資料シリーズNo.297
脳・心臓疾患の労災認定事案における
連続勤務、深夜勤務、不規則勤務の分析

2026年2月6日

概要

研究の目的

脳・心臓疾患の労災認定事案における過重負荷に関し、休息時間の確保に関わる、連続勤務、深夜勤務、不規則な勤務・交替制勤務といった勤務状況を分析することで、時間外労働の長さにとどまらず、労働者の健康悪化をもたらした勤務状況について多角的に考察する。

研究の方法

平成22年度~令和4年度における脳・心臓疾患の労災認定事案のうち、「長期間の過重業務」が過重負荷として認定された事案を扱う。具体的には、「調査復命書」に付属する「労働時間集計表」の記録を、過労死等データベースの属性情報と接続したものをデータとして使用し、労働時間集計表データに欠損がない2,848事案を分析対象とした。

主な事実発見

  • 事案における1か月あたりの勤務日数の中央値は24.50日であり、1か月あたりの勤務日数が26日超の事案が約2割(19.9%)を占める(図表1)。中央値で見ると、「農林業」、「漁業」、「宿泊業, 飲食サービス業」、「複合サービス事業」等の業種や、「農林漁業従事者」、「建設・採掘従事者」、「サービス職業従事者」等の職種において勤務日数が多い傾向にあり、休日を特に取得しにくい業種・職種と言える。
  • 最大連続勤務日数を見ると、評価期間内で14日以上の連続勤務があった事案が26.4%を占める。「農林業」は14日以上の連続勤務があった割合が71.4%で、突出して多い。「漁業」52.9%、「複合サービス事業」50.0%がそれに次ぐ。
  • 1か月あたりの拘束時間は、対象事案の平均314.17時間であり、拘束320時間以上の事案が33.0%を占める。業種では、「農林業」「漁業」「運輸業、郵便業」「宿泊業・飲食サービス業」等で拘束時間が特に長い。職種では、「農林漁業従事者」「輸送・機械運転従事者」「保安職業従事者」「サービス職業従事者」等で拘束時間が特に長い。
  • 深夜勤務について、22時~5時の時間帯に2時間以上勤務時間が含まれる場合に深夜勤務の日と見なし、事案ごとに、評価期間の勤務日に占める深夜勤務の日の割合を計算した。中央値や第3四分位数を読む限り、「漁業」および「運輸業、郵便業」において深夜勤務が常態化していた事案が際立つ(図表2)。職種では、「保安職業従事者」、「輸送・機械運転従事者」、「農林漁業従事者」等の職種において深夜勤務の頻度が高い。
  • 交替制勤務・不規則勤務について、始業時刻の標準偏差(ばらつき)を指標として分析した。その中央値で見ると、「漁業」、「運輸業, 郵便業」、「金融業, 保険業」、「医療, 福祉」等の業種や、「保安職業従事者」、「輸送・機械運転従事者」、「農林漁業従事者」等の職種では、始業時刻の標準偏差が大きく、始業時刻が一定でない不規則勤務・交替制勤務の状況が多く観察された。

図表1 事案における1か月あたりの勤務日数の分布

図表1画像:事案における1か月あたりの勤務日数の中央値は24.50日であり、1か月あたりの勤務日数が26日超の事案が約2割を占める。

図表2 勤務日に占める深夜勤務比率(業種別・箱ひげ図)

図表2画像:就業時間帯に関して、中央値や第3四分位数を読む限り、「漁業」および「運輸業、郵便業」において深夜勤務が常態化している事案が際立つ。

政策的インプリケーション

労働者の健康確保のためには、長時間労働の是正とともに、連続勤務や深夜勤務・不規則勤務の削減等、働き方を見直す必要がある。

政策への貢献

過労死等防止対策の検討における基礎資料として活用が期待される。

本文

研究の区分

プロジェクト研究「労働市場とセーフティネットに関する研究」
サブテーマ「格差・ウェルビーイング・セーフティネット・労働環境に関する研究」

研究期間

令和6年度

執筆担当者

高見 具広
労働政策研究・研修機構 主任研究員

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研究調整部 研究調整課 お問合せフォーム新しいウィンドウ

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