資料シリーズNo.302
スタートアップの事業再編における
労使コミュニケーションの実態

2026年4月2日

概要

研究の目的

政府のスタートアップ政策が展開されている中、厚生労働省が関連の労働政策を進めていく上で、スタートアップの事業再編における労使コミュニケーションの実態を調査してほしいとの要請があり、それに対応すること。

研究の方法

ヒアリング調査

主な事実発見

本資料シリーズは7つのスタートアップ事業再編における労使コミュニケーションの実態を調査・研究した。再編は株式譲渡、事業譲渡、会社新設などに伴うものであり、再編の背景は急成長に向けた資金の確保、新規事業の立ち上げや経営資源の集中、事業の機動的展開など多種多様であった。

労使コミュニケーションは、事業再編情報を従業員に伝えるタイミングが再編の対外発表直後もあれば、再編の企画段階や実行前のものもあり、また、対従業員説明は全体会議や個人面談が併用されているが、後者は転職・転籍などの人事問題が発生する場合であった。

事業再編に対する労働者の意見は概ね肯定的であった。基本的に再編が成長のためのものであって、雇用や労働条件に悪影響を及ぼすものではなかったからである。一部では否定的な意見もあったが、それは社長や事業との別れ、転籍条件の低さによるものであった。

再編に伴う大きな問題や紛争は発生しなかったが、それは円滑な労使コミュニケーションの外、労働者の雇用や労働条件に否定的な影響がなく、一部では全従業員の大幅賃上げなどもあったからである。

また、退職金制度がなく、雇用終了に伴う紛争の余地が少ない。一事例では雇用減もあったが、全員がよい条件で再就職を果たした。経営者の強い雇用責任感やスタートップでの経験が買われた結果である。

政策的インプリケーション

スタートアップの事業組織再編は今後増えていく可能性があるが、再編による否定的効果を最小化し、肯定的な効果を最大化していく上で、再編が事業の発展と雇用の維持・拡大に向けられるようにすること。また、再編内容や再編に伴う影響については労使が意見交換を行い、影響を受ける当事者が納得できるように労使コミュニケーションの環境整備が求められる。

政策への貢献

資料シリーズの一部の内容は、2025年7月18日、第3回労働政策審議会(労働条件分科会「組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会」)の資料として活用された。

本文

研究の区分

緊急調査

研究期間

令和6~7年度

執筆担当者

呉学殊
労働政策研究・研修機構 特任研究員
藤本 真
労働政策研究・研修機構 副統括研究員

関連の研究成果

お問合せ先

内容について
研究調整部 研究調整課 お問合せフォーム新しいウィンドウ

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