メールマガジン労働情報 No.1817

■□――【メールマガジン労働情報/No.1817】

賃金のデジタル支払い、来年4月解禁へ/労政審労働条件分科会 ほか

―2022年10月26日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】賃金のデジタル支払い、来年4月解禁へ/労政審労働条件分科会 ほか
【統計】8月の現金給与総額、前年同月比名目1.7%増、実質1.7%減/毎勤統計確報値
【労使】定期昇給相当分を含め、賃上げを5%程度とする要求指標を提示―連合の2023春季生活闘争基本構想 ほか
【動向】コロナ禍への現状認識、「もはやコロナ禍ではない」が約66%/民間調査 ほか
【イベント】労働講座「障がい者雇用の基礎知識~合理的配慮によるともに働ける職場を目指して~」/神奈川県かながわ労働センター県央支所

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【JILPT研究成果情報】
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◇資料シリーズ No.260『「job tag」(職業情報提供サイト(日本版 O-NET))のインプットデータ開発に関する研究(2021年度)』

 2018年度と2019年度に当機構が開発した職業情報のデータセットについて、
既存7領域のうち「仕事価値観」領域の新項目での情報再取得と、「スキル」領域の
情報更新等、内容を拡充しました。また、AIの普及と関連する就業不安について
特別調査を行ったところ、全体として「AI普及によって就業者数が減るのではないか」
との不安が比較的高いことが示唆され、「事務の仕事」と「販売の仕事」は就業不安が
高く、「建設・採掘の仕事」ではあまり不安に感じていないことなどが分かりました。
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2022/260.html

◇海外労働情報22-10『諸外国の雇用維持政策―アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス―』

 コロナ禍における欧米主要国(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス)の
雇用維持政策に着目し、制度、機能、給付用件、給付プロセス、政策評価等を
整理・分析しました。
https://www.jil.go.jp/foreign/report/2022/22-10.html

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【JILPTからのお知らせ】
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◇『日本労働研究雑誌』2022年11月号を刊行しました!
 ディアローグ「労働判例この1年の争点」+特集「公的職業訓練の今日的課題」

 毎年の恒例企画・ディアローグでは、労働法の研究者2名の対談形式により、
この1年の注目すべき重要な労働判例を10件取り上げました。また、特集では
日本における公的職業訓練の現状と論点を政策評価と制度的な課題にフォーカス
して整理しました。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2022/11/index.html

◇『ビジネス・レーバー・トレンド』2022年11月号を公開しました!
 「キャリア採用に向かう企業」

 キャリア採用に本腰を入れ始めた企業、ミスマッチのない人材移動を支援する
マッチング企業の取り組み事例や、今年7月に開催した労働政策フォーラム
「転職と中途採用について考える─キャリア採用の取組を中心に」での議論を
紹介しながら、企業も、職場も、転職者も満足するキャリア採用の実現に向け、
必要な準備と対策などについて考えます。
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2022/11/index.html

◇英文ジャーナル『Japan Labor Issues』(電子版)2022年11月号を公開しました!

 本号は特別号として、今年3月にJILPTが開催した第5回国際比較労働政策セミナー
「新型コロナウイルス感染症が労働市場に与えた影響と政策対応―脆弱な立場の労働者
に対する社会的保護の強化」の特集をお届けします。アジア太平洋地域の研究者
(10か国・地域の10名)が発表した研究レポートを収録しています。
https://www.jil.go.jp/english/jli/index.html

◇労働政策フォーラムの動画配信!

