資料シリーズ No.150
諸外国の公共職業安定機関
― イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ―
概要
研究の目的
主要諸外国(英米独仏)の公共職業安定機関の組織・体制やパフォーマンス等に関する調査を行い、日本のハローワークの業務改善に資する情報を収集する。
研究の方法
文献サーベイ
主な事実発見
- イギリスの公共職業安定機関ジョブセンター・プラス(Jobcentre Plus)は、雇用年金省(Department for Work and Pensions:DWP)によって設置されている。従来は所管省庁から独立のエージェンシーとして運営されていたが、2011年の組織改編により、雇用年金省の一部門として吸収された 。
- ドイツの公共職業安定機関である連邦雇用エージェンシー(BA)は、連邦直属の行政機関であり、自治管理 を行う権利能力を有する公法上の法人(Korperschaft des Offentlichen Rechts)である 。BAの前身は、連邦雇用庁で、2003 年12 月23 日に成立したハルツ第Ⅲ法に基づき、組織改編が行われて独立法人となった 。
- フランスの職業紹介や失業保険関連の業務を担っている組織は、雇用局(Pole emploi)である。この雇用局はサルコジ政権時の2009年1月、旧・公共職業安定所(ANPE:国立雇用紹介所)と失業保険制度の運営組織の全国商工業雇用連合(Unedic)及びその地方機関の商工業雇用協会(Assedic)が統合されて創設された組織である。
- アメリカは、1998年労働力投資法(Workforce Investment Act)により、キャリアカウンセリングと職業訓練サービスを包括的に行うワンストップ・センターへと統合されたアメリカの公共職業安定機関は、事業の民営化のなかでコミュニティ(地域)の利害関係者の意向を重視した事業が展開されているが、成果と予算配分の関連が強くないという課題がある。
図表1 求職者向けサービスの種類及び方法
出所:第1章 イギリスより
図表2:雇用局スタッフ総数及び直接クライアントに対応するスタッフ総数
出所:第3章 フランスより
政策的インプリケーション
各国によって公共職業安定機関の運営体制に違いはあるものの、各国とも公共職業安定機関を通じた失業者対策や各種の給付業務などを行っていることが明らかになった。
また、現在日本のハローワークについて、国と地方自治体や民間人材ビジネスとの連携についての議論が盛んになされており、諸外国における連携状況など日本の参考となる情報を収集した。
政策への貢献
わが国におけるハローワークの業務改善や組織の在り方等の検討において、各国から得られた知見は、係る議論の参考となることが想定される。
本文
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- 表紙・まえがき・執筆者・目次(PDF:260KB)
- 調査の概要
第1章 イギリス(PDF:817KB) - 第2章 ドイツ(PDF:809KB)
- 第3章 フランス(PDF:622KB)
- 第4章 アメリカ (PDF:577KB)
研究の区分
研究期間
平成26年4月~平成27年3月
執筆者※平成27年3月時点
- 中村 慎一
- 国際研究部 主任調査員(調査の概要)
- 樋口 英夫
- 労働政策研究・研修機構国際研究部主任調査員補佐(第1章)
- 飯田 恵子
- 労働政策研究・研修機構国際研究部主任調査員補佐(第2章)
- 北澤 謙
- 労働政策研究・研修機構国際研究部主任調査員補佐(第3章)
- 山崎 憲
- 労働政策研究・研修機構国際研究部主任調査員補佐(第4章)
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