メールマガジン労働情報 No.1982

■□――【メールマガジン労働情報/No.1982】

地域別最低賃金額改定の引き上げ額の目安、全地域で50円/厚労省審議会 ほか

―2024年7月26日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】地域別最低賃金額改定の引き上げ額の目安、全地域で50円/厚労省審議会 ほか
【統計】日本人は15年連続で減少、外国人332万超は調査開始以降最多/総務省調査 ほか
【企業】社員の定年年齢を65歳に引き上げ/アスマーク
【海外】病気休暇中の有休取得権に関する新しいルール/フランス ほか
【イベント】セミナー「育児中・介護中などの部下をもつマネージャーのチームづくり」/東京都・杉並区 ほか

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【JILPTからのお知らせ】
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◇『日本労働研究雑誌』2024年8月号を刊行しました!
 特集「家族と労働」

「家族」と労働者の「働き方」は相互に関連し影響しあっていますが、日本では少子高齢化により、家族の
ケア等に係る労働者の負担増など、家族と労働の両面で大きな変化に直面しています。このような家族の
在り方の変化に日本社会は対応できているでしょうか。今号では、ケア労働を問題関心の1つの中心に据え、
家族の労働を取り巻く現状を取り上げました。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2024/08/index.html

◇『ビジネス・レーバー・トレンド』2024年8・9月号を公開しました!
 「カスタマーハラスメントをなくす――企業・業界・労組の取り組みを中心に」

顧客や取引先からの働く者に対する行き過ぎた暴言や暴力などの「カスタマーハラスメント」の防止・撲滅に
向け、各界の取り組みの動きが活発化してきています。厚生労働省は2022年に「カスタマーハラスメント対策
企業マニュアル」を作成。それに伴い、業界や企業による基本方針策定の動きが急速に進みつつあります。
本号では、主な企業のプレスリリースの内容、業界団体として取り組みの歴史が長い日本菓子BB協会への取材
や、過去3回実態調査を行っているUAゼンセンからの報告など、カスハラ撲滅に向けた各界の取り組みを紹介します。
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2024/08_09/index.html

☆JILPTリサーチアイ 第82回
 「介護離職問題とEBPM」 多様な働き方部門 副統括研究員 池田 心豪(7月24日)

現在、JILPTでは定期的に厚生労働省と共同でEvidence-Based Policy-Making(略称EBPM)に関する勉強会を
開いている。Evidenceとは客観的根拠、Policy-Makingは政策立案のことだから、EBPMとは客観的根拠に
もとづく政策立案ということになる。政府全体でEBPMを推進するため「EBPM推進委員会」が開かれ、
厚生労働省でも「厚生労働省のEBPM推進に関わる有識者検証会」を開いている。そうした時代の要請に
応えて、JILPTもEBPMに貢献しようという話である。
https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/082_240724.html

★2024年度・第72回「東京労働大学講座専門講座」(9月開講、通学・会場開催)受講者募集中!

 ・第一線の講師によるゼミナール形式の講義
 ・一部講義はハイブリッド(会場+オンライン)開催
<人事管理・労働経済コース>
 9月3日(火)~11月26日(火)(15講義日)
<労働法コース>
 9月6日(金)~11月28日(木)(15講義日)
会場  :ビジョンセンター赤坂(永田町)/東京都千代田区
講義時間:午後6時30分~8時10分(100分)
受講料 :1コースにつき45,000円(税込)
(主催)労働政策研究・研修機構 (共催)東京都 (後援)日本労使関係研究協会
https://www.jil.go.jp/kouza/senmon/index.html

★労働政策フォーラム(オンライン開催)申込受付中!
「ICTの発展と労働時間政策の課題─『つながらない権利』を手がかりに─」
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240905/index.html

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【行政】
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●地域別最低賃金額改定の引き上げ額の目安、全地域で50円/厚労省審議会

厚生労働省中央最低賃金審議会は25日、2024年度地域別最低賃金額改定の目安として、全都道府県で50円の
引上げを答申した。目安どおりに引上げが行われた場合の全国加重平均は1,054円、上昇額は50円(昨年度は43円)
となり、目安制度が始まって以降で最高額。答申は、「目安に関する小委員会報告」を踏まえた公益委員見解
として示された。小委員会報告は、消費者物価の上昇が続くなか労働者の生計費を重視するとともに、
賃上げの流れの維持・拡大を図り、非正規雇用労働者や中小企業・小規模事業者にも波及させることを留意し、
各ランクの引上げ額の目安は 5.0%(50円)を基準とすることが適当とした(資料 p.10)。