第122回「働く人のキャリア支援を考える─これからのキャリアコンサルティングはどうあるべきか」(2022年9月12日開催)
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20220912/video/index.html

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【新型コロナウイルス関連情報】
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▽最近の更新情報(10月25日更新)

 国内統計:賃金
 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c10.html

 国内統計:総実労働時間、所定内労働時間、所定外労働時間
 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c11.html

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【行政】
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●賃金のデジタル支払い、来年4月解禁へ/労政審労働条件分科会

 厚生労働省は26日、第181回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催し、
賃金のデジタル支払い(賃金移動業者の口座への賃金支払い)を可能とする
労働基準法施行規則の一部改正省令案の要綱等を示した。キャッシュレス決済の
普及が進み、賃金デジタル支払いのニーズも一定程度見られることから、
労働者の同意を得たうえで、一定要件を満たした場合に可能とする。
2023年4月1日施行予定。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28787.html
(労基法施行規則の一部改正省令案要綱)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001005109.pdf
(労基法施行規則の一部改正省令案の概要)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001005110.pdf

●時間単位年休、労働契約関係の明確化等について議論/労政審労働条件分科会

 上記の第181回「労政審労働条件分科会」ではこの他、年次有給休暇の
時間単位取得を含む労働時間制度、労働契約関係の明確化等の現状・課題
ついて議論した。当機構が実施した年休取得に関するアンケート調査結果
および解雇等紛争事案の調査結果が活用されている。
(分科会資料No.3-2 年次有給休暇の現状について)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001005115.pdf
(関連成果)JILPT調査シリーズ No.211
『年次有給休暇の取得に関するアンケート調査(企業調査・労働者調査)』
https://www.jil.go.jp/institute/research/2021/211.html
(分科会資料No.5 労働審判事件等における解決金額等に関する調査について)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001005117.pdf

●雇用調整助成金の特例措置の見直しについて議論/労政審職業安定分科会

 厚生労働省は24日、第186回「労働政策審議会職業安定分科会」及び第176回
「労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会」を開催した。1日最大1万2,000円
とする雇用調整助成金のコロナ特例を見直し、12月以降は原則、通常時の上限8,335円
としたうえで、業況が厳しい事業主に一定の経過措置を設けることなどについて議論した。
配付資料では、雇用調整助成金等・休業支援金等の実績等のほか、通常制度とすること
についての論点が示されている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_030127159_001_00036.html
(配付資料:雇用調整助成金等・休業支援金等)
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001004290.pdf

●経済の基調判断「緩やかに持ち直している」で据え置き/10月・月例経済報告

 政府は25日、10月の「月例経済報告」を公表した。基調判断は、「緩やかに持ち直している」
で据え置き。先行きについては、「ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、
各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される」、「物価上昇、供給面
での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある」としている。
個別判断では、雇用情勢は「持ち直している」で据え置き、設備投資は「持ち直しの動きが
みられる」から「持ち直している」へ、輸入は「持ち直しの動きがみられる」から
「おおむね横ばいとなっている」へ変更した。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2022/1025getsurei/main.pdf
(関係閣僚会議資料)
https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2022/10kaigi.pdf

●「第60回技能五輪全国大会」を開催/厚労省・JAVADA

 厚生労働省と中央職業能力開発協会(JAVADA)は、11月4日から7日まで、
「第60回技能五輪全国大会」を千葉県の幕張メッセなど13会場で開催する。
原則23歳以下の青年技能者たちが「技」日本一の座を競うもので、41職種で
1,014人の選手が参加する。競技や開会式・閉会式の様子は、ウェブサイトで
ライブ配信の予定。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28394.html

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【統計】
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●8月の現金給与総額、前年同月比名目1.7%増、実質1.7%減/毎勤統計確報値

 厚生労働省は25日、8月の「毎月勤労統計調査」結果(確報、事業所規模5人以上)
を公表した。現金給与総額は、就業形態計で前年同月比1.7%増の27万9,346円、
うち一般労働者が同1.9%増の36万2,821円、パートタイム労働者が同4.2%増の
10万458円。一方、実質賃金は、消費者物価の上昇等の影響により同1.7%減と
5か月連続のマイナスとなった。総実労働時間は同2.0%増の132.2時間。うち、
所定内労働時間は同1.8%増の122.8時間、所定外労働時間は同3.1%増の9.4時間。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r04/2208r/dl/pdf2208r.pdf
(統計表等)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r04/2208r/2208r.html

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【労使】
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●定期昇給相当分を含め、賃上げを5%程度とする要求指標を提示―連合の2023春季生活闘争基本構想

