メールマガジン労働情報 No.1990

■□――【メールマガジン労働情報/No.1990】

記者発表「人手不足とその対応に係る調査―小売・サービス事業所を対象として」(事業所調査)結果 ほか

―2024年8月30日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】最低賃金、27県で国の「目安」上回る、平均額は1,055円に/厚労省 ほか
【統計】7月の完全失業率2.7%、前月比0.2ポイント上昇/労働力調査 ほか
【労使】25春闘の基本的な考え方や取り組み課題を含めた「総合生活改善闘争・基本方針」を提起/生保労連定期大会
【動向】カスハラで「従業員の休業・退職が発生した」企業は13.5%/民間調査 ほか
【企業】社員の博士課程進学、支援制度を開始/島津製作所 ほか
【海外】定年延長方針と長期介護保険制度の設立について公表―中国共産党「三中全会」/中国
【法令】労働関係法令一覧(2024年7月公布分)
【イベント】テレワークセミナー/東京テレワーク推進センター

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【JILPT研究成果情報】
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◇記者発表
「人手不足とその対応に係る調査―小売・サービス事業所を対象として」(事業所調査)結果

JILPTは29日、標記調査結果を記者発表しました。企業・事業所の人手不足は全国的かつ構造的な
問題となっています。特に生活に欠かせない小売・サービス業の各事業所の人手不足の実態を把握し、
その解消に向けた雇用管理改善等の取組を明らかにするため、本調査を実施しました。
6割弱の事業所が正社員、パート・アルバイトいずれも「不足」と回答し、人手不足への対応として、
ICT設備投資があった事業所の7割弱が、「業務効率の向上」で「効果あり」と回答。人材確保・採用の
取組みでは、正社員、パート・アルバイトともに「求人募集時の賃金の引上げ」がトップ、等がわかりました。
https://www.jil.go.jp/press/documents/20240829.pdf

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【JILPTからのお知らせ】
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★研究員の募集について(2025年度採用)

労働政策研究・研修機構では、【労働法】【労使関係・人事労務管理】【労働経済】の3分野で
研究員を募集します。応募書類の提出期限は2024年10月10日(木)必着です。
<募集要項>
【労働法】
https://www.jil.go.jp/information/koubo/kenkyuin/2024/06.html
【労使関係・人事労務管理】
https://www.jil.go.jp/information/koubo/kenkyuin/2024/07.html
【労働経済】
https://www.jil.go.jp/information/koubo/kenkyuin/2024/08.html

◇『日本労働研究雑誌』9月号を刊行しました! 特集「戦争と労働社会」
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2024/09/index.html

★「東京労働大学講座 専門講座」(会場開催/一部講義はハイブリッド開催)まだ間に合います!

<人事管理・労働経済コース> 9月3日(火)~11月26日(火)(15講義日)
<労働法コース> 9月6日(金)~11月28日(木)(15講義日)

会場  :ビジョンセンター赤坂(永田町)/東京都千代田区
講義時間:午後6時30分~8時10分(100分)
受講料 :1コースにつき45,000円(税込)
https://www.jil.go.jp/kouza/senmon/index.html

★労働政策フォーラム(オンライン開催)申込受付中!
「ICTの発展と労働時間政策の課題─『つながらない権利』を手がかりに─」
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240905/index.html

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【行政】
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●最低賃金、27県で国の「目安」上回る、平均額は1,055円に/厚労省

厚生労働省は29日、地方最低賃金審議会が答申した2024年度の地域別最低賃金の改定額を取りまとめた。
中央最低賃金審議会答申の目安額50円(A~Cランク共通)を上回る引き上げが27県で答申された。
最高は徳島県84円、次いで岩手、愛媛59円、島根58円等。これにより、改定額の全国加重平均額は
1,055円(昨年度1,004円)と目安通りの改定の場合の1,054円を上回り、1978年度に目安制度が始まって
以降で最高額となった。最高額(東京都1,163円)に対する最低額(秋田県951円)の比率は81.8%
(昨年度80.2%)で10年連続の改善。引上げは、10月1日から11月1日までの間に順次発効される予定。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42150.html
▽地域別最低賃金 答申状況
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001297510.pdf

