資料シリーズ No.222
労働力需給の推計
―全国推計(2018年度版)を踏まえた都道府県別試算―
概要
研究の目的
少子高齢化等、経済社会の構造変化が労働・雇用情勢に与える影響を把握し、今後の雇用政策の企画・立案に資することを目的として、当機構はマクロモデルに基づく労働力需給に関する定量的な見通しの継続的な推計を行ってきた。今回は、労働力需給推計(2018年度全国版)に基づき都道府県別推計を実施することにより、地域の労働経済の分析に寄与することを目的とした。
研究の方法
労働力需給推計(2018年度全国版)の結果及びその推計モデルを用いて、全国版と同じ3つのシナリオによるシミュレーションを行った。外部研究者を含む労働力需給推計研究会を開催し、推計の想定、方法及び結果の妥当性の検証を行った。
主な事実発見
- 労働力人口
2040年の労働力人口は、成長実現・労働参加進展シナリオでは一部の都県を除いて2017年から減少する。2017年から増加する都県は、東京都(7.0%増)、沖縄県(3.3%増)、愛知県(0.1%増)となっており、2017年から減少する変化率の大きな県は、秋田県(32.7%減)、青森県(28.1%減)、福島県(23.6%減)などとなっている。ゼロ成長・労働参加現状シナリオではいずれの都道府県でも減少するが、相対的に2017年から減少する変化率が小さい都県は、東京都(4.7%減)、沖縄県(8.4%減)、愛知県(11.2%減)などとなっており、2017年から減少する変化率の大きな県は、秋田県(41.3%減)、青森県(37.5%減)、福島県(33.1%減)などとなっている。(図表1)
注)「成長実現」:成長実現・労働参加進展シナリオ、
「ゼロ成長」:ゼロ成長・労働参加現状シナリオ
- 就業者数
2040年の就業者数は、成長実現・労働参加進展シナリオでは一部の都県を除いて2017年から減少する。2017年から増加する都県は、東京都(6.4%増)、沖縄県(4.6%増)、愛知県(0.3%増)となっており、2017年から減少する変化率の大きな県は、秋田県(31.9%減)、青森県(26.8%減)、福島県(23.4%減)などとなっている。ゼロ成長・労働参加現状シナリオではいずれの都道府県でも減少するが、相対的に2017年から減少する変化率が小さい都県は、東京都(6.7%減)、沖縄県(8.4%減)、愛知県(12.3%減)などとなっており、2017年から減少する変化率の大きな県は、秋田県(41.2%減)、青森県(37.0%減)、福島県(33.6%減)などとなっている。(図表2)
注)「成長実現」:成長実現・労働参加進展シナリオ、
「ゼロ成長」:ゼロ成長・労働参加現状シナリオ
政策的インプリケーション
東京都では、将来見込まれる労働力供給の顕著な集中に対し、トレンドで見込まれる労働力需要では追いつかない可能性がある。他の道府県においても、労働力人口が減少するケースが多い中で、それ以上の就業者数の減少が見込まれる場合がある。これらの都道府県では、将来の産業構成をどのように変化させ、魅力ある労働力需要をいかにして拡大していくのかということが問題となってくると思われる。
政策への貢献
雇用政策の企画・立案及び地域における労働力需給構造の変化に関する分析の基礎資料として活用予定。
本文
本文がスムーズに表示しない場合は下記からご参照をお願いします。
- 表紙・まえがき・労働力需給推計に関する研究会 名簿・目次(PDF:469KB)
- 第1章 はじめに(PDF:364KB)
- 第2章 都道府県別労働力需給の推計(PDF:2.3MB)
- 第3章 本推計における労働力人口、就業者数と完全失業率の関係に係る考察(PDF:329KB)
- 第4章 おわりに・参考文献(PDF:369KB)
- 付属資料(PDF:895KB)
研究の区分
プロジェクト研究「技術革新等に伴う雇用・労働の今後のあり方に関する研究」
サブテーマ「技術革新、生産性と今後の労働市場のあり方に関する研究」
研究期間
令和元年度
研究担当者
- 井嶋 俊幸
- 前 労働政策研究・研修機構 統括研究員
- 下島 敦
- 労働政策研究・研修機構 統括研究員