メールマガジン労働情報 No.1840

■□――【メールマガジン労働情報/No.1840】

経済の基調判断「このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している」へ下方修正/1月・月例経済報告 ほか

―2023年1月27日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】経済の基調判断「このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している」へ下方修正/1月・月例経済報告 ほか
【統計】小規模事業所の7月現金給与額20万円、前年比1.6%増/毎勤特別調査 ほか
【動向】飲食業の休廃業・解散が過去最多/民間調査
【企業】平均6%の昇給を実施/ハウステンボス ほか
【海外】農民工の雇用安定に向けた意見を公表―人的資源・社会保障部など/中国
【法令】労働関係法令一覧(2022年12月公布分)
【イベント】ブラッシュアップ講座「治療と仕事の両立―女性の生涯にわたるキャリア形成の視点から」/日本女性学習財団 ほか

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【JILPTからのお知らせ】
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☆緊急コラム

「毎勤の賃金上昇を決めているのはベア。定昇ではない~春季賃上げ率と賃金統計との関係~」
                        主席統括研究員 中井 雅之(1月27日)

 現在の日本においては、資源高、物価高が続く中、「賃金の引上げ」が大きなテーマ
となっている。名目賃金(現金給与総額)の推移を長期でみると、1990年代初頭のバブル
崩壊後の長引く経済の低迷、特に1998年のアジア通貨危機や2008年のリーマンショックの
影響を大きく受け、1997年をピークとして2010年代の始めまで減少傾向で推移してきた。
その後、2014年代以降は緩やかな増加傾向にあったが、2020年以降は新型コロナの影響を受け、
増加トレンドが頭打ちとなっている。結果として、1997年と比較した2021年の水準は、
事業所規模5人以上では90.0%(10.0%減)、30人以上では93.2%(6.8%減)と、
9割程度の水準に留まっている。
https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/column/031.html

☆第125回労働政策フォーラム

テーマ:女性の就業について考える─環境変化と支援のあり方を中心に─
日 時:2023年2月15日(水曜)~20日(月曜)
    第1部 研究報告 2月15日~20日(オンデマンド配信)
    第2部 事例紹介・パネルディスカッション 2月20日 13時30分~16時(ライブ配信)
開催方式:オンライン開催(Zoomウェビナー)
参加費:無料(要予約)
定 員:1,000名
申込期限:2月14日(火曜)15時まで
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20230220/index.html

☆第124回労働政策フォーラム(労働関係図書優秀賞記念企画)

テーマ:日本の人事制度・賃金制度「改革」
日 時:2023年2月6日(月曜)~9日(木曜)
    第1部 記念講演・問題提起  2月6日~9日(オンデマンド配信)
    第2部 事例紹介・パネル討論 2月9日 13時~14時45分(ライブ配信)
開催方式:オンライン開催(Zoomウェビナー)
参加費:無料(要予約)
定 員:1,000名
申込期限:2月3日(金曜)15時まで
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20230209/index.html

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【行政】
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●経済の基調判断「このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している」へ下方修正/1月・月例経済報告

 政府は25日、1月の「月例経済報告」を公表した。基調判断は「緩やかに持ち直している」
から「このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している」へ下方修正した。
先行きについては、「景気が持ち直していくことが期待される」と据え置いた。個別判断では、
雇用情勢は「持ち直している」で据え置き、倒産件数は「おおむね横ばいとなっている」から
「低い水準ではあるものの、このところ増加がみられる」へ、輸出・輸入は「おおむね横ばい
となっている」から「このところ弱含んでいる」へ下方修正更した。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2023/0125getsurei/main.pdf
(関係閣僚会議資料)
https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2023/01kaigi.pdf

●総合経済対策・補正予算等の迅速かつ着実な実行に向けた進捗状況のフォローアップについて議論/物価・賃金・生活総合対策本部

 政府は24日、第6回「物価・賃金・生活総合対策本部」を開催し、総合経済対策・
補正予算等の迅速かつ着実な実行に向けた進捗状況のフォローアップについて議論した。
総理は、議論を踏まえ、「賃上げについては、賃上げのインセンティブを拡充した、
ものづくり補助金の公募を今月から開始」するとともに、「中小企業の価格転嫁対策を
推進するため、今月から下請Gメンを300名体制に強化」するとし、「物価上昇を超える
賃上げの実現に向け、取組の強化を進める」などと述べた。
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202301/24taisakuhonbu.html
(議事次第・資料)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bukka/dai6/siryou.pdf

●約65%が所得・収入の面で「不満」/内閣府調査

 内閣府は24日、「国民生活に関する世論調査」結果を公表した。対象は全国18歳以上の
男女3,000人(有効回収数1,888人)。所得・収入の面での満足感については、「不満」
(64.8%)が前年から5.1ポイント増。生活の向上感についても、「低下している」
(32.6%)が前年から6.7ポイント増。働く目的については、「お金を得るため」63.3%
(前年61.1%)、「生きがいをみつけるため」14.1%(同13.9%)、「社会の一員として
務めを果たすため」11.0%(同12.1%)など。「お金を得るため」と回答した人の割合は
年齢が上がるほど低くなり、70歳以上(有効回収数561人)は40.8%だった。
https://survey.gov-online.go.jp/r04/r04-life/index.html
(概略版)
https://survey.gov-online.go.jp/r04/r04-life/gairyaku.pdf

