■□――【メールマガジン労働情報/No.1841】
労働分配率は前年度比2.6%低下、労働生産性は5.8%増加/経産省調査 ほか
―2023年2月1日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】労働分配率は前年度比2.6%低下、労働生産性は5.8%増加/経産省調査 ほか
【統計】12月の完全失業率2.5%、前月と同率/労働力調査 ほか
【労使】「開発・設計職基幹労働者」ポイントで7,000円以上の水準改善を統一要求基準とする闘争方針を決定/電機連合中央委員会 ほか
【動向】2022年上場企業の早期・希望退職募集は38社、19年と同水準/民間調査 ほか
【企業】新卒対象に「職種確約コース」など新設、適材適所の強化図る/三菱電機
【海外】カリフォルニア州とワシントン州が募集時の給与情報公開を義務化/アメリカ
【イベント】労働セミナー「“労働契約のいろは”+“近年の労働法の動向”」/東京都労働相談情報センター
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【JILPT研究成果情報】
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◇資料シリーズ No.263『COVID-19下における非正規雇用者の雇用管理と労働条件―接客サービスを行う非正規雇用者を中心に―』
コロナ下における非正規雇用者の雇用管理と労働条件の実態を明らかにするために、
ヒアリング調査を実施しました。その結果、パートタイマーの離職への対応について、
パートタイマーの労働条件を変更する際は、企業が一方的に労働条件を設定する
のではなく、労働者の意見を踏まえて決定することが大事であり、企業と労働者が
労働条件の変更について話し合うことで、労使双方が受容しやすい労働条件を設定
しやすくなることなどが分かりました。
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2023/263.html
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【新型コロナウイルス関連情報】
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☆緊急コラム
「コロナ禍3年目の雇用回復─されど活用労働量は元に戻らず」
主席統括研究員 中井 雅之(1月31日)
2023年1月31日に公表された主な雇用関係指標をみると、2022年12月の完全失業率は
前月と同水準の2.5%となり、2020年11月以降3%以下の水準で推移している。2022年平均
では前年より0.2%ポイント低下して2.6%となった。また、有効求人倍率は前月と同水準の
1.35倍となり、2020年秋以降上昇傾向で推移している。2022年平均では前年より0.15ポイント
上昇して1.28倍となった。
このように、コロナ禍の初期に大幅に悪化した雇用情勢については、持ち直しの動きが
続いている。
https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/column/032.html
▽最近の更新情報(1月31日更新)
国内統計:完全失業率
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c06.html
国内統計:有効求人倍率
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c07.html
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【JILPTからのお知らせ】
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☆労働政策フォーラムのご案内 *オンライン開催/参加無料(要予約)
第125回
テーマ:女性の就業について考える─環境変化と支援のあり方を中心に─
日 時:2023年2月15日(水曜)~20日(月曜)
第1部 研究報告 2月15日~20日(オンデマンド配信)
第2部 事例紹介・パネル討論 2月20日 13時30分~16時(ライブ配信)
(マザーズハローワークの取組み、NPOの支援現場から)
申込期限:2月14日(火曜)15時まで
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20230220/index.html
第124回
テーマ:日本の人事制度・賃金制度「改革」
日 時:2023年2月6日(月曜)~9日(木曜)
第1部 記念講演・問題提起 2月6日~9日(オンデマンド配信)
第2部 事例紹介・パネル討論 2月9日 13時~14時45分(ライブ配信)
(みずほフィナンシャルグループ、リクルートスタッフィング)
申込期限:2月5日(日曜)まで
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20230209/index.html
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【行政】
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●労働分配率は前年度比2.6%低下、労働生産性は5.8%増加/経産省調査
経済産業省は1月30日、「企業活動基本調査(2021年度実績)」結果(速報)
を公表した。労働分配率(付加価値額に対しての人件費)は、給与総額の
増加率が付加価値額の増加率を下回ったことにより前年度比2.6%ポイント低下、
労働生産性(常時従業者一人当たりの付加価値額)は付加価値額の増加率が
常時従業者数の増加率を上回ったことにより、同5.8%増加した。付加価値額は、
営業利益等の増加により同7.6%増加している。
https://www.meti.go.jp/press/2022/01/20230130002/20230130002.html
●外国人労働者数約182万人、過去最高を更新/厚労省
厚生労働省は1月27日、外国人雇用についての事業主からの届出状況を公表した。
2022年10月末現在の外国人労働者数は182万2,725人で、前年比9万5,504人(5.5%)
増加し、届出が義務化された2007年以降、過去最高を更新した。外国人を雇用する
事業所数は29万8,790か所で、同1万3,710か所増加し、過去最高を更新。国籍別では、
ベトナムの46万2,384人(外国人労働者数全体の25.4%)が最多、次いで中国38万5,848人
(同21.2%)、フィリピン20万6,050人(同11.3%)の順。在留資格別の労働者数は、
