誰でも、どこでも時給1,500円以上、月22万5,000円以上の企業内最賃を/国民春闘共闘の23春闘方針構想案

2022年10月26日 調査部

全労連や純中立労組でつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事:小畑雅子・全労連議長)は10月19日、都内でオンライン併用の年次総会を開き、「2023国民春闘方針(構想案)」を提起した。方針構想案は、「誰でも、どこでも時給1,500円以上、月22万5,000円以上の産業・企業内最低賃金」や法定最低賃金「全国一律1,500円以上」などの底上げ要求を提起するとともに、「月2万5,000円以上+α、時給150円以上+α」の賃上げ要求のたたき台を明記。今後、春闘アンケートの結果も踏まえ、「物価の高騰を補うだけでなく、生活改善を求める大幅賃上げ要求の実現を求める」議論を進めていく考えだ。

最低規制を強める要求を前面に掲げてたたかう春闘に

方針構想案は、23国民春闘を「賃金のベアなしで終われない春闘」と位置付けたうえで、「物価の高騰を補うだけでなく、さらに生活改善をめざすベースアップが必要だ」と指摘。特に、「より困難を強いられる非正規労働者や差別的な低賃金に置かれる女性労働者」や「コロナ禍で社会的な役割を過酷な環境下で支え続けるエッセンシャルワーカー」の賃上げを重視して、実現を目指す姿勢を示している。

賃上げ要求では、「最低規制を強める要求を前面に掲げてたたかう春闘にする」構え。最低賃金の全国一律制の実現や、低賃金労働者の賃金の底上げ、格差の是正、均等待遇などを求める。

平均賃上げ要求は「月2万5,000円(8.19%)以上+α、時給150円(10.62%)以上+α」

具体的な統一要求の考え方は、まず、最低生計費試算調査を根拠に、非正規労働者や女性労働者、若者、高齢労働者など低賃金労働者の賃上げを重視するとして、「誰でも、どこでも時給1,500円以上、月22万5,000円以上の産業・企業内最低賃金」の底上げ要求を提起。当事者の労働組合への組織化にもつなげながら、ともに声をあげることで実現を目指す考えを打ち出している

平均賃上げ要求は、議論のたたき台として「月2万5,000円以上+α、時給150円以上+α」を明記した。春闘アンケートの結果を踏まえ、「物価の高騰を補うだけでなく、生活改善を求める大幅賃上げ要求の実現を求めていく」という。

国民春闘共闘委員会の説明によると、月額2万5,000円要求を率に換算すると8.19%(2万5,000円/21国民春闘での加重平均・所定内賃金30万4,920円×100=8.19%、2万5,000円/賃金センサス30万7,700円×100=8.12%)。時間額150円要求は、10.62%(150円/賃金センサス短時間・全産業・男女計1,412円×100=10.62%)になる。

統一要求ではさらに、法定最低賃金について「全国一律1,500円以上」を掲げて全国一律実現の要求を強めるほか、雇用形態や男女間格差の根絶を目指す均等待遇の取り組みも重視する。

深夜勤務や変則勤務、対人労働の場合は労働時間を短縮

一方、労働時間・働き方に係わる要求では、① 所定労働時間を1日7時間、週35時間をめざす ② 時間外労働の上限を週15時間、月45時間、年360時間までとするために、36協定の特別条項を廃止する ③ 勤務間インターバルを24時間について連続する11時間以上とする ④ 深夜勤務や変則勤務、対人労働の場合は、労働時間を短縮する――ことを列記している。

統一回答集中日を国際女性デーの3月8日に設定

方針構想案は、統一回答集中日を3月8日、翌9日を統一ストライキ含む全国統一行動日に設定。回答集中日には、ZoomとYou Tubeを用いて回答結果速報「全国中継!特別ネット番組」を行う考えも示した。ネット番組は、各単組から出される回答結果を選挙速報のように報じる形を想定しているという。

小畑代表幹事はあいさつで、23春闘について「急激な物価高騰の下、日本の労働者の低すぎる賃金を引き上げる課題はますます重要性を増している」ことを指摘。「あらゆる方針にジェンダー平等を貫く立場から統一回答集中日を国際女性デーの3月8日とし、男女賃金格差の解消を目指す課題も正面に掲げていこう」などと述べ、春闘方針の確定に向けた議論への積極的な参加を呼びかけた。