連合は、「労働側の主張は一定程度受け入れられ、連合がめざす「誰もが時給1,000円」の早期達成に向け
大きな一歩」などとする事務局長談話を、日本商工会議所は、「生産性向上の支援と価格転嫁の商習慣化に
向けたより強力な取組み、最賃引上げの経営・雇用への影響についての調査研究」を求める会頭コメントを発表した。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41785.html
▽答申
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001127104.pdf
▽資料「中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告」
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001279706.pdf
▽連合・事務局長談話
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/article_detail.php?id=1316
▽日本商工会議所・会頭コメント
https://www.jcci.or.jp/news/comment/2024/0725093000.html

●メンタルヘルス不調による「休業者がいた」事業所は10.4%/厚労省調査

厚生労働省は25日、2023年「労働安全衛生調査(事業所・個人調査)」の結果を発表した。過去1年間に
メンタルヘルス不調により、連続1カ月以上休業した労働者がいた事業所は10.4%(22年調査10.6%)、
退職した労働者がいた事業所は6.4%(同5.9%)。メンタルヘルス対策に「取り組んでいる」のは63.8%
(同63.4%)で、50人以上の事業所では91.3%(同91.1%)、30~49人では71.8%(同73.1%)。
個人調査については、現在の仕事や職業生活に関して「強い不安・悩み・ストレスを感じる事柄がある」
労働者は82.7%(22年調査82.2%)。ストレスの内容は、「仕事の失敗、責任の発生」39.7%(同36.3%)が最多。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r05-46-50b.html
▽報道資料
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/r05-46-50_houdou.pdf

●違法な時間外労働、1万1千超の事業場に是正勧告/厚労省

厚生労働省は25日、2023年度に長時間労働が疑われる2万6,117事業場を対象とした監督指導結果を公表した。
違法な時間外労働で是正勧告をうけたのは、1万1,610事業場(44.5%)。このうち、月80時間を超える
時間外・休日労働が認められた事業場は、5,675事業場(違法な時間外労働があった事業場の48.9%)。
過重労働による健康障害防止措置の未実施も、5,848事業場(22.4%)に上った。厚生労働省は、11月の
「過重労働解消キャンペーン」期間中においても重点的な監督指導を行うとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41656.html

●カスハラ自殺で労災認定/住宅メーカー若手社員―千葉

住宅メーカー「ポラス」(埼玉県越谷市)の男性社員=当時(24)=が2020年に自殺したのは、客からの迷惑行為
「カスタマーハラスメント(カスハラ)」による精神疾患が原因として、柏労働基準監督署(千葉県柏市)が
労災認定していたことが23日、同社などへの取材で分かった。自殺とカスハラの因果関係を認めた労災認定が
明らかになるのは異例という。(時事通信)
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/kiji/20240726.html

●「働く高年齢者」の安全と健康を確保する/「厚生労働」7月号

厚生労働省の広報誌「厚生労働」7月号では、「「働く高年齢者」の安全と健康を確保する」を特集して
いる。2022年時点で、雇用者全体に占める60歳以上の割合は20%近くなり、労災による休業4日以上の
死傷者数に占める60歳以上の割合も30%近くに増加。「高年齢者の労働災害増加」という新しい社会課題
に対応するため、2020年に策定された「エイジフレンドリーガイドライン」について解説している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202407_001.html

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【統計】
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●日本人は15年連続で減少、外国人332万超は調査開始以降最多/総務省調査

総務省は24日、「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」を公表した。
全国の人口は1億2,488万5,175人(前年比53万1,702人・0.42%減)。日本人の人口は1億2,156万1,801人
(前年比86万1,237人・0.7%減)で2010年から15年連続で減少し、対前年減少数及び対前年減少率は最大。
外国人は、332万3,374人(同32万9,535人・11.01%増)で、2013年の調査開始以降最多、対前年比の増加数と
増加率も最大。都道府県別に見た人口では、日本人は東京都を除き全道府県で減少、外国人は全都道府県で
増加。日本人と外国人の総計では東京都、沖縄県、千葉県のみ増加(資料2、p.11~)。調査は、住民基本台帳
に基づき2024年1月1日現在の人口と世帯数、2023年1年間の人口動態を調べたもの。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei02_02000316.html
▽調査のポイント
https://www.soumu.go.jp/main_content/000959267.pdf