 連合(芳野友子会長)は、10月20日に開いた中央執行委員会で、2023春季生活闘争
方針案のたたき台となる「2023春季生活闘争基本構想」を確認した。賃上げ要求の
指標として、ベースアップや賃金改善などの賃上げ分を「3%程度」とし、
定期昇給相当分(賃金カーブ維持分)と合わせ、「賃上げを5%程度」とする
考え方を示した。11月の中央執行委員会で予定される正式な方針案の策定に向け、
まずは11月1日に開く中央討論集会で、構成組織・地方連合会と議論する。
(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20221026a.html

●誰でも、どこでも時給1,500円以上、月22万5,000円以上の企業内最賃を/国民春闘共闘の2023春闘方針構想案

 全労連や純中立労組でつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事:小畑雅子・
全労連議長)は10月19日、都内でオンライン併用の年次総会を開き、
「2023国民春闘方針(構想案)」を提起した。方針構想案は、「誰でも、
どこでも時給1,500円以上、月22万5,000円以上の産業・企業内最低賃金」や
法定最低賃金「全国一律1,500円以上」などの底上げ要求を提起するとともに、
「月2万5,000円以上+α、時給150円以上+α」の賃上げ要求のたたき台を明記。
今後、春闘アンケートの結果も踏まえ、「物価の高騰を補うだけでなく、
生活改善を求める大幅賃上げ要求の実現を求める」議論を進めていく考えだ。
(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20221026b.html

●中小企業の「雇用・労働政策に関する重点要望」を発表/日商・東商

 日本商工会議所・東京商工会議所は21日、中小企業の「雇用・労働政策
に関する重点要望」を発表した。中小企業の自発的な賃上げの推進に向けて、
「取引価格適正化の推進、賃上げを促す助成・特例の拡充」「DX・生産性向上
を担う人材の育成支援」を、魅力ある職場環境の整備に向けて、「企業による
教育訓練の拡充、労働者の主体的な学びへの支援」などを求めている。
https://www.jcci.or.jp/recommend/request/2022/1021140001.html
(本文)
https://www.jcci.or.jp/20221021_labor_sentence.pdf

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【動向】
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●コロナ禍への現状認識、「もはやコロナ禍ではない」が約66%/民間調査

 東京商工リサーチは25日、第24回「新型コロナウイルスに関するアンケート」
調査結果を発表した。コロナ禍への現状認識を聞いたところ、「もはやコロナ禍
ではない」と回答した企業は66.6%。一方、「コロナ禍真っただ中」は33.3%で、
業種別では、旅行、葬祭、結婚式場を含む「その他の生活関連サービス業」(76.9%)
が最多。コロナ対応に加えて「コロナ以外の環境変化への対応も急務」とする企業も
全体の28.9%にのぼり、円安やエネルギー価格の上昇、原材料高騰、賃上げなど、
経営環境が激変するなか、「複合危機」への対応が経営上の大きな課題に浮上している
としている。
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20221025_01.html

●人手不足企業の割合は50.1%/民間調査

 帝国データバンクは21日、「人手不足に対する企業の動向調査」結果を発表した。
2022年9月時点における正社員の人手不足企業の割合は50.1%となり、19年11月(50.1%)
以来2年10か月ぶりに5割を上回り、感染拡大後としては最大となった。非正社員は30.4%
となり、コロナ禍で初めて3割を上回った。業種別では、「旅館・ホテル」が正社員では
62.5%、非正社員では62.3%が人手不足となり、それぞれ6割を上回る高水準となった。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p221007.html
(詳細)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p221007.pdf

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【イベント】
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●労働講座「障がい者雇用の基礎知識~合理的配慮によるともに働ける職場を目指して~」/神奈川県かながわ労働センター県央支所

 神奈川県かながわ労働センター県央支所は11月25日、労働講座「障がい者雇用の
基礎知識~合理的配慮によるともに働ける職場を目指して~」を座間市で開催する。
障がい者雇用に関する法令の解説や、よくある事例・裁判例・合理的配慮などに
ついて弁護士が解説する。参加無料。定員50名(事前申込制、先着順)。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/w4v/evt/e1172034.html