資料シリーズ No.139
欧州諸国における介護分野に従事する外国人労働者
―ドイツ、イタリア、スウェーデン、イギリス、フランス5カ国調査―

平成26年 6月30日

概要

研究の目的

厚生労働省の要請を受けて当機構が実施した「諸外国における外国人労働者の就業実態と影響等の調査(介護福祉労働者編)」に関する調査に基づく。日本では現在、少子高齢化による労働者不足、および介護サービスへの需要増加の懸念等から、政府主催の会議や国会等の場において、介護福祉労働者を含む外国人材の受入れを推進すべきとの主張がなされることがあるが、外国人労働者の受入れは労働市場及び国民生活に影響を及ぼすことから、慎重な検討が必要である。このような視点に立ち、ドイツ、イタリア、スウェーデンを中心に、欧州諸国で実施されている介護福祉労働者の受入れ制度・実態の調査を行った。

研究の方法

文献サーベイ

主な事実発見

欧州諸国は介護分野において共通した課題に直面していたにもかかわらず、各国における介護はそれぞれ独自の発展を遂げたため、各国の制度は多様なものとなっている。拡大を続ける欧州連合(EU)は、人の移動の完全自由化をはじめとして様々な分野で統合の動きが進んでいるものの、介護分野に関しては中心的な位置を占めるような単一のモデルはいまだ存在しない。

調査の結果、各国で状況は異なるものの、いずれの国でも介護福祉労働に従事する外国人・移民は増加傾向にあり、彼らに対する処遇のあり方や国内労働市場に及ぼす影響等が議論の的となっていることが明らかになっている。各国は経済・雇用、及び政治情勢に応じて、受入れの規制や緩和を常に変化させており、自国の労働者とバランスをとりながら政策を進めていることが分かった。

図表1 ヨーロッパ諸国における高齢者比率、2010-2040年

図表1画像

注:高齢者比率は、15-64歳の人口に対する65歳以上の人口比である。

出所:Eurostat(Projected old-age dependency ratio).

図表2 総表 欧州諸国における介護分野に従事する外国人労働者の特徴<一部抜粋>

図表2画像

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政策的インプリケーション

欧州では介護需要の増大により将来的な供給不足が懸念されているが、過去に多くの単純労働力を受け入れ、これが社会統合上の問題につながった経験から、特定分野の規制緩和には慎重である。特に在宅介護サービスについては、市場の不透明性が外国人労働者の不安定就労につながる課題も顕在化しており、こうした点については我が国においても参考となり得る。

政策への貢献

国内での外国人介護労働者の受入を巡る議論は現在もなお様々な場面で行われている。さらに今後も引き続き検討されうる課題であるため、諸外国の経験は係る議論の参考となることが想定される。

本文

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研究の区分

緊急調査

研究期間

平成25~26年度

執筆担当者(執筆順)

天瀬 光二
労働政策研究・研修機構 国際研究部部長
宮崎 理枝
大月短期大学准教授
岩田 敏英
労働政策研究・研修機構 国際研究部調査員
樋口 英夫
労働政策研究・研修機構 国際研究部主任調査員補佐
北澤 謙
労働政策研究・研修機構 国際研究部主任調査員補佐

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