●5月の実質賃金、前年同月比1.3%減少/毎勤統計確報

厚生労働省は25日、5月の「毎月勤労統計調査」結果(確報・事業所規模5人以上)を公表した。
現金給与総額は、就業形態計で29万7,162円(前年同月比2.0%増)、うち一般労働者が38万516円(同2.6%増)、
パートタイム労働者が10万8,702円(同3.4%増)。実質賃金は同1.3%減(速報では1.4%減)で、26カ月連続の減少。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2405r/dl/pdf2405r.pdf
▽統計表等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2405r/2405r.html

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【企業】
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●社員の定年年齢を65歳に引き上げ/アスマーク

市場調査業等のアスマークは16日、2024年7月より現在60歳の定年を65歳に延長すると発表した。
また、社員の多様なライフスタイルに応じ、希望する社員は60歳を定年とし、定年退職することも可能。
同社では、現在の最長65歳まで働くことができる定年後再雇用制度では、60歳の定年後、希望者は再雇用
として1年毎に契約更新しているが、更に意欲的に働ける環境を整えたい、としている。
https://www.asmarq.co.jp/news/raising_retirement_age/

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<フランス>
▽病気休暇中の有休取得権に関する新しいルール

有給休暇取得に必要な就労日数の換算に関する法改正が行われた。従来の法規定では、労働災害や職業病など
仕事を原因とする病気休暇でなければ、その休暇期間は有休取得に必要な日数に含まれなかった。しかし、
2023年9月に破毀院(最高裁)が、仕事以外の原因で取得した病気休暇中もEU労働時間指令に基づけば日数に
含めるべきであり、フランス労働法典がEU指令に抵触しているという判決を下したため、その改正が必要と
なっていた。改正によって企業の負担が年20億ユーロほど増えるという見方もあり、首相が国務院(行政訴訟
最高裁)に見解を求めるかたちで法改正の内容の調整が行われた。3月13日に公表された国務院の判断を
踏まえて法改正が行われ、4月24日から施行された。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/07/france_01.html

▽雇用労働者の37%が「病気休暇」などで欠勤―フルタイム換算で1人年間平均22.3日

近年、主に「病気休暇」による欠勤の増加が問題視されている。民間調査会社の報告書によると、2023年には
雇用労働者2,200万人のうち130万人が欠勤した。病気休暇による欠勤者には、社会保障制度から日当などが
支払われる。このため政府は不正受給対策を厳格化するとともに、諸外国の制度を参考にしながら、
公的給付の在り方を検討すべきとの指摘も出ている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/07/france_02.html

<韓国>
▽2025年の最低賃金は時給1万30ウォン―1.7%増で初の1万ウォン超え

韓国の最低賃金委員会は7月12日、2025年度(1~12月)の最低賃金を時給1万30ウォンに引き上げることを
決定した。2024年度の9,860ウォンから170ウォン(1.7%)の引き上げとなり、1988年の最低賃金制度の導入以来、
初めて1万ウォンを超えた。ただし、引き上げ率1.7%は過去2番目の低さとなった。月額(月209時間労働基準)
換算では209万6,270ウォンとなる。雇用労働部が8月に正式決定する。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/07/korea_02.html

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【イベント】
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●セミナー「育児中・介護中などの部下をもつマネージャーのチームづくり」/東京都・杉並区

東京都労働相談情報センターと杉並区は8月29日(木)、労働セミナー「育児中・介護中などの部下をもつ
マネージャーのチームづくり」を杉並区で開催する。様々なバックグラウンドの人たちが、それぞれに合う
柔軟な働き方をする時代に、主に管理職向けて、チームの信頼関係づくりや、誰が休んでも業務が回るための
仕組みづくりのヒントを提供する。グループワークあり。受講無料。要事前申込、定員80名。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/seminarform/index/detail?kanri_bango=seminar-zchuo-001487

●シンポジウム「賃上げの効果を探る―データ分析と企業事例―」/リクルートワークス

リクルートワークス研究所は8月29日(木)、シンポジウム「賃上げの効果を探る―データ分析と企業事例―」
をオンラインで開催する。パート・アルバイトの賃金は、正規雇用と比べても高い伸びが続いている。
同研究所の賃上げ効果に関する報告書の説明や、企業2社を交えてのパネルディスカッションを通じ、
これからのパート・アルバイトと経営について考える。参加費無料。要事前申込、8月27日(火)締切。
https://www.works-i.com/seminar/seminar-wage.html