●育児・介護の両立支援、柔軟な働き方実現に向け制度議論へ/厚労省研究会

 厚生労働省は26日、第1回「今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会」
を開催した。平成28年、29年の改正育児・介護休業法の施行から5年が経過し、
施行状況を踏まえて支援対策を検討する。具体的には育児期・介護期における長時間
労働の是正や、テレワークなどを組み合わせた柔軟な働き方を実現させるための制度
の在り方を議論する予定。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30545.html

●男女間の賃金格差についての情報公表の好事例等を紹介/厚労省

 厚生労働省は、男女間の賃金格差の情報公表に関する好事例等を公表している。
情報公表に際しては、数値だけでなく、「説明欄」等を活用して、格差の背景にある
人事管理のあり方などを明らかにすることが重要とし、公表の好事例や、先進的な
取組み例を紹介している。男女間賃金格差に関する情報については、女性活躍推進法の
改正省令により、2022年7月8日以降の最初の事業年度の終了後3か月以内に
公表することが301人以上規模の企業に義務付けられている。
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/001042310.pdf
(「情報公表」リーフレット)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000962289.pdf

●「女性のチャレンジ賞」の候補者を募集/内閣府

 内閣府は、2023年度「女性のチャレンジ賞」の候補者を募集している。
表彰の対象は、起業やNPO、地域活動などで活躍している女性や、そうした
女性を応援している方(男性を含む)など。応募締切は3月3日(必着)まで。
表彰式は6月下旬を予定。
https://www.gender.go.jp/public/commendation/women_challenge/boshu.html

●「育児・介護等と仕事との両立を支援するキャリアコンサルタント向けライブ型オンライン研修」を開催/厚労省

 厚生労働省は2月8、16日の2日間、「育児・介護等と仕事との両立を支援する
キャリアコンサルタント向けライブ型オンライン研修」を開催する。テーマは、
「育児・介護等100人百様の両立支援に向けて―キャリア支援者に期待される役割―」
(2/8)、「育児・介護等と仕事との両立支援―価値観ダイバーシティ社会における
キャリア支援とは?―」(2/16)。具体的な事例やキャリアコンサルタントの果たす
役割について専門家による講演、パネルディスカッションの生配信を行う。受講無料。
先着順。
https://kunren-careerconsultant.mhlw.go.jp/subscription.html#tab4

●「『船員の働き方改革』推進セミナー」を開催/国交省

 国土交通省は2月16、20日の2日間、「船員の働き方改革」推進セミナーを
オンラインで開催する。本年4月に労働時間規制の範囲の見直しが行われる
とともに、健康確保に関する新たな制度が施行される中、新制度の施行に向けた
具体的な対応や、船舶所有者による船員の定着に向けた取組を紹介する。
参加無料。定員は各回900名(先着順)。
https://www.mlit.go.jp/report/press/kaiji04_hh_000260.html

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【統計】
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●小規模事業所の7月現金給与額20万円、前年比1.6%増/毎勤特別調査

 厚生労働省は27日、2022年「毎月勤労統計調査特別調査」の結果を公表した。
全国の主要産業の小規模事業所(常用労働者1~4人規模)の賃金、労働時間
及び雇用の実態を明らかにすることを目的に毎年実施しているもの。22年7月の
「きまって支給する現金給与額」は20万3,079円(前年比1.6%増)。産業別では、
「建設業」が26万8,871円と最高、次いで「製造業」(21万6,745円)、「卸売業・
小売業」(20万4,584円)の順。また、常用労働者に占める女性労働者の割合は
57.3%(同0.1ポイント減)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/tokubetu/22/dl/toku2022_pdfhoudou.pdf
(概況)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/tokubetu/22/dl/toku2022_pdfgaikyo.pdf
(統計表)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/tokubetu/22/r04maitoku.html

●10月の介護サービス受給者、約465万人/介護給付費等実態統計

 厚生労働省は25日、「介護給付費等実態統計月報」(2022年10月審査分)を
公表した。受給者総数は、介護サービス465万5,600人、介護予防サービス
86万5,100人、受給者1人当たり費用額は、介護サービス19万3,900円、
介護予防サービス2万7,200円。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/2022/dl/202210_gaiyou.pdf
(統計表)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/2022/10.html

●基調判断「改善を示している」で据え置き/11月景気動向指数の改訂状況

 内閣府は25日、2022年11月の「景気動向指数・速報からの改訂状況」を公表した。
景気の現状を示す「一致指数」は、前月差0.3ポイント低下の99.3(速報値は99.1)。
基調判断は、「景気動向指数(CI一致指数)は、改善を示している」で据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202211rsummary.pdf
(統計表)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html