「専門的・技術的分野の在留資格」47万9,949人(前年比21.7%増)、「特定活動」
7万3,363人(同11.3%増)、「身分に基づく在留資格」59万5,207人(同2.6%増)、
一方、「技能実習」は34万3,254人で、前年比8,534人(2.4%)減少した。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30367.html
(「外国人雇用状況」の届出状況(概要版))
https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001044540.pdf
●1月総括判断、「緩やかに持ち直している」で据え置き/全国財務局管内経済情勢報告
財務省は1月31日、2023年1月の「全国財務局管内経済情勢報告概要」を公表した。
総括判断は、「物価上昇や供給面での制約等の影響がみられるものの、緩やかに
持ち直している」で前回(10月)から「据え置き」。雇用情勢は、3地域(北海道、
福岡、沖縄)で「上方修正」、8地域で「据え置き」。特徴的な動向として、
「製造業・サービス業を中心に、人手確保の動きが続いており、パート職員が
集まりにくいことがある」、「宿泊業を中心に、全国旅行支援が開始されてから、
さらに人手が足りておらず、他部署から応援を充てたり、稼働率を下げるなどで
対応している」としている。
https://www.mof.go.jp/about_mof/zaimu/kannai/202204/index.html
(主なポイント)
https://www.mof.go.jp/about_mof/zaimu/kannai/202204/point.pdf
●「女性が輝く企業と出会う合同業界研究イベント2023」を開催/厚労省
厚生労働省は2月16日、2024年卒を対象とした「女性が輝く会社と出会う
合同業界研究イベント2023」をオンラインで開催する。女性の活躍推進企業
データベースに関する案内、企業の業界研究プレゼンテーション、パネル
ディスカッションなどを予定。「えるぼし認定」、「くるみん認定」を取得
している企業が集まるイベントで、参加企業は幅広い業界から20社。参加無料。
先着順・事前予約制。
https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/event/2023/
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【統計】
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●12月の完全失業率2.5%、前月と同率/労働力調査
総務省は1月31日、2022年12月の「労働力調査(基本集計)」を公表した。
完全失業率(季節調整値)は2.5%で、前月と同率。完全失業者数は158万人
(前年同月比15万人減)で、18か月連続の減少。就業者数は6,716万人
(同10万人増)で、5か月連続の増加。産業別では、「宿泊業・飲食サービス業」、
「サービス業(他に分類されないもの)」などで前年同月に比べて増加。
雇用者数は6,055万人(同26万人増)で、10か月連続の増加。同日には2022年
平均の数値も公表され、完全失業率は2.6%(前年比0.2ポイント低下)、
完全失業者数は179万人(同16万人減)で、完全失業率は4年ぶりの低下、
完全失業者数は3年ぶりに減少した。
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html
(概要)
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/gaiyou.pdf
(2022年平均結果)
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/index.html
(2022年平均結果概要)
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/index.pdf
●12月の新規求人、「生活関連サービス業・娯楽業」は前年同月比18%増/一般職業紹介状況
厚生労働省は1月31日、「一般職業紹介状況」を公表した。2022年12月の
有効求人倍率(季節調整値)は1.35倍で、前月と同水準。新規求人倍率
(同)は2.39倍で、前月比0.03ポイント低下。新規求人(原数値)は、
前年同月比で4.8%増。産業別では、生活関連サービス業・娯楽業(18.5%増)、
サービス業(他に分類されないもの)(7.9%増)、宿泊業・飲食サービス業
(6.9%増)などで増加。同日には2022年平均の数値も公表され、有効求人倍率は
1.28倍で、前年比0.15ポイント上昇。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30448.html
(報道発表資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001042434.pdf
●消費者マインドの基調判断、「弱い動きがみられる」へ上方修正/1月消費動向調査
内閣府は1月31日、2023年1月の「消費動向調査」結果を公表した。「消費者態度指数
(二人以上の世帯、季節調整値)」は、前月比0.7ポイント上昇し31.0。指数を構成する
各指標では、「雇用環境」が2.2ポイント上昇し37.2、「収入の増え方」が0.5ポイント
上昇し35.6、「暮らし向き」が0.4ポイント上昇し27.8となった。消費者マインドの
基調判断は、「弱まっている」から「弱い動きがみられる」へ上方修正。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/youten.pdf
(統計表等)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html
●基調判断「生産は弱含み」で据え置き/12月鉱工業指数
経済産業省は1月31日、2022年12月の鉱工業生産・出荷・在庫指数(速報)を公表した。
生産指数(季節調整値)は95.4(前月比0.1%の低下)で2か月ぶりの低下。業種別では、
汎用・業務用機械工業、鉄鋼・非鉄金属工業、電気・情報通信機械工業等が低下し、
輸送機械工業(自動車工業を除く)、自動車工業、生産用機械工業等が上昇。出荷は
同0.7%の低下で4か月連続の低下、在庫は同0.5%の低下で2か月ぶりの低下、
在庫率は同1.2%の増加で2か月連続の増加。基調判断は「生産は弱含み」で据え置き。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
(概要)