●「ジョブ型人事指針」を公表、20社の事例掲載/新しい資本主義実現会議

新しい資本主義実現会議の「三位一体労働市場改革分科会」は28日、「ジョブ型人事指針」を公表した。
2024年6月に閣議決定した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」において、
「日本企業の競争力維持のため、ジョブ型人事の導入を進める」としており、そのために、導入企業の
事例を掲載した「ジョブ型人事指針」を策定する、としていた。
20社の事例では、ジョブ型人事の導入目的、経営戦略上の位置付け、制度の骨格(導入範囲、等級・報酬・
評価等)、雇用管理制度(採用、人事異動、キャリア自律支援等)、人事部と各部署の権限分掌、
労使コミュニケーション等の導入プロセス、などについて各社の特徴が分かるよう情報提供されている。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/jobgatajinji.pdf
▽新しい資本主義実現会議
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/index.html
▽連合・事務局長談話
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/article_detail.php?id=1321

●自営型テレワークに関するガイドラインを改定/厚労省

厚生労働省は、「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」を改定した。
「自営型テレワーカー」が「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(「フリーランス・
事業者間取引適正化等法」)における「特定受託事業者」に該当することが多いと考えられることから、
自営型テレワークの定義を改め、募集、契約条件の明示、契約条件の適正化などについて、
フリーランス法の「関係者が守るべき事項」に沿った追記をしている。
自営型テレワークは、委託契約に基づくもので、基本的には労働関係法令が適用されないが、
ガイドラインにおいて良好な就業形態とするための事項を示している。
https://www.mhlw.go.jp/content/000742895.pdf
▽ガイドライン概要
https://www.mhlw.go.jp/content/001292086.pdf
▽参考)自営型テレワークに関する総合支援サイト
https://homeworkers.mhlw.go.jp/

●「企業向け障害者テレワーク推進セミナー」の開催/厚労省委託事業

厚生労働省は9月25日(水)、「企業向け障害者テレワーク推進セミナー」をオンラインで開催する。
テレワークは、障害者の多様な働き方のひとつであり、自宅でも働くことができる機会として
大きな可能性があり、企業にとっても、全国から優秀な人材を採用することができるというメリットがある。
障害者雇用におけるテレワークの導入方法の具体的な解説に加え、実際に導入している企業の担当者による
事例紹介を行う。参加費無料。要事前申込、期限は9月24日(火)17時まで。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42198.html
▽リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001285817.pdf

●女性活躍推進、共働き・共育て支援の「なでしこ銘柄」企業の募集を開始/経産省

経済産業省は、東京証券取引所と共同で、女性活躍推進に優れた企業を「なでしこ銘柄」として
選定する取組を実施しており、2023年度から「共働き・共育てを可能にする性別を問わない両立支援」に
関する取組について、特に優れた企業を「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」として選定している。
今般、2024年度の銘柄企業の募集を開始し10月18日16時まで受け付ける。9月4日には説明会を予定。
https://www.meti.go.jp/press/2024/08/20240826002/20240826002.html

●民間企業における博士人材の活躍推進に向け、検討会を立ち上げ/文科省

文部科学省は26日、第1回「博士人材の民間企業における活躍促進に向けた検討会」を開催した。
博士人材については、骨太の方針2024においても「博士号取得者の幅広い活躍の場の創出につながる
取組や処遇向上等を進める」などが明記されていることを踏まえ、同検討会では、「採用意欲のある
企業」が効果的な採用を実施するための取組、「博士課程を持つ大学」が就職活動を支援するための
取組を主な課題として検討し、2025年3月に「手引き・ガイドブック」を策定する予定。
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/130/giji_list/mext_01875.html

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【統計】
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●7月の完全失業率2.7%、前月比0.2ポイント上昇/労働力調査

