降の休憩・睡眠時間については、労働から離れる
ことが保障されている時間とは認められない」との見解が示され、当該休憩・睡眠時間を労働時間として
取扱い、割増賃金の支払等の措置を講じるよう指導を受けたとしている。これにより、最大で約86億円の
清算金を2024年度中に支払う予定。
https://www.tokyometro.jp/news/images_h/metroNews240808.pdf
●生産拠点の集約・再編、希望退職者を募集/ワコール
ワコールは26日、連結子会社の生産拠点を長崎と福井の2工場に集約・再編し、福岡工場の譲渡、
及び熊本工場と新潟工場の操業停止を行うと発表した。 標準品質・コストの観点で競争優位性の高い
海外工場の生産比率を一層高める一方、細かい技術品質・納期の観点で国内工場の適切な再編が
不可欠として今回の決定に至ったとしている。
操業停止予定の熊本工場(従業員87人)と新潟工場(142人)の従業員に対しては、存続工場への異動
または希望退職者の募集を行う。 事業譲渡予定の福岡工場(75人)に勤務する従業員には、
転籍を希望し承諾書を提出した場合、譲渡先での雇用が維持される。
https://www.wacoalholdings.jp/ir/topics/files/wacoalholdingsnews20240826_1.pdf
●新入社員の学び合いのコミュニティ「新卒学部」、キャリア不安の低下に効果/旭化成
旭化成は6日、新入社員を対象としたラーニングコミュニティ「新卒学部」の実施効果について発表した。
「新卒学部」は同期同士のつながりで支援する学びあいの場で、若手社員の人財育成施策の一環として、
自律的な成長を支援することを目的に2023年6月に導入。キャリアに対する価値観や個人の志向を踏まえて
所属するゼミを選択し、約9カ月間、同期と共に学ぶ。今回、実施効果を調査した結果、学習時間が前年度の
新入社員に比べ約3.5倍に伸長したほか、キャリア不安の低減に効果があることが分かったとしている。
https://www.asahi-kasei.com/jp/news/2024/ze240806.html
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<アメリカ>
▽ギグ・ワーカーを個人請負労働者とする州法を合憲と判断―加州最高裁
カリフォルニア州最高裁判所は7月25日、アプリを通して単発でライドシェアやフードデリバリーの業務に
従事する「ギグ・ワーカー」を個人請負労働者として扱うとした州法「プロポジション22(Prop22)」を有効
とする判断を示した。同州は「個人請負」の定義を厳格化し、労働法により雇用労働者としての権利を
保護する者の範囲を拡大する州法(ギグエコノミー規制法)を2020年1月に施行した。これに対してウーバー社
などが主導して、ギグ・ワーカーを個人請負労働者として扱う州法(Prop22)が住民投票によって制定された。
その後、Prop22の合法性をめぐり、訴訟が続いていた。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/08/usa_01.html
▽「共同雇用」訴訟の控訴を取り下げ―全国労働関係委員会
全国労働関係委員会(NLRB)は7月19日、「共同雇用」の責任をフランチャイザーなどに拡げる内容の
規則の施行をめぐる訴訟で、同規則の無効化を命じた判決に対する控訴を取り下げた。「共同雇用」とは、
複数の企業が「共同雇用者(Joint Employer)」として同一労働者の雇用者責任を共同で負うものである。
NLRBは2023年10月、共同雇用者の範囲を事実上拡げる内容の規則を発表したが、業界団体などが反発して
連邦地方裁判所に提訴した。連邦地裁は3月8日、同規則の違法性を認める判決を出したため、NLRBが
控訴していた。NLRBは控訴取り下げの理由を「共同雇用者に関する未解決の問題に対処する選択肢を検討
するため」と説明している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/08/usa_02.html