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2015_202212sj.pdf
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【労使】
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●「開発・設計職基幹労働者」ポイントで7,000円以上の水準改善を統一要求基準とする闘争方針を決定/電機連合中央委員会
電機連合(神保政史委員長、56万5,000人)は1月26日、都内で中央委員会を開催し、
2023年総合労働条件改善闘争方針を決定した。大手電機メーカーで構成する中闘組合の
賃金の統一要求基準について、「開発・設計職基幹労働者」の個別ポイントで、
現行水準を7,000円以上改善するとした。昨年方針に比べると、4,000円高い基準。
電機連合が統一要求基準で7,000円以上の水準を掲げるのは、1998年の闘争以来25年ぶり。
(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20230201.html
●1月の業況DI、経済活動は回復するも、コスト増で横ばい/日商LOBO調査
日本商工会議所は1月31日、「商工会議所LOBO(早期景気観測)調査」結果を発表した。
1月の業況DI(全産業合計)はマイナス18.4で、前月と変わらず。経済活動が正常化に
向かう一方、原材料・エネルギー価格の高騰、人手不足に伴う人件費等、負担する
コストは増加が続いており、コスト増に見合う価格転嫁も十分に行えておらず、
中小企業の業況は横ばいに留まったとしている。先行き見通しDIはマイナス19.8で、
今月比1.4ポイントの低下。不安定な為替動向等で企業経営が安定しない中、物価高
による消費マインドの低下や、欧米等の世界経済の鈍化による外需のさらなる減退も
懸念され、中小企業の先行きは厳しいとしている。
https://www.jcci.or.jp/news/2023/0131110325.html
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【動向】
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●2022年上場企業の早期・希望退職募集は38社、19年と同水準/民間調査
東京商工リサーチは1月27日、上場企業を対象とした「早期・希望退職」
募集状況を発表した。2022年に早期・希望退職募集を開示した上場企業は38社
(前年比54.7%減)、コロナ禍前の19年(35社)とほぼ同水準で、30社台は
3年ぶり。募集人数は人数を公表した31社の合計5,780人で、前年(1万5,892人)
から63.6%減と大幅に減少した。1,000人以上の大型募集は1社、100人未満の
募集は21社で、比較的規模の小さな募集が多かったとしている。
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20230127_02.html
●将来の不安、大学1・2年生の3割が「お金」/民間調査
マイナビは1月26日、大学1・2年生を対象とした「大学生低学年のキャリア
意識調査(2025・26年卒対象)」を発表した。自分の将来に対してもっとも不安に
感じていることは「お金」(29.8%)が最多、次いで「就職活動」(26.9%)、
「働くこと」(16.2%)など。社会人人生でもっとも大切にしたいものは「家族」
(42.5%)、「自分の趣味」(24.7%)で、「仕事」「友情」「恋愛」を上回った。
https://www.mynavi.jp/news/2023/01/post_37787.html
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【企業】
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●新卒対象に「職種確約コース」など新設、適材適所の強化図る/三菱電機
三菱電機株式会社は1月25日、2024年4月1日以降の新卒入社者を対象に、
「職種確約コース(事務系)」と「配属先指定リクルート制度PLUS(技術系)」
の2制度を新設すると発表した。両制度ともに、応募段階および選考段階での
さらなるジョブマッチングを行うもので、「職種確約コース」は、「経理・財務」
「人事・総務」「法務・知的財産渉外」などの職種に対し、職種ごとに募集コース
を設け、採用活動では配属先となる職種の従業員が参加し、配属後の業務イメージ
などを応募者と共有しながら、最適な人財を採用するとしている。
https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2023/0125.html
(報道発表資料)
https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2023/pdf/0125.pdf
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<アメリカ>
▽カリフォルニア州とワシントン州が募集時の給与情報公開を義務化
カリフォルニア州とワシントン州は2023年1月1日から、求人募集時における
給与や賃金の情報の公開を企業に義務付ける州法を施行した。米国では賃金格差が
縮まらない背景に、雇用主が求人募集の際に給与水準を示さず、採用する労働者の
過去の給与履歴に基づき給与を決める慣行があるといわれる。そのため「給与透明化」
の立法措置をとり、格差解消をめざす動きが進展している。ニューヨーク市は2022年
11月に同様の法律を施行。コロラド州も2021年から実施している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/01/usa_02.html
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【イベント】
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●労働セミナー「“労働契約のいろは”+“近年の労働法の動向”」/東京都労働相談情報センター
東京都労働相談情報センターは2月28日、3月6日の2日間、労働セミナー
「“労働契約のいろは”+“近年の労働法の動向”」を立川市で開催する。
労働法の基本的な考え方から近年の労働法の動向までを解説する。受講無料。
定員各50名。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/seminarform/index/detail?kanri_bango=seminar-zchuo-001304