総務省は30日、2024年7月の「労働力調査(基本集計)」を公表した。完全失業率(季調値)は2.7%で、
前月比0.2ポイント上昇。完全失業者数は188万人(前年同月比5万人増)で、4カ月連続の増加。就業者数は
6,795万人(同23万人増)で24カ月連続の増加。雇用者数は6,113万人(同28万人増)で、29カ月連続の増加。
正規従業員数は3,642万人(同34万人増)で9カ月連続の増加。非正規従業員数は2,114万人(同29万人減)で、3カ月連続の減少。
▽7月結果
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html
▽7月概要
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/gaiyou.pdf

●7月の有効求人倍率1.24倍、前月比0.01ポイント上昇/一般職業紹介状況

厚生労働省は30日、2024年7月分「一般職業紹介状況」を公表した。有効求人倍率(季調値)は1.24倍で、
前月と比べ0.01ポイント上昇。新規求人倍率(同)は2.22倍で、前月比0.04ポイント低下。新規求人(原数値)
は、前年同月比で1.2%増。産業別では、増加したのは、学術研究、専門・技術サービス業(7.4%増)、
情報通信業(6.6%増)、医療・福祉(5.1%増)、減少したのは教育・学習支援業(5.1%減)、
製造業(2.9%減)、宿泊業・飲食サービス業(1.6%減)など。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42833.html
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001293344.pdf

●労働争議の「総争議件数」292件、前年より増加/厚労省調査

厚生労働省は29日、2023年「労働争議統計調査」の結果を公表した。ストライキやロックアウトなど
争議行為を伴う争議は75件(前年65件)、争議行為を伴わない争議は217件(同205件)。両者を合わせた
「総争議」は292件(同270件)で前年に比べ増加。「総争議」件数は長期的には減少傾向で推移してきたが、
2019年以降は横這い圏内で推移している。主な要求事項(複数回答)は「賃金」が157件(53.8%)で最多。
次いで「経営・雇用・人事」118件、「組合保障及び労働協約」88件など。「争議行為を伴う争議」について、
産業別では「医療、福祉」28件、「情報通信業」14件、「運輸業、郵便業」10件の順に多い。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/14-r05.html
(報道発表資料)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/14-r05-09.pdf
▽概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/14-r05-08.pdf

●8月の消費者マインドの基調判断、「改善に足踏みがみられる」で据え置き/消費動向調査

内閣府は29日、2024年8月の「消費動向調査」結果を公表した。
「消費者態度指数(二人以上の世帯、季調値)」は36.7(前月と同値)。同指数を構成する意識指標のうち
前月比で上昇したのは「耐久消費財の買い時判断」30.9(0.9ポイント)、「暮らし向き」34.7(0.2ポイント)、
低下は「収入の増え方」39.7(マイナス0.7ポイント)、「雇用環境」41.4(マイナス0.6ポイント)。
消費者マインドの基調判断は、「改善に足踏みがみられる」で前月から据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/youten.pdf
▽統計表等
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html

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【労使】
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●25春闘の基本的な考え方や取り組み課題を含めた「総合生活改善闘争・基本方針」を提起/生保労連定期大会

生命保険会社の労働組合で構成する生保労連(勝田年彦委員長、23万人)は8月22日、都内で定期大会を開き、
2024年度の運動方針を決めた。春闘の取り組みも包含する方針の柱の「総合的な労働条件の改善・向上」では、
2025春闘で賃金改善をはじめとした全組合が統一して行う「賃金・制度関係の取組み」の基本的な考え方や
課題を盛り込んだ「総合生活改善闘争・基本方針」を提起。勝田委員長は、賃金改善の機運が高まるなかで
取り組んだ24春闘の成果を踏まえ、25春闘では「組合員の期待に応えることに加え、さらに多くの人に
生保産業を選んでもらうために、例年以上の取り組みが必要だ」などと訴えた。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20240829.html

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【動向】
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●カスハラで「従業員の休業・退職が発生した」企業は13.5%/民間調査