●建設労働需給、12月は1.0%の不足/国交省

 国土交通省は25日、「建設労働需給調査」(2022年12月調査)結果を公表した。
左官、配管工など8職種の全国過不足率は1.0%の不足、前月と比べ0.3ポイント
不足幅が縮小した。職種別では、全ての職種で不足となっている。東北地域は
1.0%の不足、前月と比べ0.6ポイント不足幅が縮小。8職種の今後の労働者の
確保に関する見通し(2月及び3月)は、全国及び東北地域とも「普通」としている。
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00127.html
(報道発表資料)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001583588.pdf

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【動向】
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●飲食業の休廃業・解散が過去最多/民間調査

 東京商工リサーチは24日、2022年の飲食業の休廃業・解散件数を発表した。
休廃業・解散件数は過去最多の1,899件で、初めての緊急事態宣言があった
2020年の1,733件を1割近く上回った。業種別では、「食堂・レストラン」1,281件
(前年比14.1%増)、「バー・キャバレー・ナイトクラブ」84件(同33.3%増)、
「持ち帰り飲食サービス業」15件(同150.0%増)、「宅配飲食サービス業」34件
(同17.2%増)で、この4業種で休廃業・解散件数が最多を更新した。
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20230124_01.html

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【企業】
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●平均6%の昇給を実施/ハウステンボス

 ハウステンボス株式会社は23日、本年7月より同社を含む全グループ会社にて
給与改定を行い、平均6%の昇給を実施すると発表した。食料品や光熱費などの
値上げが相次ぎ、家計の負担が増加している中で、給与改定を実施することに
より生活の安定を図る。パート・アルバイトスタッフは、今回の改訂の対象外だが、
年2回の評価と昇給を実施すること等で、社員と同様に仕事を通して喜びや成長、
やり甲斐を感じるような環境を作るとしている。
https://www.huistenbosch.co.jp/aboutus/pdf/230123_htb11.pdf

●給与水準の引き上げを含む報酬体系を改定/高砂熱学工業

 高砂熱学工業株式会社は23日、2024年4月1日から給与水準の引き上げを含む
全役職員の報酬体系を改定すると発表した。ベアを含む基本給、各種諸手当の
改定等を実施し、前年度比年収ベースで従業員平均5%以上の給与水準の
引き上げを目標としている。大卒グローバル職の場合、初任給は現行の
24万2,000円が、24年4月1日からは27万円となり、2万8,000円増加する。
https://www.tte-net.com/topics/2023/pdf/20230123_1.pdf

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<中国>
▽農民工の雇用安定に向けた意見を公表―人的資源・社会保障部など

 雇用の厳しい冷え込みが続くなか、農民工(農民戸籍を有する出稼ぎ労働者)
に対する雇用の安定が、依然として政府の重要な課題となっている。人的資源・
社会保障部などの5部門は、2022年11月9日に「農民工の雇用と起業に対する
さらなる支援の実施に関する意見を公布した。農民工の雇用の安定を図るため、
「郷外」(戸籍がある地元町村(郷鎮)以外)への出稼ぎ支援、「大齢」
(50歳以上の中高年)の農民工対策の重視、地域での雇用や起業の促進、
といった政策措置を提起している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/01/china_01.html

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【法令】
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●労働関係法令一覧(2022年12月公布分)
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/hourei/202212.html

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【イベント】
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●ブラッシュアップ講座「治療と仕事の両立―女性の生涯にわたるキャリア形成の視点から」/日本女性学習財団

 日本女性学習財団は2月10日、ブラッシュアップ講座「治療と仕事の両立
―女性の生涯にわたるキャリア形成の視点から」をオンラインで開催する。
実践者からの事例報告とともに、支援者の役割や連携のあり方、治療と仕事が
両立しにくい社会にも目を向けて考え合う。参加費1,500円、定員80名(先着順)。
https://jawe230210.peatix.com/

●「知って役立つ!若者のための労働法入門講座」/神奈川県労働福祉協会

 (公財)神奈川県労働福祉協会は、「知って役立つ!若者のための労働法入門講座」
をオンライン(オンデマンド)で開催する。配信期間は2月13日~3月26日。
違法・脱法的な労働行為から自分の権利を守り、将来のキャリア形成を図る上でも
必ず必要となる、知っておくべき労働法等の知識を事例を交えて解説する。受講無料。
https://www.zai-roudoufukushi-kanagawa.or.jp/roudou-wakamono.html

●「テレワークセミナー」/東京テレワーク推進センター

 東京テレワーク推進センターは、テレワークに関するセミナーを毎月開催している。
2月は7、17、21日にオンラインで開催する。人的資本経営の基本的な考え方や
最新動向とテレワーク推進ポイント、実践企業におけるコミュニケーションと
人材育成の工夫、中小企業への割増賃金率適用と長時間労働対策及び労務管理の
ポイントについて説明する。東京都や国の支援事業の紹介も予定。参加無料。
要事前予約。定員各回300名。
https://tokyo-telework.metro.tokyo.lg.jp/seminarevent