資料シリーズNo.251
職業レディネス・テストの改訂に関する研究Ⅱ
―高等教育課程在学者の進路選択に関連した特性の理解―

2022年3月31日

概要

研究の目的

当機構で開発した「職業レディネス・テスト」は主に中学生、高校生を対象として職業志向性と基礎的志向性を測定する検査であるが、プロジェクト研究として実施した「職業レディネス・テストの改訂に関する研究」では、研究の一環として大学生等の高等教育課程の在学者や若年求職者にも適用できるような新しい検査の開発に取り組んだ。これは「職業レディネス・テスト」とあわせて実施することを想定した検査であり、仕事を選ぶ時の考え方の特徴を捉える「仕事選び基準尺度」、仕事や生活の場に関わる性格特性や生活態度を捉える「基礎的性格特性尺度」、「基礎的生活特性尺度」で構成される。

本研究では、新しく開発された検査の尺度を用いて高等教育課程在学者のデータを収集・分析し、新規尺度の信頼性、妥当性を検証するとともに、各特性の標準的な水準がどの程度であるかを検証した。その上で「職業レディネス・テスト」の既存尺度で測定された特性と新規尺度で測定された特性との関連や所属する学科、過去の進路選択の評価等との関連性についても検討を行った。

研究の方法

2020年にWEBモニター調査により収集した高等教育課程在学者1,161名のデータについて分析を行った。あわせて、新規尺度を作成する際に収集した2019年のデータセット、2021年に収集した在職者のデータセット等において算出された各特性に関する測定値との比較を行った。

主な事実発見

本研究で得られた主な知見は以下の3つである。

  1. 3つの新規尺度を構成する各下位尺度については、2020年に収集した調査データにおいても尺度を構成する項目の妥当性および測定の信頼性の高さが確認された。
  2. 新規尺度は職業レディネス・テストで測定される職業興味、職務遂行の自信度、基礎的志向性とは別の側面を把握できる内容となっていることが今回の高等教育課程在学者の調査結果においても確認できた。
  3. 複数の調査によるデータセットから、新規尺度に含まれる各特性の測定データが集められたことで、これらの尺度で測られている高等教育課程在学者の特性に関する傾向が把握できた。2019年調査の在学者・在職者、2020年調査の在学者、2021年調査の在職者、紙筆検査版で収集した大学生の回答を用いて各特性の平均値を男女別に示した結果では(図表1・図表2)、各特性の平均値の高低には男女間で大きな違いはみられず、同じような傾向が示された。また尺度の規準作成のために複数のデータセットを比較した時、在学者の中では2020年調査の平均値が中間的なレベルにあることが示された。

図表1 新規尺度によって測定された9つの特性の平均値(男性)

図表1画像

図表2 新規尺度によって測定された9つの特性の平均値(女性)

図表2画像

政策的インプリケーション

本研究で開発された新規尺度によって、高等教育課程在学者の仕事選びに関わる価値観的側面、基礎的な性格特性、生活特性についての特徴を示す基礎的な資料が提示された。

政策への貢献

本研究で開発された新規尺度は、公共職業安定所、職業相談機関、教育機関等において、高等教育課程の在学者や30代前半程度の若年求職者が自らの個性を理解したり職業選択を行うときに役立てられる。

本文

研究の区分

プロジェクト研究「全員参加型の社会実現に向けたキャリア形成支援に関する研究」
サブテーマ「職業情報、就職支援ツール等の整備・活用に関する研究」

研究期間

平成29年~令和3年度

執筆担当者(執筆順)

室山 晴美
労働政策研究・研修機構 特任研究員
深町 珠由
労働政策研究・研修機構 主任研究員
秋山 史子
学習院大学 助教
安達 智子
大阪教育大学 教授
小菅 清香
学習院大学人文科学研究所 客員所員

研究会委員(執筆者以外)

本間 啓二
日本体育大学 教授
田中 歩
労働政策研究・研修機構 統括研究員
鎌倉 哲史
労働政策研究・研修機構 研究員
石井 悠紀子
労働政策研究・研修機構 アシスタント・フェロー
松原 亜矢子
労働政策研究・研修機構 元統括研究員(2021年4月まで)

関連の研究成果

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