東京商工リサーチは27日、「企業のカスタマーハラスメント」に関するアンケート調査結果を発表した。
「カスハラ」を受けたことがある企業は19.1%で、宿泊業、飲食店、タクシー・バス等の道路旅客運送業が
上位を占めた。カスハラの内容(複数回答)は「口調が攻撃的・威圧的」が73.1%と最も多く、
「長時間にわたる対応を余儀なくされた」(50.1%)、「大きな声を上げられた」(38.9%)などが続く。
カスハラの影響で「従業員の休業や退職が発生した」企業は13.5%。一方、「特に対策を講じていない」
企業は71.5%あり、「カスハラ被害の広がりへの対策が遅れている実態も浮き彫りになった」と指摘している。
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198870_1527.html

●女性管理職の割合の平均10.9%、初の1割超え/民間調査

帝国データバンクは23日、「女性登用に対する企業の意識調査(2024年)」を発表した。
女性管理職の割合の平均は10.9%で、調査開始以来初の10%台に。女性役員割合の平均も13.5%と
過去最高となる一方、「役員が全員男性」の企業は52.4%と半数を超えた。女性活躍推進の施策は、
性別に関わらない「公正な評価」が6割超でトップ。女性管理職の割合が上昇しない要因や課題は、
「家庭と仕事の両立のしづらさ」が唯一5割を超え、「日本社会の性別役割分担意識の存在」(38.5%)、
「女性従業員が昇進を望まない」(36.2%)などが続いた。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240813.pdf

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【企業】
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●社員の博士課程進学、支援制度を開始/島津製作所

島津製作所は20日、社員による博士後期課程進学と通常業務の両立を支援する新たな人事制度を
2024年度から開始したと発表した。本制度は、「事業戦略上の研究領域」と「進学先での研究予定の
テーマ」が合致した博士号取得希望者の学位取得を支援するもので、社内審査を通過した社員が対象。
対象者は進学する大学を自由に選択でき、学費は同社が負担する。
https://www.shimadzu.co.jp/news/2024/8h27myqcppnr2r0z.html

●「脱炭素DX人材」育成、3年で1,000人の輩出目指す/メンバーズ

企業のDX現場を支援するメンバーズは22日、デジタルスキルを兼ね備えた「GX人材」を3カ年で
1,000人輩出することを目指すと発表した。AIなどデジタル専門スキルとサステナビリティ経営に
関するGXリテラシーを有した「脱炭素DX人材」を1,000人育成・輩出するとともに、温室効果ガス
排出量算定やコンサルティングスキルなどを有した「高スキルGX専門人材」100人の輩出も進めて
いく。独自のGXリテラシー講習、炭素会計アドバイザー等の資格取得、業務での実行の3つを
組み合わせた育成プログラムを実施する。
https://www.members.co.jp/company/news/2024/images/20240822members_news.pdf

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<中国>
▽定年延長方針と長期介護保険制度の設立について公表―中国共産党「三中全会」

2024年7月15~18日に、中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(三中全会)が開催された。
三中全会では「改革をさらに全面的に深化させ、中国式の現代化を推進する決定」を採択し、人口高齢化に
対応するための定年延長などの包括的な方針を示した(21日に公表)。主な内容として、「自主性と柔軟性の
原則に基づき、法定定年年齢を段階的に引き上げる改革を着実に進める」「孤独者や障がい者、介護が必要な
困難な状況にある高齢者への支援を充実させ、長期介護保険制度の設立を加速する」ことが柱となっている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/08/china_01.html

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【法令】
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●労働関係法令一覧(2024年7月公布分)
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/hourei/202407.html

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【イベント】
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●テレワークセミナー/東京テレワーク推進センター

東京テレワーク推進センターは9月19日(木)、セミナー「育児・介護休業法の改正におけるテレワークの活用」
をオンライン及び会場(文京区)で開催する。改正法に伴う育児・介護休業とテレワークによる効果的な
働き方について、テレワークを活用して育児・介護に関する措置を実践している企業の事例も交えて話す。
参加無料、要事前申込。定員はオンライン100名、会場先着20名。
https://tokyo-telework.metro.tokyo.lg.jp/seminarevent